104 / 107
エピローグ 夢幻の梅雨
大空…!?
しおりを挟む
薄瞼を通して感じる、柔らかな太陽の光。
瞼をゆっくりと持ち上げれば、パアッと辺りが開け、とても明るく爽やかな青空が目に飛び込む。
「………着いたよ」
「……」
声のする方へと視線を向ければ、そこには少し呆れたように微笑む樹さんが。
「……また、大空の夢でも見た?」
「………え……」
微睡む脳内に、ぼんやりと浮かんだのは、夢に出てきたお兄さん………
──大空……!?
ぱちんと瞼が全て上がり、一気に目が冴える。
……そうだ、大空だ──
僕が、放課後の教室に居残っていた時に現れた……大空の幻影と、同じ姿……
「……」
──でも。
小さい頃の記憶なんて、とても曖昧で不確かなもので。
確かにあの時──母に置いて行かれて泣いていた僕に、近所に住んでいたんだろうお兄さんが、優しく声を掛けてくれた記憶がぼんやり残っている。
だけど、その人の顔も、声も、交わした会話も……ハッキリとなんて、覚えてない……
……だから、もしかしたら……
大空の事を考えていたせいで、幼い頃に声を掛けてくれたお兄さんと、教室で会った大空の幻影との記憶が、勝手に結び付いて……自分でも気付かないうちに、心の奥底で思い描いていた願望が、夢となって現れたのかもしれない──
「………うん。凄く、不思議な夢」
でも、もし……
こんな非科学的な事なんて、あるのか解らないけど……
……もし本当に、あの時の大空が、時空を越えて、幼い僕の所へ飛んでいったのだとしたら──
『一生懸命追い掛けて来てくれて、……「大好き」って叫んでくれたしな』
──あの時の言葉は、ちゃんと大空に届いていたのかもしれない……
「………」
そう思ったら、胸の奥が熱くなり……
そこにそっと仕舞っておいた、大空への想いが……ゆっくりと溶けていくような気がした。
瞼をゆっくりと持ち上げれば、パアッと辺りが開け、とても明るく爽やかな青空が目に飛び込む。
「………着いたよ」
「……」
声のする方へと視線を向ければ、そこには少し呆れたように微笑む樹さんが。
「……また、大空の夢でも見た?」
「………え……」
微睡む脳内に、ぼんやりと浮かんだのは、夢に出てきたお兄さん………
──大空……!?
ぱちんと瞼が全て上がり、一気に目が冴える。
……そうだ、大空だ──
僕が、放課後の教室に居残っていた時に現れた……大空の幻影と、同じ姿……
「……」
──でも。
小さい頃の記憶なんて、とても曖昧で不確かなもので。
確かにあの時──母に置いて行かれて泣いていた僕に、近所に住んでいたんだろうお兄さんが、優しく声を掛けてくれた記憶がぼんやり残っている。
だけど、その人の顔も、声も、交わした会話も……ハッキリとなんて、覚えてない……
……だから、もしかしたら……
大空の事を考えていたせいで、幼い頃に声を掛けてくれたお兄さんと、教室で会った大空の幻影との記憶が、勝手に結び付いて……自分でも気付かないうちに、心の奥底で思い描いていた願望が、夢となって現れたのかもしれない──
「………うん。凄く、不思議な夢」
でも、もし……
こんな非科学的な事なんて、あるのか解らないけど……
……もし本当に、あの時の大空が、時空を越えて、幼い僕の所へ飛んでいったのだとしたら──
『一生懸命追い掛けて来てくれて、……「大好き」って叫んでくれたしな』
──あの時の言葉は、ちゃんと大空に届いていたのかもしれない……
「………」
そう思ったら、胸の奥が熱くなり……
そこにそっと仕舞っておいた、大空への想いが……ゆっくりと溶けていくような気がした。
0
あなたにおすすめの小説
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
僕がそばにいる理由
腐男子ミルク
BL
佐藤裕貴はΩとして生まれた21歳の男性。αの夫と結婚し、表向きは穏やかな夫婦生活を送っているが、その実態は不完全なものだった。夫は裕貴を愛していると口にしながらも、家事や家庭の負担はすべて裕貴に押し付け、自分は何もしない。それでいて、裕貴が他の誰かと関わることには異常なほど敏感で束縛が激しい。性的な関係もないまま、裕貴は愛情とは何か、本当に満たされるとはどういうことかを見失いつつあった。
そんな中、裕貴の職場に新人看護師・宮野歩夢が配属される。歩夢は裕貴がΩであることを本能的に察しながらも、その事実を意に介さず、ただ一人の人間として接してくれるαだった。歩夢の純粋な優しさと、裕貴をありのまま受け入れる態度に触れた裕貴は、心の奥底にしまい込んでいた孤独と向き合わざるを得なくなる。歩夢と過ごす時間を重ねるうちに、彼の存在が裕貴にとって特別なものとなっていくのを感じていた。
しかし、裕貴は既婚者であり、夫との関係や社会的な立場に縛られている。愛情、義務、そしてΩとしての本能――複雑に絡み合う感情の中で、裕貴は自分にとって「真実の幸せ」とは何なのか、そしてその幸せを追い求める覚悟があるのかを問い始める。
束縛の中で見失っていた自分を取り戻し、裕貴が選び取る未来とは――。
愛と本能、自由と束縛が交錯するオメガバースの物語。
先輩のことが好きなのに、
未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。
何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?
切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。
《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。
要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。
陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。
夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。
5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。
才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。
誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。
その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。
胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。
それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。
運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
うまく笑えない君へと捧ぐ
西友
BL
本編+おまけ話、完結です。
ありがとうございました!
中学二年の夏、彰太(しょうた)は恋愛を諦めた。でも、一人でも恋は出来るから。そんな想いを秘めたまま、彰太は一翔(かずと)に片想いをする。やがて、ハグから始まった二人の恋愛は、三年で幕を閉じることになる。
一翔の左手の薬指には、微かに光る指輪がある。綺麗な奥さんと、一歳になる娘がいるという一翔。あの三年間は、幻だった。一翔はそんな風に思っているかもしれない。
──でも。おれにとっては、確かに現実だったよ。
もう二度と交差することのない想いを秘め、彰太は遠い場所で笑う一翔に背を向けた。
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる