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収納の少ない家屋(5)
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しばらくの間店を閉めることになったガリューは家を空けるために宿を取り、そして何もすることのないので商店街へと足を運んでいた。
「おや、ガリューじゃないか? こんな時間に何ブラブラしてるんだい?」
露店で野菜を売っている男から声をかけられる。
「バランか……。今は店を閉めてるからな。何もすることがないからこうして暇を潰してるんだ」
「あの鍛治狂いのお前がか!? 何か悪いものでも食ったのか? おっとこうしていられない、今日は大雨……、いや、大雪が降るかもしれん。店じまいの準備だ!」
本当に露店を閉めようとするバラン。それをガリューは渋い顔つきで見ながら呟く。
「今は家の改装をしてるんだ。その工事で家にいられないからこうして暇を潰してるんだ」
「改装? 自分でしないのか?」
「あぁ、国王様が募集してた依頼しってるか? それを頼んでみたんだ」
ガリューの言葉にバランは怪訝そうな目つきをする。
「大丈夫なのか? めちゃくちゃにされないか? 高額請求されるんじゃないのか? 自分が住むところなんだし自分でした方がよくないか?」
その心配はもっともだ。実際ガリューも半信半疑で初めは安い倉庫を依頼したわけだし……。しかし研吾はそんな人ではない。自分が想像した以上のものを格安で提供してくれる気のいいやつなんだ。
「いや、それがちゃんとした先生なんだ。値段も安いし信用できる人だ」
「それでもなぁ……」
腕を組み心配そうに見てくる。
「心配だったら完成した後にでも見に来てくれ!」
「そうだな。せっかくだし行かせてもらおうか……」
それからガリューは知り合いという知り合いから声をかけられる。普段は鍛治部屋にこもっている時間帯だから『鍛治狂い』と言うとおり名をつけられたガリューが歩いていること自体違和感を感じたのだろう。
そんな人々にガリューは国王の依頼を受けたことを説明した。しかし、誰もかれも怪訝そうな顔つきをしていた。
信用した人が他人に信じてもらえない。段々とガリューは苛立ちが募っていき、ついにその足は行きつけの酒場へと向かっていた。
中に入ると魔物退治を専門とする狩人や朝早くから外の素材を取りに行く採取人達で賑わっており、夜のこぢんまりとした雰囲気はなかった。それでも、今のガリューにはこの雰囲気の方が嬉しいかもしれない。早速エールを注文すると一気に喉に流し込む。
そして、周りの男たちと騒いだあと、少しほろ酔い気分になったので店を出る。
千鳥足でゆっくりと宿へと帰る。宿に着く頃にはすでに黄昏色の空に変わっていた。
そして、家が完成したという報告を受ける。
久しぶりに家に戻ってきたガリューを研吾たちが出迎えてくれる。
「おう。先生、いよいよ完成か?」
「はい、それでぜひともガリューさんに確認をと思いまして……」
本当に終わったようだ。中に入るように促す先生にガリューの酔いはすっかり醒め、扉に手をかけると思わず息を飲む。
さすがにお店の部分は変えようがないだろうけど、「驚かせましょう」という研吾の言葉。それは思わずガリューに期待を促していた。
一体中はどう変わっているのか? 目をギュッと閉じ大きく深呼吸する。
「いくぞ!」
気合いを入れる意味でそう呟いたあと扉を開け放つ。するとそこは本当にガリューの鍛冶屋だったのかと疑うような光景が目に飛び込んでくる。
「うおぉぉぉ!」
思わずガリューの口から感嘆の声が漏れる。
たしかに内部の構造は何も変わっていない。しかし、広いだけの部屋は鍛冶屋らしく装飾されていた。壁には剣や槍が一本一本かけられており、それが武器の高級感を漂わせている。
鎧の方はというと、部屋の隅にわざわざ何か人形のようなものに着させて置かれていた。
実際に鎧を着ているようでものがわかりやすい。
そして、入り口付近にはなぜかタルが置かれ、そこにあまり出来がいいとは言えない剣や槍が幾つも束になって刺さっている。
「これは?」
「はい。それは安売り用の入れ物ですね。お客さんの中には高級品を買いに来る人の他に安い品物がないかを見に来る人がいますからね」
言われてみれば確かに皆が皆最高の出来のものを買っていったかというとそうでもなかった。どうしても良い品物は値が張ってしまうのだ。その場合涙を飲んで安いものを買っていく人もいた。
「なるほど……、言われてみればそうだよな。確かにこういったことも必要だよな」
思わずガリューは感心してしまう。常に最高のものをと考えている自分には思いつきもしなかったことだ。
雪崩のように商品が崩れていた以前とは大違いだ! 作る方ばかりしている俺にはもったいないくらいお店らしいできになっている。
「先生、本当にありがとな」
ガリューは研吾の手を取り大きく上下に動かした。
「ちょ、ちょっと待ってください。まだここだけじゃないですよ」
華奢な体つきの研吾はガリューが手を動かすのと一緒に体も動いていた。
「ここだけじゃないというと?」
まさか他の部屋も? ガリューとしてはこの部屋だけでも十分満足の仕上がりだったのだが他の部屋も細工がしてあるらしい。思わず生唾を飲み込む。
「つ、次はどこの部屋だ!?」
「せっかくですから鍛治室に行きましょうか?」
研吾の案内のもとガリューはいつもの使い慣れた鍛冶室へとやってきた。
ここはあまり手を加えていないのか、パッと見ただけではよくわからなかった。
「先生? ここはいつもの部屋のようだが?」
不思議に思ったガリューはつい研吾に答えを聞いてしまう。
「ここは倉庫と同じですね。ほら、ここ。階段の下の部分が壁で塞がってもったいない空間になってましたので、扉をつけて収納にしました」
確かによく見ると壁だと思っていた場所にとってのようなものがついていた。そして、そこを先生が開けると高さは低いもののちょっとした収納空間がそこには広がっていた。その中にはいつもなら床に転がしたままの鍛治道具が綺麗に収められていた。
「やはりこの家は収納が少ないですからね。つけられるところにはつけさせてもらいました。ただ、ここは仕事場、下手に手を加えてガリューさんの鍛冶がやりにくくなってはと思いまして必要最低限だけになせてもらいました」
ニッコリと微笑む研吾。確かに下手に触られては困ったかもしれない。ここはガリューが数十年苦楽をともにした鍛冶場なんだから。
「さて、それでは次は居間に行きましょう」
居間には頭が当たらない範囲で天井付近に収納棚が増えていた。
「これは今すぐに必要ないかもしれませんが、いつか本格的に料理をするようになったら必要ですからね」
これだけ気の利く先生だ。きっとそうなのだろう。ただ、ほとんど家で料理をしないガリューにとってはここは過ぎた収納のように感じられた。
「では次は二階に行きましょうか?」
その先生の言葉にガリューの背中はヒヤリと冷たくなった。
そうだ! 二階の部屋には俺の衣服が散らかっていたんだ! もしかしてあの部屋も……。
ガリューは慌てて二階へと駆け上がると部屋の扉をバッと開ける。すると、足の踏み場もないほど服が散らかっていた寝室が何一つ落ちていない綺麗な部屋へと生まれ変わっていた。
でも、俺の服は?
辺りを見渡す。この部屋にはいくつかのタンスが追加されているようだった。おそらくその中に服がしまってあるのだろう。そう考えた時、パタパタと何かを叩くような音が聞こえる。
でもこの隣に部屋はなかったはず……。不思議に思ったガリューは廊下に出て音のなった場所らへんを見てみると何もなかった場所に扉がついていた。
その扉を開けるとそこは木製のバルコニーになっており、ちょうどミルファーが洗濯物を干しているところだった。
「ケンゴ様、衣服は洗っておきましたがこれでよろしかったですか?」
「うん、ちょうどいいよ。それじゃあこのあともよろしく」
「わかりました」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。何が何だかわからないんだが」
困惑するガリュー。
「そうですね。衣服を片付ける際に一通り洗わせていただきました。魔法で簡単に洗って乾かすこともできますが、やはり陽の光に当てたほうが気持ちいいので、試してください」
研吾が毛布を渡してくる。それを受け取ると普段洗った時では考えられないほどふかふかで柔らかく、まるで買ったばかりのようだった。
「すごいな……」
一通り驚いたガリューの口からはもはやその言葉以外は出なくなっていた。その言葉を聞いた研吾はどこか嬉しそうに微笑んでいた。
「ところでその……値段だが、倉庫の分と合わせてここまでしてもらったとなるとかなり高くなるんじゃないか?」
少し声を落とし不安げに聞く。しかし、研吾は笑みを崩さなかった。
「いえ、最初の金貨一枚で足りますよ。こちらが請求書になります」
そう言って研吾が見せてきた紙には確かに金貨一枚以下の値段が書かれていた。
『請求書』
ガリュー様
工事費合計【銀貨六十二枚】を請求させていただきます。
詳細は以下をご確認ください。
倉庫代
人件費、銀貨三十枚
その他雑費、銀貨一枚
計、銀貨三十一枚
自宅改装代
人件費、銀貨三十枚
その他雑費、銀貨一枚
計、銀貨三十一枚
両方合わせてもすごく安い。ここまでしてもらうと逆に気が悪くなってくる。
「俺はいいが……、ここまでしてもらってそれだけというのはな……」
ガリューは期待以上の仕事をしてくれた研吾になんとかお礼ができないかと必死に考える。そして、名案を浮かぶ。
「よし、それならお金とは別に俺が作り上げた剣をやろう」
「い、いえ、そこまでしていただくわけには……」
今度は研吾が困った表情を浮かべる。おそらく遠慮しているのだろうとガリューはさらにまくしたてる。
「なーに、遠慮するな。俺からのお礼の気持ちだ。受け取ってくれ!」
そこまで言われると研吾は断ることができなかった。
「わかりました。ありがたく頂戴します」
「よし、それじゃあ倉庫まで付いてきてくれ」
ガリューは研吾と二人、倉庫へと向かっていった。
「おや、ガリューじゃないか? こんな時間に何ブラブラしてるんだい?」
露店で野菜を売っている男から声をかけられる。
「バランか……。今は店を閉めてるからな。何もすることがないからこうして暇を潰してるんだ」
「あの鍛治狂いのお前がか!? 何か悪いものでも食ったのか? おっとこうしていられない、今日は大雨……、いや、大雪が降るかもしれん。店じまいの準備だ!」
本当に露店を閉めようとするバラン。それをガリューは渋い顔つきで見ながら呟く。
「今は家の改装をしてるんだ。その工事で家にいられないからこうして暇を潰してるんだ」
「改装? 自分でしないのか?」
「あぁ、国王様が募集してた依頼しってるか? それを頼んでみたんだ」
ガリューの言葉にバランは怪訝そうな目つきをする。
「大丈夫なのか? めちゃくちゃにされないか? 高額請求されるんじゃないのか? 自分が住むところなんだし自分でした方がよくないか?」
その心配はもっともだ。実際ガリューも半信半疑で初めは安い倉庫を依頼したわけだし……。しかし研吾はそんな人ではない。自分が想像した以上のものを格安で提供してくれる気のいいやつなんだ。
「いや、それがちゃんとした先生なんだ。値段も安いし信用できる人だ」
「それでもなぁ……」
腕を組み心配そうに見てくる。
「心配だったら完成した後にでも見に来てくれ!」
「そうだな。せっかくだし行かせてもらおうか……」
それからガリューは知り合いという知り合いから声をかけられる。普段は鍛治部屋にこもっている時間帯だから『鍛治狂い』と言うとおり名をつけられたガリューが歩いていること自体違和感を感じたのだろう。
そんな人々にガリューは国王の依頼を受けたことを説明した。しかし、誰もかれも怪訝そうな顔つきをしていた。
信用した人が他人に信じてもらえない。段々とガリューは苛立ちが募っていき、ついにその足は行きつけの酒場へと向かっていた。
中に入ると魔物退治を専門とする狩人や朝早くから外の素材を取りに行く採取人達で賑わっており、夜のこぢんまりとした雰囲気はなかった。それでも、今のガリューにはこの雰囲気の方が嬉しいかもしれない。早速エールを注文すると一気に喉に流し込む。
そして、周りの男たちと騒いだあと、少しほろ酔い気分になったので店を出る。
千鳥足でゆっくりと宿へと帰る。宿に着く頃にはすでに黄昏色の空に変わっていた。
そして、家が完成したという報告を受ける。
久しぶりに家に戻ってきたガリューを研吾たちが出迎えてくれる。
「おう。先生、いよいよ完成か?」
「はい、それでぜひともガリューさんに確認をと思いまして……」
本当に終わったようだ。中に入るように促す先生にガリューの酔いはすっかり醒め、扉に手をかけると思わず息を飲む。
さすがにお店の部分は変えようがないだろうけど、「驚かせましょう」という研吾の言葉。それは思わずガリューに期待を促していた。
一体中はどう変わっているのか? 目をギュッと閉じ大きく深呼吸する。
「いくぞ!」
気合いを入れる意味でそう呟いたあと扉を開け放つ。するとそこは本当にガリューの鍛冶屋だったのかと疑うような光景が目に飛び込んでくる。
「うおぉぉぉ!」
思わずガリューの口から感嘆の声が漏れる。
たしかに内部の構造は何も変わっていない。しかし、広いだけの部屋は鍛冶屋らしく装飾されていた。壁には剣や槍が一本一本かけられており、それが武器の高級感を漂わせている。
鎧の方はというと、部屋の隅にわざわざ何か人形のようなものに着させて置かれていた。
実際に鎧を着ているようでものがわかりやすい。
そして、入り口付近にはなぜかタルが置かれ、そこにあまり出来がいいとは言えない剣や槍が幾つも束になって刺さっている。
「これは?」
「はい。それは安売り用の入れ物ですね。お客さんの中には高級品を買いに来る人の他に安い品物がないかを見に来る人がいますからね」
言われてみれば確かに皆が皆最高の出来のものを買っていったかというとそうでもなかった。どうしても良い品物は値が張ってしまうのだ。その場合涙を飲んで安いものを買っていく人もいた。
「なるほど……、言われてみればそうだよな。確かにこういったことも必要だよな」
思わずガリューは感心してしまう。常に最高のものをと考えている自分には思いつきもしなかったことだ。
雪崩のように商品が崩れていた以前とは大違いだ! 作る方ばかりしている俺にはもったいないくらいお店らしいできになっている。
「先生、本当にありがとな」
ガリューは研吾の手を取り大きく上下に動かした。
「ちょ、ちょっと待ってください。まだここだけじゃないですよ」
華奢な体つきの研吾はガリューが手を動かすのと一緒に体も動いていた。
「ここだけじゃないというと?」
まさか他の部屋も? ガリューとしてはこの部屋だけでも十分満足の仕上がりだったのだが他の部屋も細工がしてあるらしい。思わず生唾を飲み込む。
「つ、次はどこの部屋だ!?」
「せっかくですから鍛治室に行きましょうか?」
研吾の案内のもとガリューはいつもの使い慣れた鍛冶室へとやってきた。
ここはあまり手を加えていないのか、パッと見ただけではよくわからなかった。
「先生? ここはいつもの部屋のようだが?」
不思議に思ったガリューはつい研吾に答えを聞いてしまう。
「ここは倉庫と同じですね。ほら、ここ。階段の下の部分が壁で塞がってもったいない空間になってましたので、扉をつけて収納にしました」
確かによく見ると壁だと思っていた場所にとってのようなものがついていた。そして、そこを先生が開けると高さは低いもののちょっとした収納空間がそこには広がっていた。その中にはいつもなら床に転がしたままの鍛治道具が綺麗に収められていた。
「やはりこの家は収納が少ないですからね。つけられるところにはつけさせてもらいました。ただ、ここは仕事場、下手に手を加えてガリューさんの鍛冶がやりにくくなってはと思いまして必要最低限だけになせてもらいました」
ニッコリと微笑む研吾。確かに下手に触られては困ったかもしれない。ここはガリューが数十年苦楽をともにした鍛冶場なんだから。
「さて、それでは次は居間に行きましょう」
居間には頭が当たらない範囲で天井付近に収納棚が増えていた。
「これは今すぐに必要ないかもしれませんが、いつか本格的に料理をするようになったら必要ですからね」
これだけ気の利く先生だ。きっとそうなのだろう。ただ、ほとんど家で料理をしないガリューにとってはここは過ぎた収納のように感じられた。
「では次は二階に行きましょうか?」
その先生の言葉にガリューの背中はヒヤリと冷たくなった。
そうだ! 二階の部屋には俺の衣服が散らかっていたんだ! もしかしてあの部屋も……。
ガリューは慌てて二階へと駆け上がると部屋の扉をバッと開ける。すると、足の踏み場もないほど服が散らかっていた寝室が何一つ落ちていない綺麗な部屋へと生まれ変わっていた。
でも、俺の服は?
