【本編完結済】爆盛りスイーツから始まる恋のレシピ~陰キャ男子はお菓子作りでボッチ回避に成功しました~

ぷかり

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まんまるトリュフチョコ3

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 そして迎えた日曜日当日。
 約束の時刻より少し前から、僕はチノパンにトレーナ、上からダウンジャケットという、ファッション性皆無な装いをして玄関脇で待機していた。

 晴人なんかだと組み合わせ次第でこんな服でも着こなしてみせるんだろうけど、僕には無理。
 おしゃれのことは早々に諦めて、大人しく待つこと数分、こちらもちょっと早いお出ましで山村さんが姿を現した。

「お、早いな」
「山村さんこそ」

 彼も僕と似たような格好のはずなのに、体格の差か、やたらと様になっている。
 やっぱり筋肉なのか。しなやかな身体と高い背丈、それと年長者らしい落ち着いた雰囲気は僕にはないもの。
 来年、今の彼と同じ年になってもたぶん僕には身に着かない。同じ男として純粋に憧れる。

「どこに行くんですか?」

 駅の方向に向かっていることだけはわかる。
 この辺りは住宅街が中心だから、たぶんあのスイーツビュッフェのある地域まで出るのだろう。

 その予想は当たっていて、

「着いてからのお楽しみ」

 のらりくらりと躱す彼に導かれ、電車に乗り、着いた先はやはりあの駅だった。

「そろそろ教えてくれたっていいじゃないですか」

 そう訴えている間にも、サクサクと先輩は進んでいく。
 足取りは重くないのに、歩幅が圧倒的に違う僕でも置いて行かれない速度に自然と合わせてくれるあたり「大人」って感じがする。
 口数は晴人ほど多くはないけれど、合間に気遣いが見えて、身の置き所がないなんて事態にはならない。
 たわいもない話をしているうちに、あっという間に目的地に到達したらしい。

「ほら、着いたぞ」

 そうして先輩が指し示す先にある看板を見上げてみると、そこはなんと「スポーツ」の文字が!
 存在だけはなんとなく知っている。確か、定額で時間内ならスポーツやアミューズメントが体験し放題、みたいな施設だ。

 まさか、ここで遊ぶの?
 どんなアクティビティがあるのかわからないが、ボールもバットも用意していないし、ほとんど身一つで来ちゃったんだけど、本当に大丈夫?

 あまりに場違いな空気に身じろぎするが、

「ダイエット中、なんだろ?」

 山村さんのチョイスはどこまでも僕のためのもの。

 一人じゃ到底来ようとも思えない場所に連れてきてくれたことにまずは感謝すべきなんだろうが、

「何も持ってきていないんですけど!」

 心配が先立ってしまうあたり良くない。

 しかし、さすがは先輩。僕の不安は一瞬にして打ち破られる。

「大丈夫、全部レンタルできるから」

 ああ、これで本当に逃げ道が塞がれてしまった。運動って苦手なのに。
 僕のテンションに反比例するように山村さんは乗り気らしい。

「ここならいろんな部位を動かせる」
「いや、僕は……」

 山村さんと同じだけ動いたらたぶん明日筋肉痛で死ぬ。
 生まれたての小鹿みたいな足で学校に行くのはちょっと、いや、かなりしんどい。
 しかも、スポーツってルールもわからないものだらけ。

 これ、無理ゲーってやつでは?

 予想だにしない事態に慌てるも、そんな僕を放って山村さんはさっさと入場券を買ってしまう。

「あ、チケット……」
「この間の礼ってことで」

 まとめて二枚発券したうちの片方を差し出されたら、もう腹を括るしかないけれど、あんな水羊羹で全額払ってもらうのは申し訳なくて抗議したものの、

「一回出したものを引っ込めるなんてダサい真似はしない」

 受け入れてもらえず、結局奢られてしまった。
 こういうところも硬派だ。
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