悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき

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本編

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「アルベルト!」

今日も今日とて甲高く品のない声が許可も得ずに俺の名を呼ぶ
水色を纏ったその声の持ち主が駆け寄ってきて、俺の腕にしがみついた

「やっとみつけた!今日こそは一緒にお茶しようと思って探してたの
今から暇?暇よね?行きましょ!」

こちらが言葉を挟む隙を与えず、そう言いきった少女…アリス・ホワード男爵令嬢がグイッと俺の腕を引っ張る

「…いや、生憎今から図書室に調べものをしに行くところなんだ
残念だが遠慮しておく」

いくら常識はずれの迷惑な令嬢と言えど、女性からの誘いをただ断って恥をかかせることはできない
理由をつけて社交辞令を交えながら遠回しに、けれどきっぱりと断った
…つもりだったが、彼女には通じなかったらしい

「図書室なんていつでも行けるじゃない!
アリスと二人でのお茶は今しかできないのよ?こっちが優先!」

そういいながらふっくらとした丸い頬を膨らませ、桃色の唇を尖らせる彼女の容姿は、まぁ可愛らしい部類に入るとは思う
品や教養のなさが伺い知れる言葉使いや淑女らしからぬ振る舞いも、見栄と建前が当たり前な貴族社会に疲れている人物が見れば、純粋で擦れていないととらえられることもあるのだろう
実際にそう解釈し、この少女に好意的に接する令息たちが少数だが存在している
もしかすると、セシリアへの劣等感でいっぱいになり、卑屈な思考にとらわれていた頃の俺ならば、彼らと同じくこの少女に好意を寄せていたかもしれない

だが今の俺は違う

婚約発表の日
体調を崩し、真っ白な顔をしながらも周囲に悟らせないよう気丈に微笑んだセシリアの姿をみて俺は気がついた
常に完璧な人間なんて存在しないということを

そして、それをきっかけに彼女について調べ、知ることができたのだ
常に完璧に見えるセシリアが、影では失敗したり行き詰まったりしながらも、ひた向きに努力を積み重ねていることを

それに気がついたとき、俺は今までの自分の行動を恥じ、ひどく反省した

そんなこと、少し考えればわかることだったのにな…

自分の視野の狭さに自嘲する

「アルベルト?聞いてるの?
早くいきましょうよ!」

強く腕を引かれてハッと我にかえる
見下ろすと水色の少女が淑女としてはあり得ない距離まで顔を寄せてきていた

…彼女には遠回しにいっても無駄だろうな

そう判断した俺はパッと自分の腕を取り返す
少女は驚いたように目を瞬いたあとムッとしたように口を開いた

「…悪い、急ぎのようなんだ」

なにか言われる前にそれだけ告げて、少女を置いて足早に廊下を進んだ
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