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覇権主義の刃使い、で談判。
4.発動
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俊哉は無意識のうちに、首にかかった意匠を手にしていた。
しのぎがくれた、懐刀。切り札であるという。
使える機会は、一度だけ。
その切り札を、ここで使ってしまってよいのか、という思いが頭をよぎる。
しかし、今日を生き残らなければ明日はない。
たとえ友を手にかけようともだ。
「ちっくしょう!」
罵声とともに俊哉は首飾りを引きちぎって館脇に投げつけた。
そのとたん、疾風が俊哉のすぐ脇をすり抜けた。風は黒い影のごとく、館脇に飛びかかった。
激しい剣戟の音。
影は素早く館脇から飛び離れ、反対側に着地して向き直った。
「・・・しのぎ?」
俊哉は呆然とつぶやいた。
影は、しのぎだった。
すっと立ち上がったしのぎは、左手に布を掴んでいた。俊哉はそれが、彼女が今まで身にまとっていた長衣だと気がついた。
しのぎは長衣を手放した。その姿は、白布で巻いた手甲、袖のない胴衣、あられもないというくらいむき出しの脚は透きとおるような白さだ。そしてすねにはやはり白布。完全に戦人となった彼女は、短い剣を構えた。
今初めて俊哉は得心がいった。
長衣の下に見え隠れしていた不似合なものは戦闘服だったのだ。
刃を持たないのではなく、彼女自身が刃だったのだ。
俊哉を守る、一振りの刃。
だからしのぎはいつでも戦える準備をしていたのだ。
長衣はお社の正装でありながら、「懐刀」を納める鞘でもあったのだ。
「ははっ、女だてらに剣を振るうか。おもしろ……」
余裕の表情でからかう館脇に、しのぎは全てを言わせなかった。
剣を振るって突きかかる。横になぐ。さらに踏み込んで下から払いあげる。すさまじい速さだ。
「!」
剣で受けた館脇が後ろに退く。速さのみならず、力でも負けていない。館脇の顔に驚愕の表情が浮かぶ。
二合三合して、しのぎは大きく跳びすさった。その跳躍力たるや、人間のものとは思えない。
呆気にとられている俊哉のかたわらで膝をつき、長い髪を首の後ろで縛りながら、しのぎはささやいた。
「懐刀の封印が解かれました。今のわたくしは、人の持てる最大の力を使えます。それゆえ、長くは保ちませぬ」
しのぎがくれた、懐刀。切り札であるという。
使える機会は、一度だけ。
その切り札を、ここで使ってしまってよいのか、という思いが頭をよぎる。
しかし、今日を生き残らなければ明日はない。
たとえ友を手にかけようともだ。
「ちっくしょう!」
罵声とともに俊哉は首飾りを引きちぎって館脇に投げつけた。
そのとたん、疾風が俊哉のすぐ脇をすり抜けた。風は黒い影のごとく、館脇に飛びかかった。
激しい剣戟の音。
影は素早く館脇から飛び離れ、反対側に着地して向き直った。
「・・・しのぎ?」
俊哉は呆然とつぶやいた。
影は、しのぎだった。
すっと立ち上がったしのぎは、左手に布を掴んでいた。俊哉はそれが、彼女が今まで身にまとっていた長衣だと気がついた。
しのぎは長衣を手放した。その姿は、白布で巻いた手甲、袖のない胴衣、あられもないというくらいむき出しの脚は透きとおるような白さだ。そしてすねにはやはり白布。完全に戦人となった彼女は、短い剣を構えた。
今初めて俊哉は得心がいった。
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刃を持たないのではなく、彼女自身が刃だったのだ。
俊哉を守る、一振りの刃。
だからしのぎはいつでも戦える準備をしていたのだ。
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「ははっ、女だてらに剣を振るうか。おもしろ……」
余裕の表情でからかう館脇に、しのぎは全てを言わせなかった。
剣を振るって突きかかる。横になぐ。さらに踏み込んで下から払いあげる。すさまじい速さだ。
「!」
剣で受けた館脇が後ろに退く。速さのみならず、力でも負けていない。館脇の顔に驚愕の表情が浮かぶ。
二合三合して、しのぎは大きく跳びすさった。その跳躍力たるや、人間のものとは思えない。
呆気にとられている俊哉のかたわらで膝をつき、長い髪を首の後ろで縛りながら、しのぎはささやいた。
「懐刀の封印が解かれました。今のわたくしは、人の持てる最大の力を使えます。それゆえ、長くは保ちませぬ」
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