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私のお友達ですわ
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「セレム! 急いで獣医を呼んで!」
「フェリシアお嬢様、ジュウイとは何でしょう…?」
「え!?」
(この世界には獣医が居ないの!?)
「では、医者は!? この仔犬を手当てしたいの!」
「動物でしたら魔力を流し込めば治りますが…」
「!! そうなの!?」
驚いた……忘れていたわ、この乙女ゲームは魔法設定があったんだった。
じゃあ私の魔力をこの仔犬にあげればいいのかな?
(魔力……魔力ってどんな? アニメや漫画では確かこんな風に……)
「でもお嬢様はまだ9歳ですので魔力感知は出来な……っ!?」
(集中……集中…体内の魔力……あ…もしかして…これが……?)
仔犬を抱きしめたまま、私の身体を中心に辺り一面銀色に輝く…
「なっ!! 何という輝き……はっ!! いけませんっ!お嬢様っ!」
あ…れ……? セレムの声が…聞こえな……
「ジェシカっ!直ぐに王宮へっ!至急旦那様にお戻り頂くのですっ!」
「はいっ!!」
◇
「マクシム…フェリシアの様子は…」
「ただの魔力の枯渇だから心配無いよ」
「この娘ったら教えられてもいない魔力感知をするなんて…」
「私も驚いたよ。知らせを聞いた時は耳を疑ったね」
「でも何故そんな事が出来たのでしょうか…」
「以前倒れた時に髪の色が変わったのは、その時にこの娘が感じた恐怖が原因だと思っていたのだが」
(執事の話では、フェリシアの魔力で辺り一面銀色に輝いた…か)
「恐らくだが、ショックで体内の魔力に変化が起こったのかも知れない」
「そうですわねぇ…普通は色素が抜けて白くなるものですからね…」
「あゝ、そう考えれば銀髪になるという現象にも余程納得が出来るしな」
「ええ、けれど…心配ですわ。9歳で魔力感知だなんて…」
「そうだな…普通であれば15歳で魔力検査をするものなのだが…」
妻と2人で、眠っているフェリシアを見つめる…
(魔力の枯渇ならば、目が覚めるのは明後日だな。明日、王宮で前例が無いか調べておこう)
「とにかく、後はこの娘が起きてからだな」
「ええ」
「ところで、この仔犬はどうするか…」
(ちゃっかりフェリシアの枕元で一緒に寝ているが)
「いいのではありませんか? 折角フェリシアが助けたのだもの」
「くくっ……フェリシアの良い友達になるな。起きたら喜ぶだろう」
◇
そして2日後―――
「クゥン…」
ぺろぺろ
「う…ん?」
(何?…………重い…)
ぺろぺろぺろ
「ん?」
ぱちっ! ぱちぱちぱちっ!!
ぺろん
「うひゃあっ!?」
朝、目が覚めた途端瞬き数回、そして……顔中舐められていたのだった。
「吃驚したじゃない…あなた、怪我は…?」
抱き上げてあちこち見ても怪我の跡は無いみたい。
「良かったわ。 私の魔力、ちゃんと効いたのね」
「シア。おはよう」
「おはようございます、お兄様」
「その仔犬、飼ってもいいってさ」
「ほんと!? 嬉しいっ! じゃあ名前付けなきゃね」
「僕は稽古があるからもう行くけど、ゆっくり考えてあげるといいよ」
「ええ。そうするわ。行ってらっしゃい」
お兄様は私達に手を振って、剣の鍛錬をする為に部屋を出て行った。
「名前かぁ。どんなのが良いかな…あなた男の子?女の子?」
(あ…ちゃんと付いてるわ)
「男の子かぁ」
(じゃあ、疾風とか、琥珀とか? んー…)
「………決めた。あなたの名前は疾風! 疾風のように速く走るの!」
その時、疾風と私の体が淡い銀色の光に包まれた―――
「何っ!?」
『契約は成された』
「誰の声!?」
『俺だ。ご主人。』
ぺろん
「ええっ!?」
『疾風と名付けてくれたろう?』
「あなた、ただの仔犬じゃなかったの?」
『俺はフェンリルだぞ?』
「し………神獣だったのっ!?」
『そうだ。……おっ? ご主人の魔力の影響か。体毛が銀色になったな』
「どうして神獣が怪我なんかしてたのよ」
