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第三章 虚ろいの秋雨
寂しい
しおりを挟むまだ残暑が厳しい中、二学期が始まった。
終業式では、まだ幼さが残っていたクラスメイト達が、このひと夏を終えて一皮剝けたように見える。
──日焼けした肌。輝く瞳。明るい顔付き。纏うオーラ。
僕の首筋に残る、幾つかの痕。
どうにも隠せなくて、曝されてしまっているものもあるけど。
多分、周りはそんなの気にしてない。
気付いてもいないと思う。
「……」
窓際の一番後ろである自席から、視界に映り込む、今井くんの姿。
数人の男友達と連んで喋っている光景は、夏休み前と同じで。
僕との間に、何にも無かったかのような空気と距離感があって……哀しい。
あの日──別れ話を切り出されて、強く引き止められないまま別れてから……
今井くんからのメッセージがぷっつりと途絶えた。
あれから全然、顔も合わせていないし、言葉だって、交わしてない。
まるで最初から、全部無かったみたいに。
最初のうちは、淋しくて。
でも、それだけで今井くんと関わるのは、気が引けて──
友達でも何でもない。
ただの、クラスメイトの一人。
その立ち位置に、徹するしかなかった。
そして。
月日は流れ──次第に深まっていく秋が、夏の痕跡を攫っていく。
陽射しに柔らかさを感じ、木の葉が赤や黄色に色付き始め、爽やかで涼しい秋風が吹く頃になると──夏服だった制服が冬服へと変わる。
その変化に、僕だけが上手く順応できていない。
一方通行の道の上を、順調に前へと進んでいくクラスメイト達の背中を眺めながら……いつまで経っても同じ場所に立ちつくしているような気さえした。
大空のいない教室は、それだけでまだ違和感があるのに──
みんな、もう忘れてしまったのか。
それとも、割り切ってしまったのか。
それが当たり前のような空気に、すっかり様変わりしてしまった事が……
何よりも、寂しい。
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