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近付いて来る不穏な足音 ③
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「「おはようございます、セレンディア様」」
「ルチアーナ様、カナリア様、おはようございます」
あの舞踏会から5日、グレンと婚約してから初めての学院ですわ。
「あ、あのね? お2人共、実は…その…」
「くくっ…セレンディア、それじゃ伝わんないよ?」
グレンが笑いながらわたくしの肩に手を置いて…
「俺とセレンディア、婚約したんだ」
と、ルチアーナ様とカナリア様に告げました。
「まあっ! おめでとうございます!」
「あら、やはりそうでしたの。ふふっ。 おめでとうございます」
やだぁ…友達にこんな報告するのって、すっごく照れるわっ…
カイ…そのニヤついた顔、つまんで引き延ばしていいかしら……
「そっ、そろそろ授業始まるわねっ! 席に着きましょうっ!」
「うふふっ…そうですね」
「また後でお話し聞かせて下さいね、セレンディア様」
「ううっ……はい…」
わたくし達は、それぞれ自分の席に座りましたが、ちらっと隣を見るといつもの笑顔を向けてくれるグレンと目が合い…
そう、いつもの笑顔なんです。 いつもの笑顔なんですが…
わたくしに愛情を抱いていると分かっているから…なんというか…
ぼふんっ!
直視出来ませんっ…だってだって愛してるって…ぎゅっ…って……
思い出しちゃって、両手で顔を覆い隠して俯くしかできませんっ…
わたくしがそうやって羞恥と戦っている時、俯いていた為に優しげだったグレンの表情がスッと消え、カイと頷き合ったのに全く気が付きませんでした。
―――グレンside―――
どうしよう………セレンディアが可愛い…何だこれ……拷問かっ…?
ここが学院で良かった…邸だったら抱きしめていたぞ………ん…?
刺すような視線を感じる……出入口か…王太子だな、殺意だろこれ。
カイも気付いたな…残りの隠密を呼んでおくか…
確か公爵家の影も常時3人セレンディアに就いている筈だったな。
俺とカイに隠密を1人ずつと連絡用に1人だな…
流石に王太子が暗殺者を差し向けて来るとは思えないが、あの執着具合だとそれも確実じゃないか…
万が一に備えておいた方が良さそうだ。
セレンディアからは離れる訳にはいかんから、カイとは筆談だな…
今の内にメモを渡しておくか。
………………………「カイ、これ読んどいてくれ」
「わかりました」
「―――――――と言う訳なの…」
「じゃあ、婚約の話があったのは、舞踏会の日だったのですわね」
わたくし達5人はいつもの様にカフェテリアへ来ております。
ふ、と思い出してつい呟いたのは…
「そういえば、ここ暫く水色髪の令嬢を見ませんわねぇ」
「あぁ、あの令嬢ですか…」
答えたのはルチアーナ様でしたが、まさかの回答でしたわ…
「彼女ならもうこの学院には居ませんわよ?」
「え?」
「男爵令嬢如きが何の庇護も持たず、公爵令嬢であるセレンディア様に楯突いたのですもの…学院から追放されても仕方ありませんわ」
と、優雅にお茶を飲みながら語られました。
「そ、そうですか…」
流石に、名前も知られずに追放されてしまったのは、可哀そうに思ってしまいましたわ…
彼女は本当に何をしたかったのでしょうねぇ?
ル(自分で教科書を破いて、それをセレンディア様の所為にすると呟いているのを、偶然見てしまったのだもの…許せる訳ありませんわ! 当然、わたくしの家から圧力を掛けて追い出しましたわ。ふふっ♪)
「では帰ろうか、セレンディア」
「ええ…って3人で?」
「なに? 俺と2人が良かった?」
―――ちゅっ…
「っ!? ちっ、違うわよっ!?」
手を持ち上げてキスするなああああっ!!
なに? なんなの? 婚約者ってこんな甘いのおおっ??
わたくし、1日に何回顔隠せば良いのっ!
グレンが表情を消してカイと頷き合う。
「俺の馬車は、後ろからついて来るよ」
「じゃあ、こちらの馬車に3人ね…」
うううっ…早くもちょっと後悔しております…
何故、グレンは隣に座ってるのでしょうか…
カイの微笑ましげな目が居た堪れないぃ…
「グレン様…」
「ああ」(狙いは俺か…)
「?」
「セレンディア。 ちょっと怖いかもしれないけど…」
「どうしたの?」
「俺達が守るから、安心して?」
「っ!?」
がたんっ!!
背後から急に大きな音がして、耳を塞いだ!
ヒヒーーーン!!
ガガガガガガガッ!!
ボッ!ボボボッ!!
ゴオオオオオオオッ!!
「速度を上げろっ!!」
「はいっ!」
「あれはっ!? グレンの馬車がっ!!」
馬車が横倒しになって燃えているっ!?