『森の奥で戦ってたんだが、倒したはいいが魔力が枯渇してしまってな』
「魔力の枯渇って…あ、だから私の魔力を」
『あれは悪かった。良い魔力だったからつい大量に吸収してしまった…』
「お陰で丸2日間も眠っちゃったんだからね?」
『でもちゃんとご主人を傍で守ってたのだぞ?』
「まぁいいか…でも、よくあの森からここまで来たわね…」
『仔犬サイズになってしまったからな…密猟者に捕まってしまった…』
(森に密猟者!? お父様に話して取り締まってもらわなくては…)
『森から王都に連れて来られて、そこから逃げる時にしくじったのだ』
「で、やっとの事で辿り着いたのが我が家の庭園だったのね?」
『そう言う事だな』
ゲームのフェリシアは神獣となんて契約してなかったわよね…
どういう事かしら…
まさかこのフェンリルが傍観者の言っていた私の助けになるもの…?
(まさかねぇ……神獣なんて学園には連れて行けないだろうし…)
『学園?…王立学園の事か?』
「知ってるの!?」
『行く事は出来るぞ? 姿を見えなくすればいいだけだ。何なら人型になってやってもいいぞ?』
「は?……人型…?」
『……これだ』
疾風が仄かに光を放ち、成人男性の姿になった。
「…………」
驚いて言葉も出なかった。
だって、目の前に現れたのは「どこの国の王子様!?」と、言いたくなる様な銀髪の美青年だったのだから…
「ふふん。お望みなら年齢も変えられるぞ?」
と、言うなり私と同じ9歳くらいの少年に変わった。
「…………」
継続、驚き過ぎて何も言えない。
「おーい。フェリシア?」
私の前で首を傾げる少年の、あざとく可愛い姿に今度は脱力した…
「フェリシアお嬢様、ジュウイとは何でしょう…?」
「え!?」
(この世界には獣医が居ないの!?)
「では、医者は!? この仔犬を手当てしたいの!」
「動物でしたら魔力を流し込めば治りますが…」
「!! そうなの!?」
驚いた……忘れていたわ、この乙女ゲームは魔法設定があったんだった。
じゃあ私の魔力をこの仔犬にあげればいいのかな?
(魔力……魔力ってどんな? アニメや漫画では確かこんな風に……)
「でもお嬢様はまだ9歳ですので魔力感知は出来な……っ!?」
(集中……集中…体内の魔力……あ…もしかして…これが……?)
仔犬を抱きしめたまま、私の身体を中心に辺り一面銀色に輝く…
「なっ!! 何という輝き……はっ!! いけませんっ!お嬢様っ!」
あ…れ……? セレムの声が…聞こえな……
「ジェシカっ!直ぐに王宮へっ!至急旦那様にお戻り頂くのですっ!」
「はいっ!!」
◇
「マクシム…フェリシアの様子は…」
「ただの魔力の枯渇だから心配無いよ」
「この娘ったら教えられてもいない魔力感知をするなんて…」
「私も驚いたよ。知らせを聞いた時は耳を疑ったね」
「でも何故そんな事が出来たのでしょうか…」
「以前倒れた時に髪の色が変わったのは、その時にこの娘が感じた恐怖が原因だと思っていたのだが」
(執事の話では、フェリシアの魔力で辺り一面銀色に輝いた…か)
「恐らくだが、ショックで体内の魔力に変化が起こったのかも知れない」
「そうですわねぇ…普通は色素が抜けて白くなるものですからね…」
「あゝ、そう考えれば銀髪になるという現象にも余程納得が出来るしな」
「ええ、けれど…心配ですわ。9歳で魔力感知だなんて…」
「そうだな…普通であれば15歳で魔力検査をするものなのだが…」
妻と2人で、眠っているフェリシアを見つめる…
(魔力の枯渇ならば、目が覚めるのは明後日だな。明日、王宮で前例が無いか調べておこう)
「とにかく、後はこの娘が起きてからだな」
「ええ」
「ところで、この仔犬はどうするか…」
(ちゃっかりフェリシアの枕元で一緒に寝ているが)
「いいのではありませんか? 折角フェリシアが助けたのだもの」
「くくっ……フェリシアの良い友達になるな。起きたら喜ぶだろう」
◇
そして2日後―――
「クゥン…」
ぺろぺろ
「う…ん?」
(何?…………重い…)
ぺろぺろぺろ
「ん?」
ぱちっ! ぱちぱちぱちっ!!
