6 / 57
刃選びと仕事選び、で失敗。
2.神刃
しおりを挟む
「まず、俊哉さまの世界とこの世界の違いについて、お話ししましょう。
一番の違いは、この世界の人々はみな、それぞれの刃を持っているということです」
刃?
刀のことか。
みな刀を差している、ということなのか。
「刃というと剣をご想像なさるかもしれませんね。
剣も、槍も、もちろん刃。
包丁や鋏もまた、刃。
鎌、鑿、鋤鍬や鋸、鉋も、刃を持ちます。
剣はその中の一部にすぎませぬ」
「それが何か特別なことなのか?」
「はい。
分かりやすく言うと、刃は人と『契約』するのです。契約が成立すると、刃はその持ち主のために尽くし、人はその刃を一生使い続けます。
つまり、選んだ刃によってその人の生業も決まります」
「……刃物が人の一生を決める、ということなのか?」
「はい」
確かに、俊哉の世界にはない風習だ。
「すると、この世界で生きるには、おれも何かしらの『契約』をしなければならないのか?」
「俊哉さまは、いきなりこの世界に参られたのですから、今すぐ刃を選ぶことは難しいでしょう。
人は、子供の頃から長い年月をかけて刃を選びます。永年馴染んだ刃に『降りる』こともありますし、これと鍛えた刃に『降りる』こともあります。
神刃さまが降りる、という意味ですね」
神刃というのか。刃物の神さまは。
「降りた刃には、お社で神の祝福を与え、刃は力を得ます。
我が神は剣の神ですので、このお社は剣を専門に扱う場所になります。
刃をすぐに選ぶのは無理としても、何がよいか検分してみるのは、いいかも知れませんね。
我が家にもいくつか刃物がございますので、ご覧になりますか」
一番の違いは、この世界の人々はみな、それぞれの刃を持っているということです」
刃?
刀のことか。
みな刀を差している、ということなのか。
「刃というと剣をご想像なさるかもしれませんね。
剣も、槍も、もちろん刃。
包丁や鋏もまた、刃。
鎌、鑿、鋤鍬や鋸、鉋も、刃を持ちます。
剣はその中の一部にすぎませぬ」
「それが何か特別なことなのか?」
「はい。
分かりやすく言うと、刃は人と『契約』するのです。契約が成立すると、刃はその持ち主のために尽くし、人はその刃を一生使い続けます。
つまり、選んだ刃によってその人の生業も決まります」
「……刃物が人の一生を決める、ということなのか?」
「はい」
確かに、俊哉の世界にはない風習だ。
「すると、この世界で生きるには、おれも何かしらの『契約』をしなければならないのか?」
「俊哉さまは、いきなりこの世界に参られたのですから、今すぐ刃を選ぶことは難しいでしょう。
人は、子供の頃から長い年月をかけて刃を選びます。永年馴染んだ刃に『降りる』こともありますし、これと鍛えた刃に『降りる』こともあります。
神刃さまが降りる、という意味ですね」
神刃というのか。刃物の神さまは。
「降りた刃には、お社で神の祝福を与え、刃は力を得ます。
我が神は剣の神ですので、このお社は剣を専門に扱う場所になります。
刃をすぐに選ぶのは無理としても、何がよいか検分してみるのは、いいかも知れませんね。
我が家にもいくつか刃物がございますので、ご覧になりますか」
0
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
霊力ゼロの陰陽師見習い
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる