シンクロ -アゲハ舞い飛ぶ さくら舞い散る5-

真田晃

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キング編

353.

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「………さくら」

うつ伏せのまま微動だにしない僕の背中を、ぺちぺちと叩く。

「ヤりすぎたか……?」
「……」

男が、独り言のように呟く。
その言葉通り、蛍光灯の明かりだけだった室内に、カーテン越しから柔らかな自然光が射し込まれていた。

殆ど意識を失っていたけど、文字通りの『夜通し』。
寛司と初めて会った日も、酷く乱暴にはされたけど……朝になるまで何度も何度も、なんて事は無かった。

身体中が痛くて痛くて、息をするのも辛い。
何より、動けない。
点滴を打って回復したとはいえ、まだ病み上がりの身体には酷すぎる。


「………ヤりすぎだ、馬鹿」


パタンとドアが閉まり、足音と共に誰かが此方へと向かってくる。

「死んだらどうするんだよ」
「………そりゃ、マズいな」

うつ伏せている僕の肩を男の大きな手が掴み、少し乱雑にひっくり返す。
それだけで全身が軋み、痛くて堪らない。

「大丈夫か……?」

一糸纏わぬ姿のまま胡座をかいた男が、僕の身体をひょいと抱き上げる。赤ん坊を抱くような、お姫様抱っこのような格好。くたっとした僕を、心配そうに男が覗き込む。

「………」

瞼を薄く持ち上げたまま、真っ直ぐ僕に視線を注ぐ男の瞳をぼんやりと見つめる。

………本当に、知らない顔。
以前に何処かで会った事があるんだろうけど、僕には全く覚えが無い。


「おい、生きてるぜ。……ほら見ろよ!」


随分と嬉しそうに口角を持ち上げ、部屋に入ってきた男に元気よく答える。

「………お姫様が生きてて何よりだな。今後は俺の許可なく触るなよ」
わぁってるって」

男が返事をする間に、もう一人の男が僕の顔を覗き込む。
ぼんやりとした視界の中に、その顔が映り込んだ瞬間──ぱちんと瞼が持ち上がるのを止められなかった。


「そんなに驚いた?……お姫様」


不敵な笑みを浮かべて見せるのは、忘れもしない──金髪蒼眼の……


「──!」


……屋久やく基成もとなり




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