辺りを見渡す。この部屋にはいくつかのタンスが追加されているようだった。おそらくその中に服がしまってあるのだろう。そう考えた時、パタパタと何かを叩くような音が聞こえる。
でもこの隣に部屋はなかったはず……。不思議に思ったガリューは廊下に出て音のなった場所らへんを見てみると何もなかった場所に扉がついていた。
その扉を開けるとそこは木製のバルコニーになっており、ちょうどミルファーが洗濯物を干しているところだった。
「ケンゴ様、衣服は洗っておきましたがこれでよろしかったですか?」
「うん、ちょうどいいよ。それじゃあこのあともよろしく」
「わかりました」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。何が何だかわからないんだが」
困惑するガリュー。
「そうですね。衣服を片付ける際に一通り洗わせていただきました。魔法で簡単に洗って乾かすこともできますが、やはり陽の光に当てたほうが気持ちいいので、試してください」
研吾が毛布を渡してくる。それを受け取ると普段洗った時では考えられないほどふかふかで柔らかく、まるで買ったばかりのようだった。
「すごいな……」
一通り驚いたガリューの口からはもはやその言葉以外は出なくなっていた。その言葉を聞いた研吾はどこか嬉しそうに微笑んでいた。
「ところでその……値段だが、倉庫の分と合わせてここまでしてもらったとなるとかなり高くなるんじゃないか?」
少し声を落とし不安げに聞く。しかし、研吾は笑みを崩さなかった。
「いえ、最初の金貨一枚で足りますよ。こちらが請求書になります」
そう言って研吾が見せてきた紙には確かに金貨一枚以下の値段が書かれていた。
『請求書』
ガリュー様
工事費合計【銀貨六十二枚】を請求させていただきます。
詳細は以下をご確認ください。
倉庫代
人件費、銀貨三十枚
その他雑費、銀貨一枚
計、銀貨三十一枚
自宅改装代
人件費、銀貨三十枚
その他雑費、銀貨一枚
計、銀貨三十一枚
両方合わせてもすごく安い。ここまでしてもらうと逆に気が悪くなってくる。
「俺はいいが……、ここまでしてもらってそれだけというのはな……」
ガリューは期待以上の仕事をしてくれた研吾になんとかお礼ができないかと必死に考える。そして、名案を浮かぶ。
「よし、それならお金とは別に俺が作り上げた剣をやろう」
「い、いえ、そこまでしていただくわけには……」
今度は研吾が困った表情を浮かべる。おそらく遠慮しているのだろうとガリューはさらにまくしたてる。
「なーに、遠慮するな。俺からのお礼の気持ちだ。受け取ってくれ!」
そこまで言われると研吾は断ることができなかった。
「わかりました。ありがたく頂戴します」
「よし、それじゃあ倉庫まで付いてきてくれ」
ガリューは研吾と二人、倉庫へと向かっていった。
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