逃げてもいいですか?…ダメ?…なら契約を…

ねこママ

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約束

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僕はフェルドア・カストリア。 カストリア公爵家の次男だ。

まだ14歳だけど、サーヴェント侯爵家に婿入りする事が決まっている。

サーヴェント侯爵家は剣術に秀でた家柄で、一人娘であるマリベルと婚姻する為、王立学園の入学前に2年間の騎士団入りを条件付けられていた。

訓練が厳しくて、滅多に屋敷へ帰れない日々を過ごしていたんだけど…

最近、姉様の婚約者である第1王子の、側近2人が団に送られてきた。

何かヘマをしたらしくて、かなりしごかれていたなぁ…

「フェル! それが終わったら上がっていいぞ」

「はいっ!」




―――騎士団、食堂にて―――


「この間―――王族エリア―――」

「ああ―――男爵―――」

「婚約者―――アイツ―――だよな―――」


(?)

何だろう…先輩達が僕を見てる様な……?


「おいフェルっ、ちょっとこっち来い!」

「っ!! ちょっ!?…レオン先輩?」

急に腕を掴んで後ろへ引っ張ったのは、レオン・クリフォード。
クリフォード侯爵家の三男[19歳]で、僕と同室の先輩だ。

僕は腕を掴まれたまま、食堂裏に連れて来られた。

「急にどうしたんですか!? 僕、食事しに来たんですけど…」

「そんなのどうだっていいよ!」

(えぇぇ……)

「お前の姉貴って確か、殿下方の婚約者だったよな!?」

「そうですよ?」

「もしかして…殿下方と上手く行ってないのか?」

「………はい?」

「俺もさっき聞いたばっかだけどさ、なんか最近…男爵令嬢が王族エリアへ頻繁ひんぱんに出入りしてるって…」

(男爵令嬢?)

「それと姉が関係あるんですか?」

「あるんだよ! 王族エリアへの出入り許可を出してるのは殿下方だ!」

「え……?」

「殿下方がその…男爵令嬢を頻繁ひんぱんに呼んで……茶会をしてるらしい…」

「…………」

どういう事だ…?

あの、姉様にべた惚れな殿下達が…?

「フェル…?」

「…ちょっと団長の所へ行って来ます」

「どうするんだ?」

「休暇申請してしばらく実家に戻ろうかと…」

「そうか…そうだな、それがいいだろうな」

「レオン先輩。 教えて下さり、ありがとうございます」

「ああ。 気を付けてな」

「はい」

僕はきびすを返して歩き…いや―――走り出した。


チッ(ジルベール兄様…なにやってんだよっ!)


舌打ちし、騎士団に入っている自分より姉と殿下達に近い位置に居るであろう長兄へ、心の中で悪態をく。

姉は殿下達に惚れてる訳じゃない。

それでも、婚約者という立場上、周囲からどんな眼で見られるか…


きず付かない様に守るって約束したのに!)



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