ぺろん
「うひゃあっ!?」
朝、目が覚めた途端瞬き数回、そして……顔中舐められていたのだった。
「吃驚したじゃない…あなた、怪我は…?」
抱き上げてあちこち見ても怪我の跡は無いみたい。
「良かったわ。 私の魔力、ちゃんと効いたのね」
「シア。おはよう」
「おはようございます、お兄様」
「その仔犬、飼ってもいいってさ」
「ほんと!? 嬉しいっ! じゃあ名前付けなきゃね」
「僕は稽古があるからもう行くけど、ゆっくり考えてあげるといいよ」
「ええ。そうするわ。行ってらっしゃい」
お兄様は私達に手を振って、剣の鍛錬をする為に部屋を出て行った。
「名前かぁ。どんなのが良いかな…あなた男の子?女の子?」
(あ…ちゃんと付いてるわ)
「男の子かぁ」
(じゃあ、疾風とか、琥珀とか? んー…)
「………決めた。あなたの名前は疾風! 疾風のように速く走るの!」
その時、疾風と私の体が淡い銀色の光に包まれた―――
「何っ!?」
『契約は成された』
「誰の声!?」
『俺だ。ご主人。』
ぺろん
「ええっ!?」
『疾風と名付けてくれたろう?』
「あなた、ただの仔犬じゃなかったの?」
『俺はフェンリルだぞ?』
「し………神獣だったのっ!?」
『そうだ。……おっ? ご主人の魔力の影響か。体毛が銀色になったな』
「どうして神獣が怪我なんかしてたのよ」
『森の奥で戦ってたんだが、倒したはいいが魔力が枯渇してしまってな』
「魔力の枯渇って…あ、だから私の魔力を」
『あれは悪かった。良い魔力だったからつい大量に吸収してしまった…』
「お陰で丸2日間も眠っちゃったんだからね?」
『でもちゃんとご主人を傍で守ってたのだぞ?』
「まぁいいか…でも、よくあの森からここまで来たわね…」
『仔犬サイズになってしまったからな…密猟者に捕まってしまった…』
(森に密猟者!? お父様に話して取り締まってもらわなくては…)
『森から王都に連れて来られて、そこから逃げる時にしくじったのだ』
「で、やっとの事で辿り着いたのが我が家の庭園だったのね?」
『そう言う事だな』
ゲームのフェリシアは神獣となんて契約してなかったわよね…
どういう事かしら…
まさかこのフェンリルが傍観者の言っていた私の助けになるもの…?
(まさかねぇ……神獣なんて学園には連れて行けないだろうし…)
『学園?…王立学園の事か?』
「知ってるの!?」
『行く事は出来るぞ? 姿を見えなくすればいいだけだ。何なら人型になってやってもいいぞ?』
「は?……人型…?」
『……これだ』
疾風が仄かに光を放ち、成人男性の姿になった。
「…………」
驚いて言葉も出なかった。
だって、目の前に現れたのは「どこの国の王子様!?」と、言いたくなる様な銀髪の美青年だったのだから…
「ふふん。お望みなら年齢も変えられるぞ?」
と、言うなり私と同じ9歳くらいの少年に変わった。
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継続、驚き過ぎて何も言えない。
「おーい。フェリシア?」
私の前で首を傾げる少年の、あざとく可愛い姿に今度は脱力した…
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