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本編
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休日
ここしばらく記憶が戻ったりヒロインを注意して回ったりとまともに休めていなかった私は、今日は寮の自室から出ないと心に決めていた
誰とも会わず、自分のためだけに時間を使う
これ以上の贅沢はない
「せっかくだもの…久しぶりに何か作ろうかしら」
呟いて戸棚を覗く
ちなみにこの棚、下段は普通の棚だが上段は魔法の氷を敷き詰めてあり、食べ物を冷やすことができる
つまり冷蔵庫のようになっている優れものだ
えーっと…何があったかしら…?
まずは下段
使えそうなものは砂糖とはちみつ、シナモン、ドライフルーツ、小麦粉、ナッツ類、野菜…も使える?
続いて上段
チョコレート、バター、ミルク、肉類…は流石にお茶菓子には向かないわね
以上で出来るものは…
「パウンドケーキって気分でもないし…
プリン…は日持ちしない…クッキー…?」
うん、クッキーにしましょう
日持ちもするしお茶にもよくあうもの
決めたら即行動。手早く粉類をふるい、バターを溶かして混ぜ合わせ、一纏めになった生地を四等分に分ける
一つはプレーンのままで置いておき、残りの三つに刻んだチョコレート、砕いたナッツ、ドライフルーツをそれぞれ混ぜ込みんで棒状にしてから包丁でカットした
あとはオーブンで焼けば完成だ
そういえば、この世界冷蔵庫はないのにオーブンはあるのね?
今まで特に気にしたことなかったけど…
そんなことを考えながら余熱したオーブンに並べた生地を入れた
焼けるのを待つ間にお茶の準備をする
ちなみに今日の茶葉はガーネ王国から取り寄せたオリジナルブレンド
爽やかな香りと優しい口当たりが特徴のティータイムにぴったりなお茶である
ピピピピピ…
「焼けたわね」
タイマーを切り焼き上がったクッキーを取り出す
あら熱をとって保存容器に詰め、避けておいた分をお皿に並べてテーブルについた
さて、ティータイムにしましょう
お茶とお菓子を楽しみながら先日の殿下の謝罪を思い出す
一代決心をしたように真剣だった殿下には申し訳ないが、彼の話を聞いた私の正直な感想は『あ~…そうなのね』程度のものだった
彼も人間だ
自分が必死になって練習していることを年下の女が軽々とやって見せれば、苛立ちもするだろう
私に怒りをぶつけるのも普通の反応だと思う
理不尽だと思う人もいるかもしれないが、私は貴族で彼は皇族
殿下はそれが許される立場の人間なのだ
国を揺るがすような大きなことは別だが、そうでなければ大抵のことは容認される
皇族とはそういうものだ
それに私も配慮が足りなかったのよね…
皇太子殿下に恥をかかせるようなことをしてしまったし…
当時の私は、自分ができることは殿下も当然出来るものだと思っていた
そうではないことに気がついたのはほんの一年ほど前
担当教授に、自分が最年少の課題クリア者だと聞かされてからだった
はじめてそれを知った時、殿下は周囲に溶け込むために手を抜いておられたのかと思ったが、どうやらそうではなかったらしい
むしろ、私が殿下に謝らなければいけないくらいよね…
配慮が足りませんでしたって
まぁ、そんなこと言ったらイヤミにしか聞こえないから言えないけれど…
考えて苦笑する
本来なら、皇族である殿下に頭を下げさせるなどあってはならない
だが、あの場面で、彼の気持ちを聞いて、それでも自分が悪かったのだと言い張るのは無理があった
だから私は謝罪を受け入れるのではなく必要ないと、遠回しに謝罪を受け流したのだ
拒否するより、受け流した方が殿下のお気持ち的にも楽でしょうしね
殿下の気持ちを汲んで楽にして差し上げるのも貴族の…婚約者の勤めだ
ヒロインがバッドエンドを迎えて退場した今、私はもうしばらく彼の婚約者であり続けるだろう
もしかすると、婚約だけではなくこのまま結婚するかもしれない
それならば関係は円満な方がいいに決まっている
「今度はライバルキャラではなく…婚約者をやらなければね」
殿下か私に慕う相手ができないかぎり、この役回りは終わらない
ここしばらく記憶が戻ったりヒロインを注意して回ったりとまともに休めていなかった私は、今日は寮の自室から出ないと心に決めていた
誰とも会わず、自分のためだけに時間を使う
これ以上の贅沢はない
「せっかくだもの…久しぶりに何か作ろうかしら」
呟いて戸棚を覗く
ちなみにこの棚、下段は普通の棚だが上段は魔法の氷を敷き詰めてあり、食べ物を冷やすことができる
つまり冷蔵庫のようになっている優れものだ
えーっと…何があったかしら…?
まずは下段
使えそうなものは砂糖とはちみつ、シナモン、ドライフルーツ、小麦粉、ナッツ類、野菜…も使える?
続いて上段
チョコレート、バター、ミルク、肉類…は流石にお茶菓子には向かないわね
以上で出来るものは…
「パウンドケーキって気分でもないし…
プリン…は日持ちしない…クッキー…?」
うん、クッキーにしましょう
日持ちもするしお茶にもよくあうもの
決めたら即行動。手早く粉類をふるい、バターを溶かして混ぜ合わせ、一纏めになった生地を四等分に分ける
一つはプレーンのままで置いておき、残りの三つに刻んだチョコレート、砕いたナッツ、ドライフルーツをそれぞれ混ぜ込みんで棒状にしてから包丁でカットした
あとはオーブンで焼けば完成だ
そういえば、この世界冷蔵庫はないのにオーブンはあるのね?
今まで特に気にしたことなかったけど…
そんなことを考えながら余熱したオーブンに並べた生地を入れた
焼けるのを待つ間にお茶の準備をする
ちなみに今日の茶葉はガーネ王国から取り寄せたオリジナルブレンド
爽やかな香りと優しい口当たりが特徴のティータイムにぴったりなお茶である
ピピピピピ…
「焼けたわね」
タイマーを切り焼き上がったクッキーを取り出す
あら熱をとって保存容器に詰め、避けておいた分をお皿に並べてテーブルについた
さて、ティータイムにしましょう
お茶とお菓子を楽しみながら先日の殿下の謝罪を思い出す
一代決心をしたように真剣だった殿下には申し訳ないが、彼の話を聞いた私の正直な感想は『あ~…そうなのね』程度のものだった
彼も人間だ
自分が必死になって練習していることを年下の女が軽々とやって見せれば、苛立ちもするだろう
私に怒りをぶつけるのも普通の反応だと思う
理不尽だと思う人もいるかもしれないが、私は貴族で彼は皇族
殿下はそれが許される立場の人間なのだ
国を揺るがすような大きなことは別だが、そうでなければ大抵のことは容認される
皇族とはそういうものだ
それに私も配慮が足りなかったのよね…
皇太子殿下に恥をかかせるようなことをしてしまったし…
当時の私は、自分ができることは殿下も当然出来るものだと思っていた
そうではないことに気がついたのはほんの一年ほど前
担当教授に、自分が最年少の課題クリア者だと聞かされてからだった
はじめてそれを知った時、殿下は周囲に溶け込むために手を抜いておられたのかと思ったが、どうやらそうではなかったらしい
むしろ、私が殿下に謝らなければいけないくらいよね…
配慮が足りませんでしたって
まぁ、そんなこと言ったらイヤミにしか聞こえないから言えないけれど…
考えて苦笑する
本来なら、皇族である殿下に頭を下げさせるなどあってはならない
だが、あの場面で、彼の気持ちを聞いて、それでも自分が悪かったのだと言い張るのは無理があった
だから私は謝罪を受け入れるのではなく必要ないと、遠回しに謝罪を受け流したのだ
拒否するより、受け流した方が殿下のお気持ち的にも楽でしょうしね
殿下の気持ちを汲んで楽にして差し上げるのも貴族の…婚約者の勤めだ
ヒロインがバッドエンドを迎えて退場した今、私はもうしばらく彼の婚約者であり続けるだろう
もしかすると、婚約だけではなくこのまま結婚するかもしれない
それならば関係は円満な方がいいに決まっている
「今度はライバルキャラではなく…婚約者をやらなければね」
殿下か私に慕う相手ができないかぎり、この役回りは終わらない
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