14 / 21
梅雨明けは涙とともに
3
しおりを挟む
「とにかく280番って呼べよ。慣れてるからさ」
肩をすくめた男の子に、私は力いっぱい首を横に振った。番号で呼ぶなんて嫌だ。
「えー、他に名前なんてないんだけど。まあいいや、好きに呼べよ」
私は男の子の呆れたようなため息に首をすくめながら、小さな声で口にした。
「ふうや」
「ん?」
「ふうや。280だから。ふうが2で、やが8」
ふうや、ふうやと男の子は指で数字を描きながら口の中で音を転がした。
「0はどこに消えたんだよ」
「名前にしようとしたら不自然だから諦めた」
男の子がフッと息だけで笑った。
「気に入った。ありがとう」
男の子の、ふうやの笑顔にドキッとした。島に歳の近い男の子は一人もいないから、不思議な感覚だった。
その時、緊張でかいた手汗のせいで枝に置いていた手がつるんと滑り、バランスを崩した。手を動かしたが、焦りのせいか何も掴むことができない。
落ちる!
覚悟を決めて目をつぶった瞬間だった。
「っぶね」
伸ばしていた腕をガシッと掴まれ引っ張られた。顔がふうやの胸に当たる。
「ったく、気をつけろよ」
「ごめん、ありがとう……」
語気が荒くなったふうやに、しゅんとして謝る。すると抱きしめるような体勢のまま背中をトントンと叩かれた。
「……泣いてる?」
「泣いてないよ!」
女子がすぐ泣くと思ってるなら大間違いよ。人前では泣かないって決めてるの。
ムッとして言い返すと、ふうやはケラケラと笑った。
肩をすくめた男の子に、私は力いっぱい首を横に振った。番号で呼ぶなんて嫌だ。
「えー、他に名前なんてないんだけど。まあいいや、好きに呼べよ」
私は男の子の呆れたようなため息に首をすくめながら、小さな声で口にした。
「ふうや」
「ん?」
「ふうや。280だから。ふうが2で、やが8」
ふうや、ふうやと男の子は指で数字を描きながら口の中で音を転がした。
「0はどこに消えたんだよ」
「名前にしようとしたら不自然だから諦めた」
男の子がフッと息だけで笑った。
「気に入った。ありがとう」
男の子の、ふうやの笑顔にドキッとした。島に歳の近い男の子は一人もいないから、不思議な感覚だった。
その時、緊張でかいた手汗のせいで枝に置いていた手がつるんと滑り、バランスを崩した。手を動かしたが、焦りのせいか何も掴むことができない。
落ちる!
覚悟を決めて目をつぶった瞬間だった。
「っぶね」
伸ばしていた腕をガシッと掴まれ引っ張られた。顔がふうやの胸に当たる。
「ったく、気をつけろよ」
「ごめん、ありがとう……」
語気が荒くなったふうやに、しゅんとして謝る。すると抱きしめるような体勢のまま背中をトントンと叩かれた。
「……泣いてる?」
「泣いてないよ!」
女子がすぐ泣くと思ってるなら大間違いよ。人前では泣かないって決めてるの。
ムッとして言い返すと、ふうやはケラケラと笑った。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
姉の引き立て役の私は
ぴぴみ
恋愛
アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。
「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
姉は優しい。でもあるとき気づいて─
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる