園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!

緑牙

文字の大きさ
76 / 143
2章 村での生活

29話 重い物には気を付けよう……

しおりを挟む
 焼き芋を作るなら、焼くための設備が必要だが……

 俺は目だけで周囲を見回すと、まず目に入ってきたのはレンガでできたかまどだ。
 他に使えそうなものは……立て掛けてある焼き網、鉄板、フライパン辺りか。

 ここにある設備で焼き芋を作るなら、メインはかまどになりそうだが……芋の下に敷く石が欲しいところだ──


「あの……先生? おこってますか……?」

「……えっ?」


 無言で考え込んでいたら、どうやら怒っていると思われてしまったらしい。


「いや、怒ってなんかないぞ?」

「でも……私がさっき先生の言ったことをうたがって、それからだまっちゃったし……」

「あ~……それはごめん」


 実際は考え込んだりブレンと相談していただけなんだが……

 なんとなくだが、ブレンと相談していたことは黙っておこう。


「ちょっと俺も不安になって考え込んでいただけなんだ。 とりあえず、作るだけ作ってみてもいいかな?」

「もちろんです! あと、うたがっちゃってごめんなさい……」

「それはもういいよ。今までサツマノイモを食べて甘さを感じたことがないなら、誰だって疑うさ」


 俺は謝るラベンダーをなだめつつ、ラベンダーに対しての態度と言葉には気を付けようと改めて誓った。




「そうだ、近くで石が拾えそうな所はないかな? 料理を作るのに使いたいんだけど」

「えっ、石を料理に……?」


 おー……すごく微妙な顔してるなぁ……

 
「正確には石を焼いて、その石の熱で芋を焼きたいんだ。直火で焼くと芋がすぐに焦げちゃうからさ」

「石にそんな使い方が……! やっぱり先生はすごいです!」

「いや……俺が思い付いた使い方って訳じゃなくて、こっちには昔からあるやり方で──」


 と説明してはみたが、ラベンダーは瞳をキラキラと輝かせながらこちらを見ている……

 こりゃ、俺の発案じゃないと伝わってなさそうだな……



「──と、ちょっと話がずれたけどそんな訳で使えそうな石が欲しいんだ。出来れば、丸くて小さめの石があるといいんだけど……」


 このままだといつまで経っても終わらないし、改めてラベンダーに確認してみた。


「この辺りで丸くて小さめの石……ですか。……うーん……」


 まあ、本来丸い石は川などが近くに無いとあまりなさそうな感じではあるんだけど……

 最悪、平べったい石でも出来なくはないはずだが。


「あっ! そう言えばお母さんが……! 先生、ちょっと待ってて下さい!」


 何かを思い出したのか、ラベンダーが部屋から飛び出していった。

 かなりの勢いで出ていったのに、ドアを閉めるときに音がしないとは……いろんな意味ですごいな……

 とりあえず、ラベンダーが戻ってくるまでに簡単な準備をしておこうかな。


 ストレージに入れたサツマノイモは、洗ってないのに何故か土が全く付いてない。
 だがなんとなく習慣で水洗いして、かまどの状態を確認。

 見た感じ詰め込みすぎない程度にするなら、一回に焼けそうなのはいいところ10本位か。

 ……ミドリサツマノイモは数が少ないし、まずはサツマノイモだけを焼いてみよう。

 無事に美味しく焼けたら、次はミドリサツマノイモも焼いてみればいいだろう。



 ……やることの確認は済んだが、ラベンダーはまだ戻ってこない。

 ──と、その時女将さん達の声が少しだけ聞こえた。


「──本当に手伝わなくて大丈夫かい?」
「うん! 大丈夫……!」



 なんとなく不安になったリョウがキッチンのドアを開けようとすると──

 ドンッ!!

「うわっ!?」


 開けようとしたドアから突然大きい音がして、思わず飛び上がってしまった。

 ……びっくりして心臓が飛び出すかと思ったぞ……

 俺が息を整えていると、ドアの向こうから微かにラベンダーの声が──


「先生……ドアを、開けてくれませんか……?」


 息も絶え絶えな感じのラベンダーの声に、あわててドアを開ける。

 そこには疲れきった様子のラベンダーが、両手に大きな袋を持って立っていた……


「大丈夫か!?」


 重そうに見える袋を急いでラベンダーの手から受けとる。

 ……が、予想を超えた重さに片手……しかも、不安定な持ち方では到底支える事ができず──


「うごっ!?」


 ……袋を自らの足に落としてしまった……
 い、痛すぎる……!


「せ、先生! 大丈夫ですか……?」
《リョウさん! 大丈夫ですか!?》

「だっ……大丈夫!」


 実はズキズキしていてとても大丈夫ではないし、涙もにじんでいたが……根性でなんともないフリをした。
 ……バレてるかもだけど。


《もう……バレバレですよ? ちゃんと後でポーションを飲んでくださいね?》


 え……そこまで酷い状態なのか……?



「どちらの袋も石の大きさが違うので、どうせなら一緒に見せたくて……頑張っちゃいました!」


 ……そうだったな。ラベンダーは頑張りすぎちゃう娘なんだった……しっかり評価してあげなければ!


「そっか……頑張ってくれてありがとな。こんな重いものをまとめて持ってくるなんて、ラベンダーはすごいな!」

「えへへ……」


 照れたようにはにかむラベンダーに、内心でほっとする。

 褒められたくて頑張ったのに、危ないからと真っ先に叱るのは精神的にダメージが大きいからな……


「でもな? さすがにこんなに重いのは一人じゃ危ないから、次は俺を呼んでくれよ?」


 頭をそっと撫でながら優しくそう諭す。


「はい! 分かりました!」


 元気に返事をするこの様子なら、心にダメージはなさそうだな。

 あとは……俺の足、どうやら状態異常の〖骨折〗になってるようだから……
 ブレンの言うようにポーションを使って、こっそり治しておこう……
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

処理中です...