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弥助の気持ち
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「なあ、お菊ちゃん。今度俺と蛍を見に行かねえか? 勿論二人でさ。……まあ源さんが反対するなら、今回は無理強いしねえけど」
源達の住む長屋に訪れた弥助は、玄関の敷居を跨ぐなり頬を朱に染め言葉を漏らした。
お菊に思いを寄せる、町火消しの大将五郎衛門の息子弥助は、いつもの飄々とした様子なりを潜め、緊張のせいか次第に語尾が小さくなっていく。
五郎衛門は民衆の指示を得ているしっかり者で、従業員である大工と火消し達(年を経て火消しを兼任出来なくなった者も、そのまま大工として住んでいる)が暮らす大きな家に住んでいる。
女将であるお藤は、奉公に来ている女達を率いてその暮らしをサポートする役割も持っていた。
寮母のような存在である。
但し火消し達が所帯を持てば、そこは出て行くことになっているので、まあまあの回転率ではある。
実際に火消しの仕事は重労働な為、結婚後は大工仕事だけに従事する者もいる。それで成り立つほど、江戸は火事が多い町だった。
それを思えば、建築を取り仕切る火消しの次期大将からの誘いは、玉の輿の部類だ。
源が今でも世話になっている、信頼する大将の息子で彼自身も可愛がっていた少年でもある。
普通なら反対はしないのだが、清次郎の件が頭を掠めた。
今後もお菊は臨時賞与を貰いながら、清次郎の為に時々囮調査に協力することになっていたからだ。
◇◇◇
その話が出た時。
源は頑として止めたが、肝心のお菊が言うことを聞かなかった。
「ねえ、お父ちゃん。私ならお父ちゃんに護身術も習ってるし、大丈夫だよ。いざとなったら、玉を潰してでも逃げるから! お父ちゃんの役に立ちたいんだよ(ついでに臨時収入も欲しいし)。やらせておくれよ」
(俺は護身用に仕込んだのに。自分から危険に飛び込む為じゃねえんだよ。どうして分からねえんだ。このはねっ返りが!
「玉って、お前。相手は急に切りつけて来ることだって、大人数で襲われることだってあるんだぞ。なめて出来る仕事じゃねえんだ。……心配なんだよ、お菊」
切なそうに呟く源にチクリと心を痛めるお菊だが、彼恩返しをしたい気持ちが強くてそれを無視する。
血の繋がりのない自分を育てる源に、少しでも美味しい物を食べて欲しいし、何か買ってあげたいと強く思って。
「大丈夫だって。だって息子大好きな清次郎さんのお父ちゃんが、いつも彼に護衛を付けているんでしょ?
それなのに、お父ちゃんにも協力させてるって言ってたし。
かなり安全なんじゃない?」
したり顔で言うお菊に頭を抱える。
それに清次郎は、お菊に何を吹き込んでいるんだと腹が立つ。
いくら弱味があっても、それはいったん棚上げだ!
(お菊、そんな男が普通の同心な訳がないだろう。俺は盗人の罪をこの男に見逃されて、岡っ引きになった。いや、ならされたんだ。
この男の親が誰なのか、教えられたとして本当にそれが真実かも分からない。
少し調べても詳細はうやむやで、答えられる人もいなくて余計に胡散臭いんだよ。
まあ俺も、恐くて深くは探れないけどな。
だからこれ以上、関わらせたくないのに……。
いったい誰に似たんだか? はぁ)
「そうですよ、源。絶対に僕がお菊ちゃんを守りますから、安心して下さい。ね、お菊ちゃん」
「はい! よろしくお願いします、清次郎さん」
「こちらこそ、よろしくね。良いよね、源も」
「……はい。よろしくお願いします。清さん、絶対にお菊を守って下さいね!」
清次郎の仄暗い微笑みに、それ以上は口が挟めず賛成にまわった源。立場は対等ではないのだ。
彼には弱味があるから。
けれども、それ以上にお菊のことが大切だった。
もしも事前に危険だと分かった時は、お菊を連れ出して二人で江戸を去ろうと思うほどに。
◇◇◇
そんな状況であった為、長屋でお茶を飲んでいた清次郎に源は目を向けた。すると、彼は微笑んで頷く。
「良いんじゃない、蛍を見に行くくらい。僕も……邪魔はしないよ。ふふっ」
清次郎の付いて行こうとする発言を、弥助は睨みをきかして遮った。
(まだまだ若いよね。そんなに素直じゃ、すぐ足元を掬われるよ。武士と平民は対等ではないからね)
そんな清次郎の思考を悟らせない冷たい微笑に、気づいたのは源だけだった。
(ああ。この人、笑顔で怒ってるよ。頼むから彼には危害は加えないでくれよ。まだ若いんだから、見逃してやってくれ!)
そんな源の内心を知らない町民達は、良い男が揃って何事かしら。眼福、眼福などと微笑んで様子を眺めていた。
それを面白くない思いで見つめるのは、呉服屋の愛娘の小鈴だった。
器量良しで人気のある彼女は多くの釣書が届き、高嶺の花と憧れられていた。
「弥助さんは私のなのに……。何よ、あの女。美形を侍らせて気の多いこと。あの方さんには奥ゆかしい方が似合うのに。許さないから」
弥助が好きな小鈴は父親に頼み、五郎衛門のところに何度も縁談を持ちかけていた。
けれど寮母のような火消しの女将は、箱入りには無理だと理由づけし丁重に断っていたのだ。
実際に箸や筆以外持たない小鈴では、女将は勤まらないだろう。
けれど恋だけは、分かっていても儘ならぬもので。
「百歩譲って私を選ばなくても、あの貧乏娘を選ぶのだけは駄目よ。清次郎さんとまで仲良くして、図々しい」
彼女とて、武士と平民の違いは理解している。
平民から武家に嫁ぐ周囲の金持ちの娘達は、あからさまに見下してくるからだ。
実際に武家に嫁いだ娘達は政略であり、金を見込まれて望まれていた為、本人の意思ではなかった。
礼儀や作法、知識を詰め込まれ、日常から上品に振る舞うことを強要される為、小鈴から見ると見下しているように見えただけなのだけれど。
つい先日も……。
「私は普通に、平民として結婚したかったわ。綺麗な格好をしても自由がないのだもの」
「七海さんは贅沢よ。威厳のある晴海様と立派なお屋敷で暮らせているのに」
「そうね。……我が儘なのかしらね」
「そうよ。私から見たら自慢にしか聞こえないわ」
「そんなつもりはないのよ。不快にしたなら謝るわ」
「また汐らしいことを言って。武家の奥様になると違うわね」
「っ、そんな……」
「ふんっ」
幼い時からの親友であった七海は、小鈴に本心を伝えたと言うのに、その気持ちは届かなかった。
劣等感に陥った彼女は、誰も彼もが敵に見えた。
そして友人も離れていく。
結局、弥助はお菊との約束を取り付けた。
お菊は兄のような気持ちで、遊びに行く気分だったが。
「蛍、楽しみだねえ。帰りにはお父ちゃんに、お土産買っていくからね」
「そんなのは良いから、楽しんでおいで。気を付けてな。弥助、頼んだよ」
「任せてよ。命に代えても守り抜くさ」
それに頷き、送り出す源は少し寂しさを感じていた。
蛍の見える場所の近くには、果実水や酒、飴玉などの音を出さずに売れる、簡易な物を扱う屋台が出ていた。
蛍の見学を邪魔しないような、粋な配慮だ。
そこに売らないと言う選択がないのは、商魂が逞しいとしか言えないが。
「綺麗だねぇ。いつもお父ちゃんは仕事だったから、蛍を見に来たのは初めてなんだ」
「そうか。源さんは忙しいもんね。真面目な人だからなぁ」
暗闇に羽ばたく蛍達は、命を燃やして求愛する為に輝き続ける。
それも人間から見れば、とても僅かな時間を。
静かな時間を声も出さず眺め続けるお菊は、この時ばかりは無心だった。
お菊は蛍の神秘的な光に心を奪われ、弥助はお菊の真剣な眼差しに亡き母の面影を見ていた。
多忙な五郎衛門はいつも夜は会合で忙しく、弥助と母は二人で蛍を眺めに来ていた。
蛍の光る時期は短く、気が付くと過ぎている。
残念ながら亡き母は、父とは蛍を見ていないと言う。
「でも良いのよ。こうして愛の結晶である貴方と一緒に来られたのだから。私は幸せよ」
「僕も母さんと来られて楽しいよ」
「まあ、ありがとう。ふふっ、私は果報者ね」
少し寂しげだったのは、父が不在のことが多いからだろうか? それとも病弱だった我が身を憂いていたのだろうか?
今でもその表情が忘れられないでいた。
弥助がここに来たのは、亡き母と来た時が最後だった。何となく悲しくなりそうだったから。
けれどお菊とだけは、この風景を一緒に見たいと思い誘ったのだ。
無邪気に蛍を見入るお菊を見つめ、『やっぱり、お菊は落ち着くな。ずっと一緒にいたいな』と思いを深める。
蛍に夢中なお菊は、気づく素振りもないが。
離れたところに、清次郎が監視していたのには微塵も気付かない二人。
(不埒なことがないように見張らねばな。お菊は、お前には渡せないよ)
彼の抱える思いも、彼自身にさえまだ分からないのだった。
※ホタルの寿命は、幼虫として約1年、成虫として約2週間と短命。そのほとんどを幼虫期として水中で過ごし、成虫になってからわずか2週間ほどで寿命を迎える。
成虫になると水しか飲めず、交尾をして次代を繋ぐ為に懸命に生きるのだ。
源達の住む長屋に訪れた弥助は、玄関の敷居を跨ぐなり頬を朱に染め言葉を漏らした。
お菊に思いを寄せる、町火消しの大将五郎衛門の息子弥助は、いつもの飄々とした様子なりを潜め、緊張のせいか次第に語尾が小さくなっていく。
五郎衛門は民衆の指示を得ているしっかり者で、従業員である大工と火消し達(年を経て火消しを兼任出来なくなった者も、そのまま大工として住んでいる)が暮らす大きな家に住んでいる。
女将であるお藤は、奉公に来ている女達を率いてその暮らしをサポートする役割も持っていた。
寮母のような存在である。
但し火消し達が所帯を持てば、そこは出て行くことになっているので、まあまあの回転率ではある。
実際に火消しの仕事は重労働な為、結婚後は大工仕事だけに従事する者もいる。それで成り立つほど、江戸は火事が多い町だった。
それを思えば、建築を取り仕切る火消しの次期大将からの誘いは、玉の輿の部類だ。
源が今でも世話になっている、信頼する大将の息子で彼自身も可愛がっていた少年でもある。
普通なら反対はしないのだが、清次郎の件が頭を掠めた。
今後もお菊は臨時賞与を貰いながら、清次郎の為に時々囮調査に協力することになっていたからだ。
◇◇◇
その話が出た時。
源は頑として止めたが、肝心のお菊が言うことを聞かなかった。
「ねえ、お父ちゃん。私ならお父ちゃんに護身術も習ってるし、大丈夫だよ。いざとなったら、玉を潰してでも逃げるから! お父ちゃんの役に立ちたいんだよ(ついでに臨時収入も欲しいし)。やらせておくれよ」
(俺は護身用に仕込んだのに。自分から危険に飛び込む為じゃねえんだよ。どうして分からねえんだ。このはねっ返りが!
「玉って、お前。相手は急に切りつけて来ることだって、大人数で襲われることだってあるんだぞ。なめて出来る仕事じゃねえんだ。……心配なんだよ、お菊」
切なそうに呟く源にチクリと心を痛めるお菊だが、彼恩返しをしたい気持ちが強くてそれを無視する。
血の繋がりのない自分を育てる源に、少しでも美味しい物を食べて欲しいし、何か買ってあげたいと強く思って。
「大丈夫だって。だって息子大好きな清次郎さんのお父ちゃんが、いつも彼に護衛を付けているんでしょ?
それなのに、お父ちゃんにも協力させてるって言ってたし。
かなり安全なんじゃない?」
したり顔で言うお菊に頭を抱える。
それに清次郎は、お菊に何を吹き込んでいるんだと腹が立つ。
いくら弱味があっても、それはいったん棚上げだ!
(お菊、そんな男が普通の同心な訳がないだろう。俺は盗人の罪をこの男に見逃されて、岡っ引きになった。いや、ならされたんだ。
この男の親が誰なのか、教えられたとして本当にそれが真実かも分からない。
少し調べても詳細はうやむやで、答えられる人もいなくて余計に胡散臭いんだよ。
まあ俺も、恐くて深くは探れないけどな。
だからこれ以上、関わらせたくないのに……。
いったい誰に似たんだか? はぁ)
「そうですよ、源。絶対に僕がお菊ちゃんを守りますから、安心して下さい。ね、お菊ちゃん」
「はい! よろしくお願いします、清次郎さん」
「こちらこそ、よろしくね。良いよね、源も」
「……はい。よろしくお願いします。清さん、絶対にお菊を守って下さいね!」
清次郎の仄暗い微笑みに、それ以上は口が挟めず賛成にまわった源。立場は対等ではないのだ。
彼には弱味があるから。
けれども、それ以上にお菊のことが大切だった。
もしも事前に危険だと分かった時は、お菊を連れ出して二人で江戸を去ろうと思うほどに。
◇◇◇
そんな状況であった為、長屋でお茶を飲んでいた清次郎に源は目を向けた。すると、彼は微笑んで頷く。
「良いんじゃない、蛍を見に行くくらい。僕も……邪魔はしないよ。ふふっ」
清次郎の付いて行こうとする発言を、弥助は睨みをきかして遮った。
(まだまだ若いよね。そんなに素直じゃ、すぐ足元を掬われるよ。武士と平民は対等ではないからね)
そんな清次郎の思考を悟らせない冷たい微笑に、気づいたのは源だけだった。
(ああ。この人、笑顔で怒ってるよ。頼むから彼には危害は加えないでくれよ。まだ若いんだから、見逃してやってくれ!)
そんな源の内心を知らない町民達は、良い男が揃って何事かしら。眼福、眼福などと微笑んで様子を眺めていた。
それを面白くない思いで見つめるのは、呉服屋の愛娘の小鈴だった。
器量良しで人気のある彼女は多くの釣書が届き、高嶺の花と憧れられていた。
「弥助さんは私のなのに……。何よ、あの女。美形を侍らせて気の多いこと。あの方さんには奥ゆかしい方が似合うのに。許さないから」
弥助が好きな小鈴は父親に頼み、五郎衛門のところに何度も縁談を持ちかけていた。
けれど寮母のような火消しの女将は、箱入りには無理だと理由づけし丁重に断っていたのだ。
実際に箸や筆以外持たない小鈴では、女将は勤まらないだろう。
けれど恋だけは、分かっていても儘ならぬもので。
「百歩譲って私を選ばなくても、あの貧乏娘を選ぶのだけは駄目よ。清次郎さんとまで仲良くして、図々しい」
彼女とて、武士と平民の違いは理解している。
平民から武家に嫁ぐ周囲の金持ちの娘達は、あからさまに見下してくるからだ。
実際に武家に嫁いだ娘達は政略であり、金を見込まれて望まれていた為、本人の意思ではなかった。
礼儀や作法、知識を詰め込まれ、日常から上品に振る舞うことを強要される為、小鈴から見ると見下しているように見えただけなのだけれど。
つい先日も……。
「私は普通に、平民として結婚したかったわ。綺麗な格好をしても自由がないのだもの」
「七海さんは贅沢よ。威厳のある晴海様と立派なお屋敷で暮らせているのに」
「そうね。……我が儘なのかしらね」
「そうよ。私から見たら自慢にしか聞こえないわ」
「そんなつもりはないのよ。不快にしたなら謝るわ」
「また汐らしいことを言って。武家の奥様になると違うわね」
「っ、そんな……」
「ふんっ」
幼い時からの親友であった七海は、小鈴に本心を伝えたと言うのに、その気持ちは届かなかった。
劣等感に陥った彼女は、誰も彼もが敵に見えた。
そして友人も離れていく。
結局、弥助はお菊との約束を取り付けた。
お菊は兄のような気持ちで、遊びに行く気分だったが。
「蛍、楽しみだねえ。帰りにはお父ちゃんに、お土産買っていくからね」
「そんなのは良いから、楽しんでおいで。気を付けてな。弥助、頼んだよ」
「任せてよ。命に代えても守り抜くさ」
それに頷き、送り出す源は少し寂しさを感じていた。
蛍の見える場所の近くには、果実水や酒、飴玉などの音を出さずに売れる、簡易な物を扱う屋台が出ていた。
蛍の見学を邪魔しないような、粋な配慮だ。
そこに売らないと言う選択がないのは、商魂が逞しいとしか言えないが。
「綺麗だねぇ。いつもお父ちゃんは仕事だったから、蛍を見に来たのは初めてなんだ」
「そうか。源さんは忙しいもんね。真面目な人だからなぁ」
暗闇に羽ばたく蛍達は、命を燃やして求愛する為に輝き続ける。
それも人間から見れば、とても僅かな時間を。
静かな時間を声も出さず眺め続けるお菊は、この時ばかりは無心だった。
お菊は蛍の神秘的な光に心を奪われ、弥助はお菊の真剣な眼差しに亡き母の面影を見ていた。
多忙な五郎衛門はいつも夜は会合で忙しく、弥助と母は二人で蛍を眺めに来ていた。
蛍の光る時期は短く、気が付くと過ぎている。
残念ながら亡き母は、父とは蛍を見ていないと言う。
「でも良いのよ。こうして愛の結晶である貴方と一緒に来られたのだから。私は幸せよ」
「僕も母さんと来られて楽しいよ」
「まあ、ありがとう。ふふっ、私は果報者ね」
少し寂しげだったのは、父が不在のことが多いからだろうか? それとも病弱だった我が身を憂いていたのだろうか?
今でもその表情が忘れられないでいた。
弥助がここに来たのは、亡き母と来た時が最後だった。何となく悲しくなりそうだったから。
けれどお菊とだけは、この風景を一緒に見たいと思い誘ったのだ。
無邪気に蛍を見入るお菊を見つめ、『やっぱり、お菊は落ち着くな。ずっと一緒にいたいな』と思いを深める。
蛍に夢中なお菊は、気づく素振りもないが。
離れたところに、清次郎が監視していたのには微塵も気付かない二人。
(不埒なことがないように見張らねばな。お菊は、お前には渡せないよ)
彼の抱える思いも、彼自身にさえまだ分からないのだった。
※ホタルの寿命は、幼虫として約1年、成虫として約2週間と短命。そのほとんどを幼虫期として水中で過ごし、成虫になってからわずか2週間ほどで寿命を迎える。
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