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第三章 元女子高生、異世界で反旗を翻す
38:アイツに占領されている王城に乗りこもう!
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私は騎士団領の窓から王城を見つめていた。久しぶりにグレーのスーツを着て。
「グローリア様、本当に王城に向かうんですね」
「今日から完全復活なので」
実に一ヶ月ぶりだった。しかし、この一ヶ月で状況は大きく変わってしまった。
宰相としての仕事をしに行こうとしても、王城にすら入れない。宮廷音楽家は王城ではなく、誰かの邸宅に集まって練習するしかない。
「お体は本当に大丈夫なんですか?」
「万全じゃなきゃここには来てませんね」
私は騎士たちにボディーガードとなってもらい、王城に乗りこもうとしている。
「よし、行きましょう」
たくさんの騎士に囲まれながら、私は王城に向かった。
周りを警戒しながら、首にかかる八分音符の形をしたペンダントを、左手で握りしめている。
王城まであと少しというところで気配を感じた。
「…………来るっ!」
私が叫ぶのと同時に、異国のような服を着た人たちが私たちに飛びかかってきたのだ。
スっと後ろに飛ぶと、さっきいたところにはナイフが突き立てられていた。
「誰!?」
「トリスタン様の家来だ。お前は宰相のグローリアだな」
一対大勢。隙をついて騎士三人が、家来と名乗る人を捕まえようとするが――
「鈍いな」
次の瞬間、三人は血を流してバタンと倒れてしまった。
はっ、速い!
「私を殺しに来たんですよね?」
「そうだ。トリスタン様のご命令だ」
なるほど。やっぱり私が邪魔なのね。
私は握りしめているペンダントに、怒りの『想い』を注ぎこんでいく。
このペンダント、実はサックスが取り出せない時のお守りである。
「私がサックスでトリスタンを吹っ飛ばしたのは、ご存知ではあると思いますけど。だから今のこの状態の私を狙ったんですね?」
王城で楽器を吹く予定はないので、今日はサックスを持ってきていない。そもそも演奏もしないのに、サックスをぶら下げていることの方が不自然だからだ。
「サックスがないからって、安心しました? 残念」
「なにっ!」
毒に侵され、なぜかパワーアップした動体視力と反射神経で、私は自称家臣の突きをよける。
「よく分かんないけど、音を発するものがあれば魔法使えちゃうんですよね」
私は自称家臣の反応には答えず、さらに後ろに飛んで自称家臣と距離をとり、口角を上げた。
「例えば、自分の声」
ペンダントを胸に押し当て、ためた『想い』を解き放った。
「せっかく復活したのに殺されるなんて、ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」
自称家臣はどこかに逃げようとするが、それは絶対にできない。足元にピンポイントで急に竜巻が発生したからだ。
「な、なんだと!?」
王城の目の前でできた竜巻は、すぐに自称家臣を飲みこんでどこかに飛ばされていく。
サックスがなくとも、私は魔法を使うことに成功したのだ。
自称家臣が見えなくなるまで天を仰ぐと、倒れている三人に駆けよる。
「大丈夫ですか!」
よかった、意識はある。傷口は……あぁ、ここだから……。
心の中に増えていく同情の『想い』をペンダントにためる。
この前は助けてもらったから、今度は私が助ける番。
私は再びペンダントを胸に押し当て、その上にもう片方の手も乗せる。私が歌うヴォルムス教の賛美歌にのせて、ペンダントから『想い』という名の魔力を、この三人に流しこんでいく。
切りつけられた深い傷が光を帯び、みるみるうちに痕も残らずきれいに塞がった。
「すげぇ……ありがとうございました!」「「ありがとうございます!」」
「いえいえ~」
うん、ちゃんと攻撃の方も治癒の方も使えるようになってる!
体調が悪いと魔力が極端に減ってしまい、ほぼ使い物にならないのだ。
「それでは王城に乗りこみましょう」
私はまた騎士たちを従えて歩き出す。
門番をしていた人にまた襲いかかられるが、またも私の竜巻でどこかに吹っ飛んでいく。
ついに王城の建物内に入ることができた。
そこの警備たちは明らかに焦っており、私を見てたじろいでいる。
「あの二重警備を突破するとは……!」
「襲われたので吹っ飛ばしただけですよ。そちらがかかってこなければ、私たちから攻撃はしません」
「本当だな?」
「ええ」
完全にビビっている警備たちに私は尋ねる。
「トリスタン・ヴェルナはどこにいらっしゃいますか」
「……『王の広間』だ」
以外にもあっさりと、警備は自分の頭の居場所を教えてしまった。
まぁ、私の口を使って強制的に吐かせるつもりだったけど。
「やっぱり。分かりました」
私は警備の前を素通りして階段を上っていく。
ついに五十日くらいぶりに、彼と顔を合わせることになった。
「グローリア・プレノートです。入室の許可をお願いいたします」
重たい扉をノックし、声を張り上げて言うが……中からは高らかな笑い声。
「そんな素直に入れさせると思ったか?」
「そんなわけないですよね」
今のトリスタンにも、ちょっとは『恩』みたいなのがあると思ったけど、期待した私がバカだったわ。
私は扉を押し開け、玉座に座るトリスタンに標準を合わせる。
「まぁ勝手に入りますけど」
十分な距離をとってトリスタンの真正面に立つ。もちろんひざまずきはしない。
「ここで開かれたパーティーで私が倒れてからというもの、かなりのことをやってくれましたね? 国王陛下を玉座から引きずり下ろし、勝手に王と名のり、国民に重税を課し……」
「そうだ、私が王だからな」
「おそらく国民のほとんどは、あなたが王とは認めていないでしょう。もちろん、私も」
私は二歩、トリスタンに迫る。
「そうですよね。農民に重税を課していた真犯人はトリスタンだって、私が広めたからですね。その他にもあなたがしてきた悪行を言いふらしましたからね」
一瞬だけ焦りの顔をしたトリスタンだが、「それ以上私をけなすようなことをいうものなら、不敬罪として捕らえるぞ」と、指をさしてきた。
「不敬罪? そんなものうちの国にはありませんよ?」
「私が作ったものだ」
「あなたに法律を作る権限はありません。この私にならありますけど」
トリスタンはとうとう返す言葉がなくなったのか、ちらりと後ろを向いて言い放つ。
「……あの女を捕らえろ!」
私がこの目で捉えたのは、五メートル先にいる十人ほどの、武器を持った男たちだった。
「グローリア様、本当に王城に向かうんですね」
「今日から完全復活なので」
実に一ヶ月ぶりだった。しかし、この一ヶ月で状況は大きく変わってしまった。
宰相としての仕事をしに行こうとしても、王城にすら入れない。宮廷音楽家は王城ではなく、誰かの邸宅に集まって練習するしかない。
「お体は本当に大丈夫なんですか?」
「万全じゃなきゃここには来てませんね」
私は騎士たちにボディーガードとなってもらい、王城に乗りこもうとしている。
「よし、行きましょう」
たくさんの騎士に囲まれながら、私は王城に向かった。
周りを警戒しながら、首にかかる八分音符の形をしたペンダントを、左手で握りしめている。
王城まであと少しというところで気配を感じた。
「…………来るっ!」
私が叫ぶのと同時に、異国のような服を着た人たちが私たちに飛びかかってきたのだ。
スっと後ろに飛ぶと、さっきいたところにはナイフが突き立てられていた。
「誰!?」
「トリスタン様の家来だ。お前は宰相のグローリアだな」
一対大勢。隙をついて騎士三人が、家来と名乗る人を捕まえようとするが――
「鈍いな」
次の瞬間、三人は血を流してバタンと倒れてしまった。
はっ、速い!
「私を殺しに来たんですよね?」
「そうだ。トリスタン様のご命令だ」
なるほど。やっぱり私が邪魔なのね。
私は握りしめているペンダントに、怒りの『想い』を注ぎこんでいく。
このペンダント、実はサックスが取り出せない時のお守りである。
「私がサックスでトリスタンを吹っ飛ばしたのは、ご存知ではあると思いますけど。だから今のこの状態の私を狙ったんですね?」
王城で楽器を吹く予定はないので、今日はサックスを持ってきていない。そもそも演奏もしないのに、サックスをぶら下げていることの方が不自然だからだ。
「サックスがないからって、安心しました? 残念」
「なにっ!」
毒に侵され、なぜかパワーアップした動体視力と反射神経で、私は自称家臣の突きをよける。
「よく分かんないけど、音を発するものがあれば魔法使えちゃうんですよね」
私は自称家臣の反応には答えず、さらに後ろに飛んで自称家臣と距離をとり、口角を上げた。
「例えば、自分の声」
ペンダントを胸に押し当て、ためた『想い』を解き放った。
「せっかく復活したのに殺されるなんて、ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」
自称家臣はどこかに逃げようとするが、それは絶対にできない。足元にピンポイントで急に竜巻が発生したからだ。
「な、なんだと!?」
王城の目の前でできた竜巻は、すぐに自称家臣を飲みこんでどこかに飛ばされていく。
サックスがなくとも、私は魔法を使うことに成功したのだ。
自称家臣が見えなくなるまで天を仰ぐと、倒れている三人に駆けよる。
「大丈夫ですか!」
よかった、意識はある。傷口は……あぁ、ここだから……。
心の中に増えていく同情の『想い』をペンダントにためる。
この前は助けてもらったから、今度は私が助ける番。
私は再びペンダントを胸に押し当て、その上にもう片方の手も乗せる。私が歌うヴォルムス教の賛美歌にのせて、ペンダントから『想い』という名の魔力を、この三人に流しこんでいく。
切りつけられた深い傷が光を帯び、みるみるうちに痕も残らずきれいに塞がった。
「すげぇ……ありがとうございました!」「「ありがとうございます!」」
「いえいえ~」
うん、ちゃんと攻撃の方も治癒の方も使えるようになってる!
体調が悪いと魔力が極端に減ってしまい、ほぼ使い物にならないのだ。
「それでは王城に乗りこみましょう」
私はまた騎士たちを従えて歩き出す。
門番をしていた人にまた襲いかかられるが、またも私の竜巻でどこかに吹っ飛んでいく。
ついに王城の建物内に入ることができた。
そこの警備たちは明らかに焦っており、私を見てたじろいでいる。
「あの二重警備を突破するとは……!」
「襲われたので吹っ飛ばしただけですよ。そちらがかかってこなければ、私たちから攻撃はしません」
「本当だな?」
「ええ」
完全にビビっている警備たちに私は尋ねる。
「トリスタン・ヴェルナはどこにいらっしゃいますか」
「……『王の広間』だ」
以外にもあっさりと、警備は自分の頭の居場所を教えてしまった。
まぁ、私の口を使って強制的に吐かせるつもりだったけど。
「やっぱり。分かりました」
私は警備の前を素通りして階段を上っていく。
ついに五十日くらいぶりに、彼と顔を合わせることになった。
「グローリア・プレノートです。入室の許可をお願いいたします」
重たい扉をノックし、声を張り上げて言うが……中からは高らかな笑い声。
「そんな素直に入れさせると思ったか?」
「そんなわけないですよね」
今のトリスタンにも、ちょっとは『恩』みたいなのがあると思ったけど、期待した私がバカだったわ。
私は扉を押し開け、玉座に座るトリスタンに標準を合わせる。
「まぁ勝手に入りますけど」
十分な距離をとってトリスタンの真正面に立つ。もちろんひざまずきはしない。
「ここで開かれたパーティーで私が倒れてからというもの、かなりのことをやってくれましたね? 国王陛下を玉座から引きずり下ろし、勝手に王と名のり、国民に重税を課し……」
「そうだ、私が王だからな」
「おそらく国民のほとんどは、あなたが王とは認めていないでしょう。もちろん、私も」
私は二歩、トリスタンに迫る。
「そうですよね。農民に重税を課していた真犯人はトリスタンだって、私が広めたからですね。その他にもあなたがしてきた悪行を言いふらしましたからね」
一瞬だけ焦りの顔をしたトリスタンだが、「それ以上私をけなすようなことをいうものなら、不敬罪として捕らえるぞ」と、指をさしてきた。
「不敬罪? そんなものうちの国にはありませんよ?」
「私が作ったものだ」
「あなたに法律を作る権限はありません。この私にならありますけど」
トリスタンはとうとう返す言葉がなくなったのか、ちらりと後ろを向いて言い放つ。
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