68 / 118
第三章 パパ
68.隔たり
しおりを挟む
×××
あんな風に、先生に庇って貰った事なんて一度もない。施設組の私は、そういう偏見の元で教育を受けてきたのだから。
『差別をしてはいけません』──そう称えていた先生が、私と同じ施設にいた子に暴力を振るっていた。それは青痣が出来る程で、他の施設組が学校側を訴えたのにも関わらず、問題として取り上げられる事はなかった。……あの青痣は、転んで階段から落ちて出来たものだと。
私も、クラスの女子に囲まれリンチを受けた事がある。その近くを、偶然通りかかった担任と目が合った。それはハッキリと憶えてる。……にも関わらず、見てみぬふりをして通り過ぎて行った。
──それに、あの時だって、
じめじめとした薄暗い部屋の隅。剥き出しの肌に這う、生暖かで蛞蝓の様な感触。
忌まわしい過去の記憶が脳裏を過り、直ぐに拒絶して打ち消す。
どんなに周りに助けを求めようと、それをきちんと受け止めてくれる誰かがいなければ……危険を冒してまでSOSを発信するのは無駄なんだと悟った。
だから、求めない。
辛い目に遭ったとしても、我慢して私の中に閉じ込め、処理していくしかない。
……そう、思ってた。
「……」
もしかして、大山さんの代返の件も、私に注意したんじゃなくて……
そう思うと、何ともいえない気持ちになる。あの時も今も、私に気付いてくれて、庇われていたのだとしたら……
どうしようもなく恥ずかしくて、胸の奥が熱くて……擽ったい。
あんな風に、先生に庇って貰った事なんて一度もない。施設組の私は、そういう偏見の元で教育を受けてきたのだから。
『差別をしてはいけません』──そう称えていた先生が、私と同じ施設にいた子に暴力を振るっていた。それは青痣が出来る程で、他の施設組が学校側を訴えたのにも関わらず、問題として取り上げられる事はなかった。……あの青痣は、転んで階段から落ちて出来たものだと。
私も、クラスの女子に囲まれリンチを受けた事がある。その近くを、偶然通りかかった担任と目が合った。それはハッキリと憶えてる。……にも関わらず、見てみぬふりをして通り過ぎて行った。
──それに、あの時だって、
じめじめとした薄暗い部屋の隅。剥き出しの肌に這う、生暖かで蛞蝓の様な感触。
忌まわしい過去の記憶が脳裏を過り、直ぐに拒絶して打ち消す。
どんなに周りに助けを求めようと、それをきちんと受け止めてくれる誰かがいなければ……危険を冒してまでSOSを発信するのは無駄なんだと悟った。
だから、求めない。
辛い目に遭ったとしても、我慢して私の中に閉じ込め、処理していくしかない。
……そう、思ってた。
「……」
もしかして、大山さんの代返の件も、私に注意したんじゃなくて……
そう思うと、何ともいえない気持ちになる。あの時も今も、私に気付いてくれて、庇われていたのだとしたら……
どうしようもなく恥ずかしくて、胸の奥が熱くて……擽ったい。
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる