2 / 44
名も知らぬ彼との出会い
しおりを挟む
う……ん…?
何? 真っ暗なんですけど……
(私、目を開けているわよね!?)
あ…あっちが少し明るい…?
(…行ってみよう)
ここは……部屋? 誰の?
っ!!
あれは、PC!
(え!? PCって何……いえ…分かる…ここは…ここは私の部屋だわ!)
でも、私はフェリシア…
だけど、澤近麻衣子でもある…
どういう事? 私、死んだの? フェリシアとして転生でもしたの?
(そうよ…私このPCでゲームしてたのよ…そしたらチャイムが鳴って…)
『そうだよ。この部屋に彼女が入って来て…』
「っ!?」
声が聞こえて振り向くと、見知らぬ男性が佇んでいた。
『君は彼女に殺されたんだ…』
そうだったわ。知らない女性だったから、同じ階に引っ越して来た人なのかと思って、玄関を開けたらいきなり襲い掛かって来たのよ。
部屋に逃げ込んだけど、鍵なんて付いて無いから侵入されて…
『1人の女性がこの部屋で殺される映像…君が起きるまでそれがずっと続いていたんだ。 あの女性は君だったんだね…』
「……貴方は誰?」
『僕は、君が遊んでいたゲームの世界では傍観者をしていた…』
「傍観者?」
『そう。何も出来ず、ただ成り行きを見ているだけの存在だった』
おいで…そう言って、傍観者だという男性は私の手を取り歩き出した。
周りに幾つか映像が浮かび上がる…
「これは…王宮?」
『そうだよ。君が倒れたあのお茶会の会場…』
「倒れた……そうよ、あの時沢山映像が見えて…声も聞こえて…」
『あれは君がやってたゲームの、エンディングに近い場面だよ』
そうか…断頭台で首を切られる場面で気を失ったんだわ…
『いつもならあそこで王子達には出会わなかった…』
「いつもなら…?」
貴方はずっと同じゲームの場面を見続けていたの…?
『でも、今回は違った。君が紫色の薔薇に目を奪われたから…』
確かに…私が好きな色だったから、気になって奥まで入り込んでしまったんだけど…
『君がゲームの展開を思い出して、先に待ち受ける自分の運命を垣間見た瞬間……僕が自由に動ける様になったんだと思う』
この人はもしかしたらゲームの、ナレーションの様な存在だったのかも…
私がゲームの記憶を思い出すまで、同じ世界をずっと繰り返して…?
『僕はいつも君の…フェリシアの運命が可哀そうで仕方なかった…』
そうよね…ギロチンなんてあんまりだわ…
『いつも同じ結末を迎える…その内、それが段々変に思えて来た…』
「変?」
『うん。 だって、フェリシアは処刑される程の罪を犯していない』
……私、喜んでる……これは…フェリシアの気持ち…?
そうよね…誰も信じてくれなかったんだもんね……兄でさえ…
(あの世界に戻ったら……私…また殺されるの…?)
『……だから、君を助けてくれる存在を用意してあげる…』
「え!? 本当っ?」
『うん。僕が直接干渉する事は出来ないけど、間接的になら大丈夫だよ』
「嬉しいっ! これから1人でどうしようかと思ってたから…」
もしかしたら断頭台から…死の運命から逃げられるかも知れない…
『だけど、自由になったからと言っても僕は神では無いから、確実に君を助けられると言う保証は…』
「いいの。 味方が居るだけでも心強いわ」
1人だったら耐えられなかっただろう…し……あ……れ…?
『………そろそろお別れの時間みたいだ』
…また……暗…く………
『フェリシア…いつも…君を見守っているよ……』
――――――――――――――
―――――――――
―――――
―――
「オリヴィア、少し眠っておいで…君が倒れたらフェリシアが悲しむ…」
「あなた……でも…不安で……」
「大丈夫。 必ず目を覚ますよ…私が付いているから休んで来なさい」
「………はい…お願いします…」
「父上…フェリシアはまだ………」
「ジルベールか…心配するな……フェリシアは起きるさ…」
「でも…もう3日も……」
「お前こそちゃんと寝てるのか? そんな顔見せたら妹が心配するぞ…」
(外傷も無く、医者はどこにも異常は無いと言うのに………フェリシア…早く目を覚ませ……)
「にいさま、ねえさまは?」
「フェルドア、姉様は…まだ眠ってるんだ。起きたら一緒に遊ぼうな…」
「はい。 ねえさまはおねぼうさんですね。 はやくおきるといいなぁ」
「………そうだね…ほんとにお寝坊さんだねぇ……」
「マクシム……代わりますわ…あなたも眠って下さいな…」
「ああ…そうだな…」
「…あなたっ! 今フェリシアの手が…」
「っ!? フェリシア!」
……声が…聞こえる………私を…呼んでいる…?
……リ…ア
…ェリシア
やっぱり…私を呼んでる……起きなきゃ…
「フェリシア!」
「目を開けましたわ! ああっ…フェリシア…」
「良かった…本当に、良かった…」
「お…父様」
「心配したのですよ…フェリシア。 良かったですわ…」
「お母様…」
「お前が倒れてから、もう4日目だよ…寝坊助さん」
「そんなに…? 心配かけてごめんなさい…」
「お腹空いてないかしら? 今、胃に優しい物を頼んで来るわね…」
「はい…」
お母様は慌ただしく部屋を出て行った…厨房へ行ったのだろう。
「フェリシア、倒れた時の事…覚えているかい?」
「……あまり覚えてません…」
説明の仕様が無いものね…何て言えば良いのか分からないわ…
それに……言えば必ず心配するだろう。
「そうか…王子達が言うには、突然叫んで倒れたと……っ!?」
断頭台のシーンを思い出し、体が震え出した。
「どうした!? 何故震えてる?」
「わかり…ません……でも…怖い…」
「怖い!?」
お父様が私を抱きしめてくれる…
「お前がこんなに脅えるなんて…一体何が。王子に何かされたのか…?」
「違う…(今の王子達じゃないわ…)ただ…怖いの……」
「…恐怖を感じてこうなったのか……フェリシア。 お前の髪は…」
「髪………っ!?」
自分の髪を手に取って見ると、金髪だったのが銀色に変わっていた…
何? 真っ暗なんですけど……
(私、目を開けているわよね!?)
あ…あっちが少し明るい…?
(…行ってみよう)
ここは……部屋? 誰の?
っ!!
あれは、PC!
(え!? PCって何……いえ…分かる…ここは…ここは私の部屋だわ!)
でも、私はフェリシア…
だけど、澤近麻衣子でもある…
どういう事? 私、死んだの? フェリシアとして転生でもしたの?
(そうよ…私このPCでゲームしてたのよ…そしたらチャイムが鳴って…)
『そうだよ。この部屋に彼女が入って来て…』
「っ!?」
声が聞こえて振り向くと、見知らぬ男性が佇んでいた。
『君は彼女に殺されたんだ…』
そうだったわ。知らない女性だったから、同じ階に引っ越して来た人なのかと思って、玄関を開けたらいきなり襲い掛かって来たのよ。
部屋に逃げ込んだけど、鍵なんて付いて無いから侵入されて…
『1人の女性がこの部屋で殺される映像…君が起きるまでそれがずっと続いていたんだ。 あの女性は君だったんだね…』
「……貴方は誰?」
『僕は、君が遊んでいたゲームの世界では傍観者をしていた…』
「傍観者?」
『そう。何も出来ず、ただ成り行きを見ているだけの存在だった』
おいで…そう言って、傍観者だという男性は私の手を取り歩き出した。
周りに幾つか映像が浮かび上がる…
「これは…王宮?」
『そうだよ。君が倒れたあのお茶会の会場…』
「倒れた……そうよ、あの時沢山映像が見えて…声も聞こえて…」
『あれは君がやってたゲームの、エンディングに近い場面だよ』
そうか…断頭台で首を切られる場面で気を失ったんだわ…
『いつもならあそこで王子達には出会わなかった…』
「いつもなら…?」
貴方はずっと同じゲームの場面を見続けていたの…?
『でも、今回は違った。君が紫色の薔薇に目を奪われたから…』
確かに…私が好きな色だったから、気になって奥まで入り込んでしまったんだけど…
『君がゲームの展開を思い出して、先に待ち受ける自分の運命を垣間見た瞬間……僕が自由に動ける様になったんだと思う』
この人はもしかしたらゲームの、ナレーションの様な存在だったのかも…
私がゲームの記憶を思い出すまで、同じ世界をずっと繰り返して…?
