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目覚めたら異世界、で焦る。
4.対話
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生活のための衣服に着替えたとはいえ、俊哉の心は晴れなかった。
(やってしまった)
仕事をすっぽかした。
それどころか、向こうでは失踪あつかいだろう。
俊哉は大きくため息をついた。
向かいには、きちんと座り直し、背筋を伸ばして控えている、しのぎ。
俊哉も座りなおした。
疑問は尽きないが、何から訊いたらいいのか。
「ここはわが神を祀るお社にございます。わたくしはそこを司る神官の娘。
ひと月ほど前、異世界からの客人があるとわが神が宣いました。」
俊哉の迷いを察してか、しのぎが落ち着いた声で語り始めた。
「神はおおせになりました。その方の成す事を助け、行く末を見届けよと」
「元の世界には戻れないのか?」
「わかりませぬ。ただ……。」
しのぎはちょっと言いよどんだ。すまなそうな表情で少し眉根を寄せる。
「いつまで、とはお告げになりませんでした」
俊哉は腕を組んだ。
その神とやらは、この世界で俊哉に何かさせたいことがあるらしい。
それが何かはわからない。だがその「何か」を成し遂げれば、元の世界に帰れる可能性はある。
俊哉は無理に楽観的な結末を想像した。
最悪の事態は考えたくなかった。
所定の目的を達成できずに、この世界で果てるという結末を。
―――本当に、帰りたいのか。
またも誰かの声が聞こえた。
―――もう逃げたいと、思っていたのではないのか。
それは神の声なのか、自分の裡なる声なのか、俊哉にはよくわからなかった。
優秀な外科医だと言われていた。三十にもならずに、オペの執刀も任された。
エリートコースと言っていいはずだった。
なのに、心が重かった。
なぜ?わからない。
ただ漠然とした不安が、彼の心をいつも捉えていた。
―――本当は逃げ出したかったのではないのか。
おれはいったい、どうしたかったんだろう……。
(やってしまった)
仕事をすっぽかした。
それどころか、向こうでは失踪あつかいだろう。
俊哉は大きくため息をついた。
向かいには、きちんと座り直し、背筋を伸ばして控えている、しのぎ。
俊哉も座りなおした。
疑問は尽きないが、何から訊いたらいいのか。
「ここはわが神を祀るお社にございます。わたくしはそこを司る神官の娘。
ひと月ほど前、異世界からの客人があるとわが神が宣いました。」
俊哉の迷いを察してか、しのぎが落ち着いた声で語り始めた。
「神はおおせになりました。その方の成す事を助け、行く末を見届けよと」
「元の世界には戻れないのか?」
「わかりませぬ。ただ……。」
しのぎはちょっと言いよどんだ。すまなそうな表情で少し眉根を寄せる。
「いつまで、とはお告げになりませんでした」
俊哉は腕を組んだ。
その神とやらは、この世界で俊哉に何かさせたいことがあるらしい。
それが何かはわからない。だがその「何か」を成し遂げれば、元の世界に帰れる可能性はある。
俊哉は無理に楽観的な結末を想像した。
最悪の事態は考えたくなかった。
所定の目的を達成できずに、この世界で果てるという結末を。
―――本当に、帰りたいのか。
またも誰かの声が聞こえた。
―――もう逃げたいと、思っていたのではないのか。
それは神の声なのか、自分の裡なる声なのか、俊哉にはよくわからなかった。
優秀な外科医だと言われていた。三十にもならずに、オペの執刀も任された。
エリートコースと言っていいはずだった。
なのに、心が重かった。
なぜ?わからない。
ただ漠然とした不安が、彼の心をいつも捉えていた。
―――本当は逃げ出したかったのではないのか。
おれはいったい、どうしたかったんだろう……。
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