あれにグレンが乗っていたら今頃はっ……
震えるわたくしをグレンが抱きしめてくれていた…
「ルチアーナ様、カナリア様、おはようございます」
あの舞踏会から5日、グレンと婚約してから初めての学院ですわ。
「あ、あのね? お2人共、実は…その…」
「くくっ…セレンディア、それじゃ伝わんないよ?」
グレンが笑いながらわたくしの肩に手を置いて…
「俺とセレンディア、婚約したんだ」
と、ルチアーナ様とカナリア様に告げました。
「まあっ! おめでとうございます!」
「あら、やはりそうでしたの。ふふっ。 おめでとうございます」
やだぁ…友達にこんな報告するのって、すっごく照れるわっ…
カイ…そのニヤついた顔、つまんで引き延ばしていいかしら……
「そっ、そろそろ授業始まるわねっ! 席に着きましょうっ!」
「うふふっ…そうですね」
「また後でお話し聞かせて下さいね、セレンディア様」
「ううっ……はい…」
わたくし達は、それぞれ自分の席に座りましたが、ちらっと隣を見るといつもの笑顔を向けてくれるグレンと目が合い…
そう、いつもの笑顔なんです。 いつもの笑顔なんですが…
わたくしに愛情を抱いていると分かっているから…なんというか…
ぼふんっ!
直視出来ませんっ…だってだって愛してるって…ぎゅっ…って……
思い出しちゃって、両手で顔を覆い隠して俯くしかできませんっ…
わたくしがそうやって羞恥と戦っている時、俯いていた為に優しげだったグレンの表情がスッと消え、カイと頷き合ったのに全く気が付きませんでした。
―――グレンside―――
どうしよう………セレンディアが可愛い…何だこれ……拷問かっ…?
ここが学院で良かった…邸だったら抱きしめていたぞ………ん…?
刺すような視線を感じる……出入口か…王太子だな、殺意だろこれ。
カイも気付いたな…残りの隠密を呼んでおくか…
確か公爵家の影も常時3人セレンディアに就いている筈だったな。
俺とカイに隠密を1人ずつと連絡用に1人だな…
流石に王太子が暗殺者を差し向けて来るとは思えないが、あの執着具合だとそれも確実じゃないか…
万が一に備えておいた方が良さそうだ。
セレンディアからは離れる訳にはいかんから、カイとは筆談だな…
今の内にメモを渡しておくか。
………………………「カイ、これ読んどいてくれ」
「わかりました」
「―――――――と言う訳なの…」
「じゃあ、婚約の話があったのは、舞踏会の日だったのですわね」
わたくし達5人はいつもの様にカフェテリアへ来ております。
ふ、と思い出してつい呟いたのは…
「そういえば、ここ暫く水色髪の令嬢を見ませんわねぇ」
「あぁ、あの令嬢ですか…」
答えたのはルチアーナ様でしたが、まさかの回答でしたわ…
「彼女ならもうこの学院には居ませんわよ?」
「え?」
「男爵令嬢如きが何の庇護も持たず、公爵令嬢であるセレンディア様に楯突いたのですもの…学院から追放されても仕方ありませんわ」
と、優雅にお茶を飲みながら語られました。
「そ、そうですか…」
流石に、名前も知られずに追放されてしまったのは、可哀そうに思ってしまいましたわ…
彼女は本当に何をしたかったのでしょうねぇ?
ル(自分で教科書を破いて、それをセレンディア様の所為にすると呟いているのを、偶然見てしまったのだもの…許せる訳ありませんわ! 当然、わたくしの家から圧力を掛けて追い出しましたわ。ふふっ♪)
「では帰ろうか、セレンディア」
「ええ…って3人で?」
「なに? 俺と2人が良かった?」
―――ちゅっ…
「っ!? ちっ、違うわよっ!?」
手を持ち上げてキスするなああああっ!!
なに? なんなの? 婚約者ってこんな甘いのおおっ??
わたくし、1日に何回顔隠せば良いのっ!
グレンが表情を消してカイと頷き合う。
「俺の馬車は、後ろからついて来るよ」
「じゃあ、こちらの馬車に3人ね…」
うううっ…早くもちょっと後悔しております…
何故、グレンは隣に座ってるのでしょうか…
カイの微笑ましげな目が居た堪れないぃ…
「グレン様…」
「ああ」(狙いは俺か…)
「?」
「セレンディア。 ちょっと怖いかもしれないけど…」
「どうしたの?」
「俺達が守るから、安心して?」
「っ!?」
がたんっ!!
背後から急に大きな音がして、耳を塞いだ!
ヒヒーーーン!!
ガガガガガガガッ!!
ボッ!ボボボッ!!
ゴオオオオオオオッ!!
「速度を上げろっ!!」
「はいっ!」
「あれはっ!? グレンの馬車がっ!!」
馬車が横倒しになって燃えているっ!?
あれにグレンが乗っていたら今頃はっ……
震えるわたくしをグレンが抱きしめてくれていた…
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