悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき

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恋愛編

72

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晩餐会の翌日

今日は自由にしているようにと殿下から告げられた私は、許可をとって昨日案内された書庫に来ていた
特に何か目的があるわけではないが、この煌びやかな王宮の中では珍しく使いやすさを重視されたこの場所は少し古びた紙とインクの匂いが充満しており、馬車移動と晩餐会で疲れた私を癒してくれる気がしたのだ
案内してくれた使用人を一人でゆっくりしたいからと仕事に戻し、目当ての本を伝えれば持って来てくれるという司書の申し出を断って、本が隙間なく並んだ棚の間をゆっくりと歩く

流石、王宮の図書館ね
そろえが豊富だわ・・・

哲学、歴史、魔法学など学問について書かれた物から恋愛や冒険を題材にした軽い読み物、料理や作法、詩集などの淑女教育に使われそうなもの…
さらには詩集や童話まで
その種類は幅広い

うちの国では見たことのないものも多いわ

特に魔法学や歴史書、童話などの各国の特徴が出やすい本はほとんど見たことのないものばかり
逆に読んだことのある本はあまり置いていなかった

・・・今更だけどこんなに無防備に他国の貴族を入れていいのかしら?

首をかしげるが、まぁ、案内されたという事は別に構わないという事なのだろう
重要な資料は閲覧禁止区間か、こことは別の場所に保管してあるのかもしれない
そう結論付けて遠慮なく読書にふけることにした

せっかくなのでアンバー王国独自の物を読もうと魔法学と歴史書の中から学校の図書館でも見たことのないものを3冊づつ選びとりテーブルと椅子が置いてある場所に移動する
一番端の目立たない席に腰を下ろし、早速一番上の魔法書の表紙を開いた

________________________________________________


最後の一冊の最後のページを読み終え、ぱたりと閉じる
流石に目の疲れを感じ、目を閉じて目頭を抑えた

どれくらいの時間がたったのだろうか
窓のない書庫では時間の経過がわからない
マーサが探しに来ていないという事はそれほど時間はたっていないのだろうか

目元を揉み解しつつ考えていると、ふと視線を感じる
ぱっと顔を上げてそちらを確認すると、金色の髪を短く切りそろえた男性・・・
アンバー王国の第一王子が向かいの席に座り、笑顔を浮かべてこちらを見ていた

!いつからそこに・・・

驚きで出てしまいそうになった声をなんとか押し殺し、自分も笑顔を張り付ける

「まぁ、王太子様
気づかずに失礼をいたしました」
「いえ、構いませんよ
それよりどうぞサミュエルとお呼びください」
「そんな・・・王太子様をお名前でお呼びするなど恐れ多いですわ」

困ったような笑顔を浮かべてお許しくださいと固辞すると、王太子様からは笑顔のまま、それでは今は諦めますと答えが返ってきた

・・・『今は』って何かしら『今は』って

聞きたいのは山々だが深く突っ込んではいけない気がする
そう判断して追求せずに礼を述べると、彼も笑顔のまま言葉をつづけた

「ずいぶん熱心に読んでおられましたね」
「お恥ずかしいですわ…いつからそちらに?」
「つい先ほどです
調べものに足を運んだらあなたの姿が見えたのでお話をと思って」
「あら、そうでしたか…」
「読み終わったのでしたら昼食をご一緒にいかがです?
食べながらお話ししましょう」
「あら・・・お誘いは嬉しいのですけれど、食事は殿下と・・・」
「あぁ、それなら心配いりません
アルベルト殿には伝えておきますし、代わりにローズマリーに彼の相手をするように言いつけておきましょう」

・・・それは、逆に心配しかないのでは…?
というか、なぜ私が貴方と二人で昼食をとらなければならないの・・・?

そう思うが、他国の王族に向かって面と向かって異を唱えることは出来ない
私はただ曖昧に微笑むしかなかった
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