『僕はいつも君の…フェリシアの運命が可哀そうで仕方なかった…』
そうよね…ギロチンなんてあんまりだわ…
『いつも同じ結末を迎える…その内、それが段々変に思えて来た…』
「変?」
『うん。 だって、フェリシアは処刑される程の罪を犯していない』
……私、喜んでる……これは…フェリシアの気持ち…?
そうよね…誰も信じてくれなかったんだもんね……兄でさえ…
(あの世界に戻ったら……私…また殺されるの…?)
『……だから、君を助けてくれる存在を用意してあげる…』
「え!? 本当っ?」
『うん。僕が直接干渉する事は出来ないけど、間接的になら大丈夫だよ』
「嬉しいっ! これから1人でどうしようかと思ってたから…」
もしかしたら断頭台から…死の運命から逃げられるかも知れない…
『だけど、自由になったからと言っても僕は神では無いから、確実に君を助けられると言う保証は…』
「いいの。 味方が居るだけでも心強いわ」
1人だったら耐えられなかっただろう…し……あ……れ…?
『………そろそろお別れの時間みたいだ』
…また……暗…く………
『フェリシア…いつも…君を見守っているよ……』
――――――――――――――
―――――――――
―――――
―――
「オリヴィア、少し眠っておいで…君が倒れたらフェリシアが悲しむ…」
「あなた……でも…不安で……」
「大丈夫。 必ず目を覚ますよ…私が付いているから休んで来なさい」
「………はい…お願いします…」
「父上…フェリシアはまだ………」
「ジルベールか…心配するな……フェリシアは起きるさ…」
「でも…もう3日も……」
「お前こそちゃんと寝てるのか? そんな顔見せたら妹が心配するぞ…」
(外傷も無く、医者はどこにも異常は無いと言うのに………フェリシア…早く目を覚ませ……)
「にいさま、ねえさまは?」
「フェルドア、姉様は…まだ眠ってるんだ。起きたら一緒に遊ぼうな…」
「はい。 ねえさまはおねぼうさんですね。 はやくおきるといいなぁ」
「………そうだね…ほんとにお寝坊さんだねぇ……」
「マクシム……代わりますわ…あなたも眠って下さいな…」
「ああ…そうだな…」
「…あなたっ! 今フェリシアの手が…」
「っ!? フェリシア!」
……声が…聞こえる………私を…呼んでいる…?
……リ…ア
…ェリシア
やっぱり…私を呼んでる……起きなきゃ…
「フェリシア!」
「目を開けましたわ! ああっ…フェリシア…」
「良かった…本当に、良かった…」
「お…父様」
「心配したのですよ…フェリシア。 良かったですわ…」
「お母様…」
「お前が倒れてから、もう4日目だよ…寝坊助さん」
「そんなに…? 心配かけてごめんなさい…」
「お腹空いてないかしら? 今、胃に優しい物を頼んで来るわね…」
「はい…」
お母様は慌ただしく部屋を出て行った…厨房へ行ったのだろう。
「フェリシア、倒れた時の事…覚えているかい?」
「……あまり覚えてません…」
説明の仕様が無いものね…何て言えば良いのか分からないわ…
それに……言えば必ず心配するだろう。
「そうか…王子達が言うには、突然叫んで倒れたと……っ!?」
断頭台のシーンを思い出し、体が震え出した。
「どうした!? 何故震えてる?」
「わかり…ません……でも…怖い…」
「怖い!?」
お父様が私を抱きしめてくれる…
「お前がこんなに脅えるなんて…一体何が。王子に何かされたのか…?」
「違う…(今の王子達じゃないわ…)ただ…怖いの……」
「…恐怖を感じてこうなったのか……フェリシア。 お前の髪は…」
「髪………っ!?」
自分の髪を手に取って見ると、金髪だったのが銀色に変わっていた…
7
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
そちらがその気なら、こちらもそれなりに。
直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。
それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。
真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。
※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。
リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。
※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。
…ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº…
☻2021.04.23 183,747pt/24h☻
★HOTランキング2位
★人気ランキング7位
たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*)
ありがとうございます!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。
乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。
唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。
だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。
プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。
「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」
唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。
──はずだった。
目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。
逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる