【本編完結済】爆盛りスイーツから始まる恋のレシピ~陰キャ男子はお菓子作りでボッチ回避に成功しました~

ぷかり

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まんまるトリュフチョコ7

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 そうこうしているうちに二月も中旬に差し掛かろうとしていた。
 玉砕覚悟のバレンタインまであと数日。
 引き続きダイエットに励んだおかげで目標体重にギリギリ届き、目下の悩みは晴人に渡すチョコレートのことのみ。

 最後になるかもしれないから、できるだけ爆盛りスイーツに落とし込みたいところだけど、まだいまいちレシピを決め切れていない。
 もちろん候補は絞った。
 定番のガトーショコラに、ほろ苦いブラウニー、おしゃれなテリーヌや、ココア風味のカヌレ。

 晴人のことだからきっと何をあげても喜んでくれる。
 だけど、せっかくなら自分でも満足いく完璧なものをあげたくて、迷いに迷って今に至る。

 この間、ナオくんと道で出くわした時に、

「大志くんにあげるチョコ作りたいんだあ」

 と言っていたから、流れで一緒に作る話になったものの、まったく同じものを用意しても本命感が出ないかも、と思ったりしてみたり。

 やっぱりザ・チョコレートって感じの方が無難かな?

「溶かして固めるだけだとカチコチになっちゃうし、生クリームを入れて……」

 ちなみに、もちろんこのことは僕とナオくんの秘密。
 お互い「サプライズだから内緒にしてようねー」って口裏合わせも済ませてある。
 似たような材料で出来上がりは違うものだと面白いよね。

 ナオくんは華やかな見た目の方が好きみたいだから、いわゆる女児チョコとかもいいかも。
 大志くんは似たようなものをたくさんもらいそうだけど、一等上手に作って周りと差をつける作戦もアリだ。

 って、これはさすがに性格悪すぎ?
 でも、簡単だし工夫次第でオリジナリティも出せて便利なんだよね。
 それに、なんて言ったって初めての手作りチョコ感がある。

 ちょっくら視察がてら覗いた百円均一のショップにも、いろいろトッピング用シュガーやアラザンがあったし、ナオくんが自分で選んだらそれだけで個性が出せそう。
 と、なると僕が作るのはアレだな。

 これから先、何度もくるバレンタインの中でも晴人の記憶に残るくらい大きなお菓子をプレゼントしよう。
 
*
 バレンタイン当日は金曜日。
 さすがにその前の土日からチョコレートを用意して保管しておくわけにもいかず、ナオくんとの協議の末、僕らのバレンタインは十五日ということにした。

 昨日は、幸い男子校だからスーパーマーケットで買えるようなスナック菓子を交換、というか持ち寄って休み時間に広げるなんて光景はあったものの、晴人がちゃんとした本命を受け取る場面は見なくて済んだ。

 それに当日は彼女と過ごすのが当たり前。むしろ僕の番は翌日でよかったのかもしれない。
 コイビトとのイベントに友達の男がしゃしゃり出るのってなんか申し訳ないしね。
 でも、なんか緊張しちゃうな。

 スイーツを作って食べさせるなんていつもやっていることなのに、特別なイベントだと思うと、変な焦燥感に駆られて十四日の晩はあまり眠れなかった。
 ベッドの中で横たわりながら何度もシミュレーションしてみては、不安になって、そうこうしているうちに朝を迎えた。

 ナオくんが来たのはお昼前。
 毎度晴人に送ってもらっているナオくんだけど、今日は公園で待ち合わせをした。
 念のため親御さんには行き先を告げてもらったけど、晴人には内緒。
 一緒にラッピングと飾りつけ用の素材を購入してから、家でチョコレート作りをする予定。

 仲良く手を繋いでお店に入ると、もうすでにバレンタインのコーナーはなくなっていたけれど、年中ある製菓用のもので充分だから問題はなかった。
 中には在庫処分で安売りになっていたものもあって、なんならちょっと得したくらいだ。

「上手にできるかな」

 一通り要るものを買って、重たくなったビニール袋を揺らしながらナオくんが僕を見上げる。

「今までも上手だったから大丈夫だよ」
「そっか!」

 素直で可愛いな。
 僕もナオくんくらいの可愛げがあったら、また違った未来があったのかな。

 チョコレートは渡すにしても、冗談めかしてあげるか、本気で好きだと伝えるか、まだ決めかねているのは、僕が意気地なしだから。

「大志くんに喜んでもらえるといいね」
「うん!」

 男同士の友チョコなのか、はたまた淡い恋心なのか。どちらにしても、ナオくんには僕の分も幸せになってほしい。
 そして晴人に振られても、ナオくんと仲良くさせてもらえますように。
 そんなささやかな願いを胸に、僕らはお菓子作りをスタートさせた。
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