あなたの人生、なまくらですか?

桐坂数也

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刃選びと仕事選び、で失敗。

2.神刃

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「まず、俊哉さまの世界とこの世界の違いについて、お話ししましょう。
一番の違いは、この世界の人々はみな、それぞれの刃を持っているということです」

刃?
刀のことか。
みな刀を差している、ということなのか。

「刃というと剣をご想像なさるかもしれませんね。
剣も、槍も、もちろん刃。
包丁や鋏もまた、刃。
鎌、鑿、鋤鍬や鋸、鉋も、刃を持ちます。
剣はその中の一部にすぎませぬ」

「それが何か特別なことなのか?」

「はい。
分かりやすく言うと、刃は人と『契約』するのです。契約が成立すると、刃はその持ち主のために尽くし、人はその刃を一生使い続けます。
つまり、選んだ刃によってその人の生業も決まります」

「……刃物が人の一生を決める、ということなのか?」

「はい」

確かに、俊哉の世界にはない風習だ。

「すると、この世界で生きるには、おれも何かしらの『契約』をしなければならないのか?」

「俊哉さまは、いきなりこの世界に参られたのですから、今すぐ刃を選ぶことは難しいでしょう。
人は、子供の頃から長い年月をかけて刃を選びます。永年馴染んだ刃に『降りる』こともありますし、これと鍛えた刃に『降りる』こともあります。
神刃しんじんさまが降りる、という意味ですね」

神刃しんじんというのか。刃物の神さまは。

「降りた刃には、お社で神の祝福を与え、刃は力を得ます。
我が神は剣の神ですので、このお社は剣を専門に扱う場所になります。

刃をすぐに選ぶのは無理としても、何がよいか検分してみるのは、いいかも知れませんね。
我が家にもいくつか刃物がございますので、ご覧になりますか」
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