【本編完結済】爆盛りスイーツから始まる恋のレシピ~陰キャ男子はお菓子作りでボッチ回避に成功しました~

ぷかり

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まんまるトリュフチョコ2

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 心臓が止まるかと思った。
 晴人の厳しい瞳なんて向けられたことがなかったから。
 ヒヤリとも、ドキリともとれるような音が心臓からして、それから真冬なのに背中に汗が伝った。

 これで日曜日一日中自宅にいたらまずいよね?
 かといって一人で出かけて、万が一にでも目撃されようものなら気まずくなることは必至。

 母さんを追いかけて父さんのところに行くとか?
 いやいや、わざわざ押しかけるような場所じゃないし、今までほとんど訪ねたことがないのに、急に現れたとなったら心配されてしまうかも。

 数日間、悩みに悩んですでにもう金曜日。何のプランも定まらないままにここまで来てしまった。
 一つ嘘をつくと、その嘘のためにまた別の嘘を重ねないといけないとは、いったい誰の教えなのだったか。

 今からでも遠出の準備をする母に、

「一緒に父さんのとこ連れて行って」

 と頼むべきか。

「はあ」

 走りながらも溜息が出ちゃうほどには参っているこの現状を誰かに聞いてほしくて、

「朝からどうした?」

 並走する山村さんが心配してくれるのをいいことに、僕は洗いざらい一連の流れを説明した。
 もちろん失恋云々は伏せてある。

「つまり、友達の親と会うのが嫌で先約があると言ってしまった手前、誰かと過ごす予定を立てないといけないが、その相手がいない、と」
「そうなんです」

 正にわかりやすく要約してくれた通り。

 僕の休日の過ごし方なんてだいたい家でお菓子作りをしているだけ。
 最近になってナオくんや大志くんと共同作業することも増えたものの、基本的には一人でもできる趣味だし、これまで友達の必要性をそこまで感じてこなかったので、結局なんだかんだいまだに晴人以外学校で話せる人もいない。

「実は高校の友達、全然いなくて」

 まあ、転々としてきた小学校、中学校でも特別親しい人なんていなかったんだけど。
 自分で言っていて情けなくなってくる。やっぱり将来のためにも、晴人を見習って多少は社交性とか身に着けた方が良いよね。

「俺がいるだろ」

 ガックシ肩を落としたのを見かねてか、山村さんが自身を指さす。

「日曜日、桜庭が俺と出かければ全部解決するんじゃないか?」
「えっ」

 これみよがしに溜息を吐いてしまったからか、そうでなければご近所の後輩が困っているのを見過ごせない正義感か。

「それとも、俺じゃ力不足か?」

 どちらにせよ、同情と親切心からの優しい提案に飛びつかないわけがない。

「そんなことないです!」
「良かった」

 勢いよく否定すれば、素朴な笑みで返される。
 はにかむ姿に嫌味なところは一ミリだってない。

 なんて良い人なんだ……!

「でも僕、遊べる場所あんまり知らないんです」

 スイーツビュッフェだって晴人が調べてくれたやつだし、少なくともダイエット中に訪れるようなところじゃない。
 そもそも、男子高校生が集まるようなスポットすらわからない。
 漫画だと映画とかカラオケとか? ファミレスも定番だったはずだけど、僕と山村さんに当てはまるかというと微妙な気がする。

 しかし、そんな心配をよそに、

「こっちで決めるから」
「じゃあ、おまかせしますね」

 頼りになる先輩は当てがあるようで、

「それじゃあ、明後日十一時頃。迎えに行くから」

 動きやすい恰好でな、と言い残し颯爽と駆けて行ってしまった。
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