死にたがりな悪役令嬢

白湯

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〜*第3話*〜

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「……ん、あれ…」

ーー何だか悲しい夢を見てた気がするのだけど…
 目を覚まし、そう呟くと頭上から声がする。

「やぁ、やっと目が覚めたのかい?お姫様」

 今更ながら頭を撫でられている事に気が付いた。これって……いわゆる膝枕ってやつ
 っていうか、どうして

「お兄様がここに……?」

 身体を起こすと、いつの間にか掛けられた上着が地面に落ちる。
 本当嫌になるくらい紳士ね。
 上着を拾い上げて、目の前の兄と向かい合う。

「……色々聞きたい事はあるが、まずその格好をどうにかしなさい」
 気まずそうに視線を逸らされる。

ーーあ。そうだった
 服装を確認すると、リボンを2つ外した事で少しだけ胸の谷間がみえている。アメリア胸が大きいから、ちょっと目立つな。

 まぁ、ドレスの中にはもっと胸の谷間とか見える時もあるし、今更な気がするけど。

 休む前より、幾分かだけれど気怠さも緩和し、気分も良くなっている
 大人しく外していたリボンを装着して、改めて向かい直す。

「……もう平気か?」
「え?……んっ」

 するりと頬に触れ、濡れた目元を指でなぞる。
 自分でも気付かなかったけど、泣いていたみたいだ。

「平気よ、お兄様」

 ニコリと微笑み兄の手に身を委ねる。ーーふふ、記憶の中の彼もアメリアが泣いていると、こうやって側に居て慰めてくれている。暖かい。

ってあれ、待って!

「どうしてここにお兄様が!?あれ、ここ王族専用の庭園よね!?あれ、まって、今何時!?」

 途端ボンヤリしていた意識が覚醒する
 いくら公爵子息だからって、兄がここにいることはマズイだろう。
 そもそも、寝てしまってどのくらい経っているのか

「アハハ、何を今更そんなに慌てているんだ。大丈夫だ。お…私がここに居ても咎められないし、我が妹にはここで働き始める事は内緒にして、驚かせるつもりだったが…成功だったみたいだな」

 クシャクシャと頭を撫でられる。
 良くよくみると、いつものように感じるけど、どこか違うような?

「お兄様…何かあったのですか?」

 その言葉に一瞬撫でる手がピクリと反応するも「何も無いよ」とはぐらかされて終わった。
 この様子だと絶対教えてはくれなそうね。

「そうですか、、それでは、私は学園に戻りますわ。」

ーーとにかく、急いで授業に戻らないと
 立ち上がろうとした所で、グッと腕を引かれ、ビクッと触れられた所が条件反射のように反応する。

「そんな顔色をしている状態で、戻す事は許可できない。取り敢えずこれを食べなさい」

 座り直す形になった私の口に、1口大のサンドイッチを放り込む。

「んむ」

 いくら1口大のサイズとはいっても、急に口に入れられる危ないんですけど。
 咀嚼しながらジトーっとした視線を送ると

「アメリア…私が今怒っている事に気づいてるかい」

ーーなにこれ、怖い
 笑ってはいるけど、全く瞳が笑っていない
 後ろに吹雪の幻覚がみえるよ。サンドイッチを飲み込む際、コキュッと音が鳴った。

「まず、その首はどうした」

 パッと傷跡がある所に、リボン越しに手を当てる。
 これは、なんて説明したらいいんだろうか
 正直に言ったら…怒られそうだなぁ

「えっとぉ…オシャレをしてみようかと…」
「ふむ、そこか。寝ている間に確認しようとしたが、我慢したんだ。みせなさい」
「え、あ、待って、エリック兄様」

 解かれまいと、手でガードするけどあっという間に解かれる首元のリボン。

「……ッッ!あいつか?」

 今まで聞いた事ない、地を這うような低い声。
 まずい、そうとう怒っている雰囲気だ──…まぁ、そうだよね。女に傷がある事を良しとしない世界だと、うろ覚えながら覚えている。

 血が出るんじゃないかと思うくらい、唇を噛み締めるエリック。
 本当に素敵な兄ね…。

「大丈夫だから。なんともないわ。ね?お兄様」
 力を抜いて欲しくて、子供をあやす様に胸に抱き締めトントンと背中を叩く。

ーーこんな事でエリックとロナルドが言い争う事になったら大変だからね。
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