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好きな子をいじめ続ける子ども・タイラント
しおりを挟む十六人目の子ども
「好きな子をいじめ続ける子ども・タイラント」
タイラントは、顔に気味の悪いメイクをした、オーバーオールの似合う子どもです。
腕には、男性用のシルバーの時計を付けています。
タイラントには、好きな子がいます。
その子は、とてもどんくさく、
「よく怪我をします」
ずっと見ている内にほっとけなくなったのか、タイラントは、その子を夢中で追いかけるようになりました。
「好き」と、伝えたいのですが、感情表現の苦手な子です。
好きな子には、本当の気持ちは言えずに、いじわるなことばかりをしてしまいます。
好きな子がバスに乗ろうとすると、腕をひっぱって乗れなくしたり、
ポツポツと雨の降る中、木の下でエクレアを食べようとすると、エクレアを盗んで走り出します。
周りの人たちからは、いじめっ子だと思われています。
いじめる度に気味の悪いメイクがどろどろに崩れて、脚も痛くなるのです。
好きな子に、なかなか好きとは伝えられません。
もう間もなく一日が終わります。
また、時計が同じ時刻を指します。
同じ時刻に、好きな子がバスに乗れないように通せん坊をしたり、
木の下でエクレアを食べようとすると、虫の死骸を投げつけて、木から離れさせます。
好きな子が乗ろうとしたバスは、大きな衝突事故を起こし、木にはカミナリが落ち、燃え上がるのです。
毎日、これの繰り返しなのです。
タイラントは、ニヤリと笑います。
このいじめは、「好き」と伝える日がくるまで続くのです。
タイラントは、好きな子を何度も助ける事ができる、
しあわせな子どもでした。
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