社畜さん、ヒモになる〜助けた少女は大富豪の令嬢だった〜

空野進

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22.

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 一緒に買い物を行く日が近づいてくると莉愛のテンションが日に日に上がっていった。


「もう少しでお買い物ですね!」


 楽しそうな表情を浮かべながら莉愛が言ってくる。


「それでどこに買い物行くんだ?」
「権蔵さんに神楽坂ショッピングモールまで送ってもらうように話しておきました」


 どうやら神楽坂グループの店に行くらしい。
 ということは、そこでの行動は勇吾さんに筒抜け……と思っておかないといけないな。


「それで何が欲しいんだ?」
「うーん、それは買いに行くまでの秘密にしますね」


 莉愛が口に指を当てながら楽しそうに微笑む。

 まぁ普通に店に置いてるものだから変なものを買ったりしないだろうな。


「わかったよ。それじゃあ当日楽しみにしてるな」
「はいっ!」


 ◇


 そして、出かける当日。
 莉愛がわくわくした様子で準備をしていた。

 夏と言うこともあり、涼しげなノースリーブのワンピースを着ていた莉愛。


「有場さん、今日は楽しみですね」
「そうだな。莉愛は準備できてるか?」
「はい、私はいつでも大丈夫ですよ」


 にっこりと微笑む莉愛。
 それを見た後に遠山に視線を送ると彼も一礼で返してくれる。


「よし、それじゃあ出発するか」

 ◇

 神楽坂ショッピングモールにたどり着いた。
 かなりたくさんの店が入っているこの場所は、一日ここで過ごしても全ての店を見て回れないほど広いところだった。

 時間は昼前……。すでにたくさんの人が行き来していた。


「すごく広いな……。どこが目的の場所なんだ?」
「うーん、どこでしょう?」


 莉愛も首を傾げていた。


「まぁ、急いで買わないといけないわけじゃないもんな。ゆっくり見て回るか」
「はいっ!」


 莉愛が手を差し出してくるので、それを握ると俺たちはショッピングモールの中を見て回る。


「有場さん、あそこ! すごく行列ができてますよ! なんでしょうか?」
「うーん、タピオカドリンク……の店らしいな」
「そういえば今流行ってるみたいですね。学校で他の子が飲んだって言ってました」


 莉愛がそわそわとした様子を見せていた。


「飲みたいのか?」
「えっと、……はい」


 少し考えた後、小さくうなずいていた。


「それなら列に並ぶか」


 行列の最後尾に並んでから気づく。
 この列に並んでるの、ほとんど女性だ。

 俺が並んでいるのはおかしくないか?

 まぁカップルで並んでいる人もいるので、それらしい態度を取っていたらおかしくはないか。
 今も俺たちは手を繋いでいるわけだし……。


「どうかしましたか? やっぱりご迷惑でしたか?」


 俺の顔が強張っていたせいで莉愛が心配そうに聞いてくる。


「いや、そんなことはないぞ。ただ、あまり男の人で並んでる人がいないなと思ってな」


「あっ、確かにそうですね。もし居づらいなら私一人で待っておきますけど?」
「いや、大丈夫だ。カップルで並んでいる人もいるからな」
「カップ……」


 莉愛が顔を真っ赤に染めていた。
 恥ずかしそうに俯いてしまう。


「まぁ今の俺たちもそう見えるってことだ。だから大丈夫だ」
「は、はい……」


 しおらしくなってしまった莉愛と二人、ゆっくり待っていた。

 そして、ついにタピオカドリンクを購入することができた。


 莉愛と俺の手にはタピオカミルクティ。


「これがタピオカ……」


 莉愛が嬉しそうに眺めていた。
 そんな彼女を横目に俺は先に口をつけていた。

 うーん、タピオカってこれ自体に味はないのか……。
 もちもちした食感を楽しむものなんだろうな。

 これが俺の感想だった。

 俺が飲んでいるのを見て莉愛もゆっくり口につける。


「うーん、美味しいです……」


 思わず笑みをこぼす莉愛。


「このもきゅもきゅしたのがいいですよね……」
「そうだな。確かに面白い食感だな」
「ですよね」


 嬉しそうにする莉愛。
 小さな口で必死に吸うその姿は可愛らしかった。


「あっ、有場さんと違う味にしたら、飲み比べとかも……」


 ふと思いついたようにポツリと呟く莉愛。
 残念そうに自分の持っていた飲み物と俺の飲み物を見比べる。

 そして――。

 何を思ったのか、突然莉愛が俺の飲み物に口をつけてくる。


「えへへっ、少し貰いました」


 莉愛はいたずらが成功したかのようにちょろっと舌を出してみせる。


「味は変わらないだろう? 同じものなんだし」
「そんなことないですよ。有場さんの飲み物ってだけで全く違いますよ」


 そんなものなのか?

