あなたの人生、なまくらですか?

桐坂数也

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神のしもべを看護、で思案。

9.恢復

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しのぎの目覚めを、紅乃こうのはことのほか喜んでくれた。

俊哉は嬉しくなって紅乃をしのぎに引き合わせたりもした。がらにもなくはしゃいでいたのかも知れない。

紅乃は緊張していた。戦刃せんじんの神の巫女はやはり、位の高い人物と感じられるようだ。


俊哉はしのぎの食事を用意した。

ちゃんと報酬を払っているとは言え、医務所内を好き放題に使っているのは気が咎めないでもなかったが、それでも自分たちだけにしてくれているのは有り難かった。

この世界での病人の食事がどのようなものか知らないが、米を主食にしているのだからそう違いもないだろう、と思い、勝手に粥のようなものをこしらえた。

しのぎは文句も言わずに食べてくれた。

うまかったかと訊いてみたかったが、それも押しつけがましい気がして、なんとなく無言で器をさげようとすると、

「ごちそうさまでした。おいしかったです。でも、御使いさまでも炊事などなさるのですね。ちょっと意外でした」

と、しのぎが笑いながら話しかけてきた。

「きみまで御使いとか言うのか。そんな大層なものじゃないのに」

俊哉は頭を抱えるふりをした。他の者には立場上、威光をかさに着る必要もあると諦めているが、端から正体がばれているしのぎにそう言われるのは羞恥以外のなにものでもない。

だが思ったより元気そうに笑うのしのぎを見て、それでもいいか、などと思ったのだった。


昼前には、物見の若衆が相次いでもどってきた。

偵察に出たふたりは、短い時間で出来る限りのことを聞き集めてきた。それによると、刃の一団は都を目指して街道を進んでいったようだ。

俊哉はほっと胸をなでおろした。彼らにとって自分は単なる通り道、問題にする必要すらないと言われたも同然だが、悔しくはなかった。事実だったし、いずれいやでも対面しなければならないことになるだろう。

それまでに俊哉は、自分と自分の属する組織を鍛え上げなければならなかった。

刃の集団に勝てないまでも、互角に戦える集団に。

すくなくとも、手を出せば痛い目に遭う、と認識させるくらいには。

時間はどれくらいあるだろう? 館脇が都を掌握するまでの勝負だ。

できるかできないか、ではない。

やらなければやられる。それだけだ。

もちろん、ただやられるつもりはない。


(目にもの見せてやるさ)



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