記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ

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それぞれの思惑で…

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「きゃああっ!」

「「「「「っ!?」」」」」

ガシャーーン!

びったーーん!

がばっ!「セレンディア様っ…どぉしてあたしにいじわるするんですかぁ…ぐすっ…」

「「「「「………」」」」」

「………はい?」

わたくしは今、カフェテリアでグレン、カイ、ルチアーナ様、カナリア様の5人でランチをしている所です。

座っている順番はカイ、わたくし、グレン…向かいにルチアーナ様、カナリア様が座っています。

そう…わたくしは通路側に居るカイと壁側に居るグレンに挟まれた真ん中に居るのですが……

「グレン様っ! 助けて下さい。 セレンディア様があたしをっ…うっ…ううっ…ぐすんっ…」

「えっ!?俺っ??」(ええっ!!何で俺っ? 嫌なんだけどっ?)

「…ねぇ君、何故セレンディア様の所為になるの?」

カイがっ…カイの表情がっ……

「そんなのっ! セレンディア様が足を引っかけたからに決まってるからじゃないですかっ!」

いやいや、どう考えても無理でしょ。

「…どうやって?」

「え?……あっ!!」

「それに君、確か朝セレンディア様に体当たりしようとしたよね?」

「っ!! そんなことしてませんっ。 今朝は急いでてっ…だから…もういいですっ!!」

あっ! 行っちゃった……これ誰が片づけるの?

「はぁぁ…申し訳ありませんお嬢様、掃除係を呼んで参ります…グレン様、お嬢様をお願いしても宜しいでしょうか?」

「いいよ。任された」

「セレンディア様、今のは何だったのでしょう」

カナリア様が心底不思議そうに聞いてきましたが、わたくしが聞きたいくらいですわ。

「分かりませんわ…」

「あの令嬢、グレン様に助けを乞われましたがお知り合いなのですか?」

「いいえ、ルチアーナ嬢。 確かにどこかで見た様な気はしますが、名前も知りません…ここは学院ですからすれ違っていたとしても不思議ではないですがね」

「そうですわよねぇ……セレンディア様、もし宜しければ行動する際、わたくしもご一緒して構いませんでしょうか?」

「セレンディア様。わたくしもご一緒致しますわ」

「お2人共、ありがとうございます」

「確かに、俺達が傍に居たくても、男じゃダメな場合があるからなぁ」




「セレンディアっ!!」

カフェテリアから教室に向かって歩いている時、突然後ろから名前を呼ばれました。

「貴様っ! やっと学院へ出て来たと思ったらなんだっ! 男を2人も侍らせて恥ずかしくないのかっ!!」

振り返ってみれば、いきなり凄い剣幕で捲し立てられてしまいましたが…

「あの……どちら様でしょうか?」

「なっ!?…くそっ!!」

ちょっと、 カイもグレンも…なんで肩が震えてるんですか?

あれぇ? ルチアーナ様、カナリア様、目を逸らさないで下さいませ…

「とっ、とにかく! お前に話が有るっ、来い!!」

知らない男は急にわたくしの腕を掴もうとして…

「ぐっ……! 無礼なっ!!」

逆にカイが相手の腕を掴み、グレンがわたくしを守る様に立ち位置を変えました。

「フリード様、 セレンディア様にお手を触れませぬ様…」

フリード様? って例のわたくしを引っ叩いた王太子ですか…

「カイ、手を放してあげて」

「…………御意」

カイがフリード様から手を放し、グレンと2人でわたくしの左右で斜め前に立ちます。

「フリード様、お久しぶりで御座います。 と言っても、わたくしは覚えておりませんので貴方様とお話しする事はありません…」

「なんだとっ! 貴様っ、私の婚約者でありながら…「わたくしと!」っ!?」

「貴方様との婚約は、とうに白紙撤回している筈ですわ」

「だから!! その話をっ!」

「お話する事は無いと申しました。 失礼します」

踵を返し足を踏み出そうとしたところで…

「なっ!! 不敬罪にするぞっ!!」

わたくしは再び振り返り、にっこり笑って言葉を返します。

「わたくし、陛下からあらゆる不敬罪を無効にする…とのお言葉を頂いておりますのよ」

「何だとっ!? くそっ!!!」

フリード様は悔しそうに去って行かれましたわ。




午後の授業を終えてわたくし達はまたカフェテリアへ来ております。

5人でお茶をしながら雑談をしていますと、1人の令嬢が近付いて来ました。

「あら、セレンディア様、気を付けて下さいませ。メリンダ様がこちらへ向かって来ておりますわ」

メリンダ様? フリード様とセットの?

「まあっ! セレンディアさまぁ、学院に帰って来たんですかぁ?」

!? 何この甘ったるい喋り方はっ! これが俗に言うぶりっ子なのね。

「……………………」

あらら…カイが絶句してるわ。 ちょっと面白いかも…

「ぶふっ!……ごほごほっ……」

あ、固まったカイを見てグレンが吹いたっ!

「フリード様に捨てられてぇ、セレンディア様可哀そぉ」

ぴきっ!

ル、ルチアーナ様? あの…? 青筋が……

「メリンダ様。 その様なデマを吹聴なさらないで頂けますかしら?」

「そうですわっ。 男爵令嬢風情が…」ばきっ!!

ひぃぃぃっ!! カナリア様っ!? 笑顔がっ…扇子がっ……!

「なっ! なによっ! 貴女達には関係無いでしょうっ?」

「セレンディア様はわたくし達のお友達ですのよ」 ぴきぴきっ!

「関係無い訳有りませんでしょう」 ばきばきっ!

「あのさぁ、メリンダ嬢。 あんまりおイタが過ぎると手酷いしっぺ返しを食らうよ?」

あ~あ…メリンダ様、お顔が般若みたいになってますわ…

「ふんっ!!」

あら、 おとなしく引き下がりましたわね。

「す……すまない…役に立たなかった」

わたくしなんか一言も話してませんでしたわよ…

「いいさ、 カイにはあゝ言うの免疫が無かっただろうからさ」

「ふふっ、 皆さん、ありがとうございます」



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