 俺が首を傾げていると莉愛が自分の分を差し出してくる。


「有場さんも試してみたらわかりますよ」


 莉愛に言われるがまま彼女の飲み物を口にする。


「うーん、味は同じ……なんだけど」


 なんだろう? このむず痒さは……。
 恥ずかしさのあまり顔が赤くなるのを感じる。

「どうですか? なんかこう、心が満たされませんか?」
「あぁ、そんな感じだな」
「だから同じ味でもいいんですよ」


 莉愛がにっこり微笑んでいた。

 ◇

 タピオカを飲み終わった俺たちは莉愛の目的の店を探して歩き回っていた。


「ところで、そろそろ何を買いに来たのか教えてくれないか?」
「そうですね……。もう直ぐ夏休みですからね。今年は有場さんと海に行きますから、その……新しい水着が欲しかったんです……」
「……水着」


 えっと、それはつまり俺に水着を選ぶのを付き合え……ってことだよな?


「流石に水着が置いてある店に俺が入るのは……」
「だからお願いだったんですよ。有場さんに選んで欲しかったから……」
「うっ……」


 確かに何でもするといった以上、この約束はきかざるを得ないか。

「はぁ……、わかったよ。ただ、俺のセンスはそこまで良いものじゃないからな」
「大丈夫です。有場さんが良いと思うものが着たいので……」


 言った後に莉愛が恥ずかしそうに俯く。


「まぁ、水着の店を探せば良いんだな。それじゃあ行くか」
「はいっ!」


 ◇


 それから少し見て回るとちょうど時期なのか、目立つところに水着が置かれた店をたくさん発見する。

 ただ、これが水着なのか? というものもたくさん置かれていた。

 俺のイメージでは水着は普通のやつとかビキニとかくらいのイメージだったのだが、今ではまるで普通の服のようなものも置かれていた。

 そんな中、莉愛は真剣に水着を選び始める。
 いろんな水着を手に持ってあれでもない、これでもない、と言い始める。

 でも、すぐに俺のそばへとやってくる。


「有場さんはどれが良いと思いますか?」


 莉愛がいくつかの水着を見せてくる。
 様々な種類の水着……。
 さすがにどれが良いのか……と言うことはわからない。

 ただ、莉愛が着る……と考えたらどれも似合いそうだ。


「全部莉愛には似合うと思うぞ?」
「もう、そういうことじゃなくて……。そうだ、一度試着してみますのでそれで見てもらっても良いですか?」
「あぁ、それはかまわないが……」
「では、こちらに来てください」


 莉愛は奥の試着室側へと引っ張ってくる。


「では、着替えてきますね。でも、中を覗かないで下さいね」


 恥ずかしそうに顔を赤らめながら莉愛は試着室へと入っていく。

 なんかすごい前振りをされたな。
 まるで覗いてくれって言われた気分だ。

 ただ、そんなことをしたら即捕まる気がする。
 こうやって莉愛の水着姿を見るだけでも危ない気がするのに……。

 そんなことを思いながら莉愛が出てくるのを待つ。
 もちろん、覗かずに――。

 するとしばらくすると莉愛が顔だけちょこっと出してくる。


「あ、有場さん……。そ、その……、中に入ってきてもらえますか?」


 もぞもぞ動きながら言ってくる。


「な、何かあったのか?」
「い、いえ、ただ、水着のまま外に出るのが恥ずかしくて……。出来たら中で見て欲しいんです……」


 なんだ……、そういうことか……。
 それなら、と俺は試着室へと入っていく。

 すると目の前に可愛らしいピンクの水着を着た莉愛がうつむき加減で姿を現す。
 多めにあしらわれたヒラヒラのフリルが少し子供っぽさを出しているが、それが逆に莉愛には似合っていた。


