あなたの人生、なまくらですか?

桐坂数也

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覇権主義の刃使い、で談判。

5.決断

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人間は、人体の潜在力のほんの一部しか使っていないと言われている。その能力を限界まで引き出せば、常人ではあり得ない驚異的な力を発揮することができる。

だがそれでは肉体が壊れてしまう。
その恐怖ゆえに人は無意識に力を制限し、肉体が耐えられる範囲でしか力を使わない。


封印を解くとは、何らかの形でその枷を外すことなのだろう。
今のしのぎの動きなら、館脇とも互角に渡り合えると思われた。しかしその動きがどれだけ続くだろう。

十合か、二十合か。
その間に骨が砕けるか。腱が切れるか。


「お下知を。
 戦うか、退くか。いずれであっても、この身をもってご下命を全う致しますわ」

凛とした彼女の表情には、追い詰められた翳が感じられた。俊哉はみぞおちの辺りに、冷たく重い異物の存在を感じて震えた。


今の自分の実力では、館脇にはとうてい敵わない。

二人かがりでもとどめは刺せないだろう。俊哉にもわかっていた。

ここは退却、いやはっきり言おう、逃げるしかない。


しのぎにそう命じれば、彼女はしんがりとなって館脇の前に立ちふさがり、力尽きるまで剣を振るって俊哉を逃がすだろう。

自分の命を引き換えにして。

そんなことを命じられるはずがなかった。


額の汗が、冷や汗に変わる。
いやな感じだ。

俊哉は館脇を見た。
やつは驚きから立ち直り、戦う態勢に移りつつある。時間がない。


迷いを悟られないよう、俊哉は館脇から視線を逸らさず、小声でしのぎに話しかけた。

「しのぎ。逃げるぞ」
「はい」
「ただし、俺のそばを離れるな。お前がおれの盾になるなんて、ゆるさないからな」
「俊哉さま……」


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