園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!

緑牙

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2章 村での生活

25話 ブレンは疑い深い……

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 とりあえず冷蔵ボックスの中身は把握したので、減っていたミソンの実を追加で四個しまっておく。

 あとは、使いきれる程度の食材を入れておけばいいかな。


猪の塊肉    3個
コモンセージ草 1株
プルーン    6個
リンゴ     2個
ブドウ     2房
シメジタケ   1株
オドルタケ   1株
エノキタケ   1株


 以前使った食材ばかりだし、料理するにもそんなには困らないはず。
 そんなことを考えながらストレージから食材を取り出し、冷蔵ボックスにどんどん移していく。

 セージ君は、目をキラキラさせながら楽しそうに見ていた。
 だが肉の塊を出したときだけは、猛獣のような気配を放っていた……

 あとでタンジーに言っておかないとな、
 肉を扱うときはセージ君に気を付けるように……


 食材を仕舞い終わって手を洗うと、もう終わり? と言いたそうな顔をしたセージ君と目が合う。


「今日はこれだけだけど、また今度来たときに色々持ってくるよ」

「うん!」


 俺が苦笑しながらそう言うと、セージ君は楽しげな笑顔に戻ってくれた。

 あとは宿に帰るだけだが、本当は一言タンジーに声をかけてから帰りたいところだが……
 そうだ、セージ君に伝言をお願いしてみようかな!


「セージ君、俺はそろそろ宿に帰ろうと思うんだけど……タンジーに一声伝えてもらえるかな?」

「うん、いいよ!」

「ありがとう。えっとね……冷蔵ボックスに肉以外にも色々入れておいたよ……と、言っておいてもらえるかな?」


 セージ君には少し難しかったかな? 微妙に難しい顔をしてぶつぶつ言っているが……

 しかし、セージ君が顔を上げてこちらを向いたときには笑顔になっていたのでひと安心。


「たぶんだいじょうぶ! おねえちゃんにはちゃんとつたえるよ!」


 たぶんと言うところがちょっと不安ではあるが……大した内容じゃないし大丈夫だろう。


「ありがとな。よろしく頼むよ!」
「うん!」


 軽く頭を撫でながらお礼を言えば、セージ君はくすぐったそうにしながらも嬉しそうに返事をしてくれた。



 玄関まで見送りしてくれたセージ君と別れ、宿に向かう途中に時間を見ると十九時三十分を過ぎた辺り……
 ヤバイな、早く寝ないと……

 と、そこで疑問があったことを思い出した。

 と言うより……
 ブレンが俺の肩でずっと俯いてて、落ち込んだような雰囲気を纏っているんだよな……



「なあブレン、さっきなんだけど……一体なにに対して謝ってたんだ?」
《……》


 しばし無言だったので答えたくないのかと思ってそれ以上は聞かずに無言で歩いていたが、少しして弱い念話が聞こえてきた。


《ビックプチトマトの名前……運営の一部の人が、ユニークな名前がいいと主張して出来たもので……リョウさんを混乱させてしまったことに、運営の側として申し訳なくなってしまって……》


 まさかそんなことを気にしてしまっているとは思ってなかったな……


「いや……さっきのは俺が疲れからイライラしていただけだから、ブレンも運営の人も悪くないよ」

《……本当に怒ってませんか?》
「本当だよ!」


 怒ってないことを中々信用してくれないブレンをなだめているうちに、宿に到着してしまった。

 一応、信用するという形でブレンは落ち着いてくれた……が。

 すごく、懐疑的な目でこっち見られたけどね……


 宿のドアを開けて中に入ると、正面のカウンターで女将さんが腕を組んで待ち構えていた……

 その横にはラベンダーも居て、笑顔で小さく手を振ってくれた。

 ……すごい温度差だ……


「遅くなりましたが、戻りました……」


 ぼそぼそと俺が挨拶すると、女将さんはいきなりニカッと笑顔になって肩をバシバシ叩いてきた。

 普通に痛い! 体育会系か?この人!?

 そしてブレンはいつの間にか、かなり離れたところにいる! ずるいぞ!


「こんな時間までお疲れさまだね! 晩御飯はギリギリ終わってないが、食べてくかい?」

「大丈夫です! もうじきログアウトしますので」

「そうかい、ならよかった。しっかし、あんたもあっちこっち大変だねぇ……」


 俺がよほど疲れた顔をしていたのか、そんなことを言われてしまった。


「いえ、こちらには息抜きで来てるようなものですから、そんなに大変ではないです!」


 そう言うと、女将さんは呆れたような顔で、ラベンダーは苦笑いをしていた。


「あたしもあまり人のことは言えないが、あんたも相当な変わり者だねぇ……」

「あははは……」


 返す言葉もなく、思わず苦笑いしてしまった。


「あ、そうだ。フォレストボアの塊肉とかって要りません?」

「ボアの肉はうちでも仕入れて使ってるが……新鮮なやつが手に入ったのかい?」

「さっき森で何回か猪に出くわしまして……一人じゃ食べきれそうにないんですよ」


 そう言いながらストレージから塊肉を一つ取り出すと、女将さんもラベンダーも目を輝かせた。


「色艶がいいし、間違いなく新鮮だねぇ! いくらだい?」

「いえいえ、お裾分けしたいだけなのでお代は──」
「それは駄目だね。こっちも商売してる以上、こんな品質のものを只でもらうわけにはいかないよ!」


 女将さんはこちらが怯みそうな圧力を放ちながらそう言い放つ。

 とてもありがたい話なんだけど、女将さんの目力がやばいぞ……
 そこまで威圧してこなくてもいいと思うのだが……


「じゃ、じゃあ価格はそちらで決めてもらえませんか? 今一相場が分からなくて」

「あいよ! 任せな!」


 女将さんは悩む素振りもなく威勢よく答えると、塊肉を検分し始めた。


 ……女将さんの、気迫の一割くらいが俺にもあればなぁ……
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