「どう……でしょうか?」


 不安そうに聞いてくる。


「あぁ、似合ってると思うぞ……」
「ほ、本当ですか!?」


 莉愛が嬉しそうに聞き返してくる。


「本当だ……」
「よかったです……。じゃあ他のにも着替えてみますね。また少し外で待っていてもらえますか?」


 莉愛に言われるがまま俺は試着室の外へと出る。



 またしばらく待つと莉愛が顔を出してくる。


「お待たせしました」
「また中に入れば良いのか?」
「はい、お願いします」


 こんな莉愛がいる試着室に何度も入って怪しまれないだろうか?
 そこだけが不安に思いながら俺は再び中へと入る。

 今度の莉愛は普通の服を着ていた。
 色はやはりピンクで、花が描かれていた可愛らしさが出ているワンピースタイプのものだ。


「あれっ、試着するのは水着だけじゃないのか?」
「ふふふっ、有場さん、これも水着なんですよ」


 莉愛に言われて驚いてしまう。


「えっ、それが水着なのか!?」
「はい、少し触って下さい。それで水着だってわかるはずですから……」


 俺は莉愛の手を触る。
 相変わらず柔らかい手だな……。

 ぷにぷに……。

 手を弄んでいると莉愛が恥ずかしそうに言ってくる。


「有場さん、私でなく水着を触って下さい……」
「そう……だよな」


 ただ、莉愛が着ている状態の水着を触るのは少し緊張する。
 それに触る場所を選ばないと……。


 一番触っても問題なさそうな肩の部分を触ってみると確かにその感触は普通の服とは違うものだった。


「本当だな……。全然違うな」
「水着ですからね。それでこれはどうでしょうか?」


 改めて聞いてくる莉愛。
 確かにこれも莉愛には似合っている。
 あえて言うなら――。


「それだけじゃなく麦わら帽子とかと組み合わせてみるともっと似合いそうだな」
「そうですね。うん、そっちもかわいいと思います。ありがとうございます」


 莉愛が嬉しそうな表情を見せてくる。


「それじゃあ別の水着に着替えますね」


 再び莉愛に試着室から追い出される。

 ◇

 そして、しばらく待っていたのだが、今度はやけに時間がかかっていた。
 さすがにあまり長いと心配なので莉愛に声をかけてみる。


「莉愛、大丈夫か?」
「あ、有場さん!? だ、大丈夫です!!」


 何か慌てた様子の莉愛が返事をしてくる。

 もしかして、声をかけるタイミングが悪かったか?

 仕方なく、もうしばらく待ってみる。

 するとようやく莉愛が顔を出してくる。
 ただ、その顔は真っ赤で下にうつむいていた。


「あ、有場さん……、お、お待たせしました……」
「大丈夫……か? 恥ずかしいなら別に見なくても――」
「い、いえ、有場さんに見て決めてもらいたいんですよ……。だ、だから、恥ずかしいですけど我慢します……」


 ギュッと試着室のカーテンを握りしめる。


「だ、だから……どうぞ――」


 本当に入って良いのか不安になるが、覚悟を決めて試着室の中に入る。
 するとそこには恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてちょっと屈み気味になっている莉愛がいた。
 ただ、着ている水着は青色のビキニタイプのもので、莉愛の白い肌がはっきり見ることが出来る。


「うぅ……、恥ずかしいです……」


 見られるのが耐えきれなくなって莉愛が顔を隠していた。

 まぁ普段の莉愛を考えるとこれは恥ずかしがっても仕方ないだろうな。


「どうしてビキニを着ようとしたんだ? 莉愛ならもっと似合うのもあったんじゃないか?」
「い、いえ、男の人はビキニが好きって伊緒ちゃんが言ってたので――」


 どうやら伊緒に余計な口出しをされていたようだ。


「大丈夫だ、莉愛なら他の水着も似合っているからな。さすがにその格好で遊ぶなんて出来ないだろう?」
「そ、そうですね……」
「まぁ似合ってはいるんだけどな……」


 最後に感想を言うと莉愛がボンッと一瞬で顔を真っ赤にしていた。


 ◇


 それからしばらく水着の試着を手伝わされた。
 想像通り、莉愛にはどの水着も似合い、似たような意見しか言えなかったが莉愛はそれで満足してくれたようだった。


「それで、どの水着を選ぶんだ?」
「うーん、迷いますね……」


 どれも似合っていたからこそ、莉愛が真剣に買う水着を迷っていた。
 ただ、あれだけ恥ずかしがっていたビキニタイプのものも選択肢に残っているのが不思議だったが。


「お客様、何かお探しでしょうか?」


 莉愛が真剣に迷っていると店員が声をかけてくる。
 そのタイミングで莉愛がようやく買う水着を決めたようで大きく頷いていた。


「いえ、この水着、全部下さい!」


 にっこりととんでもないことを言ってのける莉愛。

 そうだった……。莉愛なら水着の数着……いや、もしかすると店ごと買うことが出来るんだった。

 ……それならわざわざここで試着せずに買った後に家でしたらよかったんじゃないのか?

 満足そうに袋を受け取る莉愛を見て、俺は苦笑を浮かべるしか出来なかった。
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