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本編
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「…」
「…」
膝をつき当時と同じ、正式な謝罪の礼の姿勢をとって頭を下げるセシリアをただ見つめる
しばらく唖然とした後、はっと我にかえった俺は慌てて立ち上がって声をかけた
「やめてくれ
お前が謝る必要なんてどこにもない」
肩に手をかけ、半ば強引に頭をあげさせる
「本当に、謝る必要も、感謝される筋合いも全くないんだ」
そう言うとセシリアは困ったような顔をして口を開いた
「そんなことは…」
「いや、本当にお前は悪くない
謝るのは俺の方なんだ」
「…?なぜ殿下が謝る必要があるのでしょう?」
心底不思議そうに首をかしげる彼女に説明するため、俺は言葉を続ける
「あの日、俺は感情のままにお前の…セシルの手を振り払い、怒鳴って、傷つけた」
「…?」
「年下のお前が、俺に出来ないことを簡単にこなすのを見てカッとなった
つまらない嫉妬だ」
「…」
懺悔するように言葉を紡ぐとセシリアの目が驚いたように見開かれる
「お前に『殿下』と呼びかけられるたびに後悔した
醜い感情をお前にぶつけた
自分でも愚かだったと思っている
そのせいで開いてしまったお前との距離を、ずっと寂しいと思っていたんだ」
「…」
「何度も謝らなければと思っていた。だが、勇気がなくて・・・
時間がたてばたつほど取り返しのつかないことになるとわかっていたのに、今の今まで謝ることが出来なかった…」
「…」
「悪いのはすべて俺で、セシルはなにも悪くない
それなのに、お前に二度も謝らせてしまった…」
黙って話を聞いているセシリアをみつめる
呆れられただろうか?
幻滅されただろうか?
そうなっても仕方のないことを俺はしたのだ
今の俺ができるのは誠実に謝ることだけ
「本当に、申し訳なかった」
深く頭を下げ謝罪を口にする
セシリアの表情はよめない
彼女はいったいどう思っただろう
俺の醜い感情を知ってもなお、俺を慕ってくれるのだろうか
あの一件を俺のいいように解釈してくれていた、自分に厳しく他人に甘い、真面目な彼女は…
私に向かって頭を下げる殿下
今度は私がその肩にそっと触れ、顔を覗き込んで口を開いた
「殿下、お話はわかりましたので頭をおあげください」
「許してくれるか…?」
「許すもなにも…私怒ってなどおりませんもの
謝罪なんて必要ありません
第一、皇太子殿下が簡単に頭を下げてはいけませんわ」
「だが…」
「昔のことですもの、もういいのです」
意識して優しげな笑みを浮かべて言葉を続ける
「それに、どういう気持ちから出た言葉であれ、私が自分の行動を見つめ直すきっかけになったのは事実です
その事実に対して、私が感謝していることは変わりません」
「セシル…」
「ありがとうございました」
もう一度お礼を告げると、殿下は困ったような、ほっとしたような、感情の入り交じった顔をした
安心させるようにもう一度微笑み、ふと目を窓の外に向ける
「あら、もうこんな時間ですのね」
ちょうど見える位置にある時計台に目をやり、少し大袈裟に声をあげた
それにつられて殿下が時間を確認する
「本当だな、そろそろ戻るか
…お前の話が出来なかったな」
「私の話はまた後日で構いません
大したことではありませんので」
「そうか。長時間すまなかったな」
「いえ、久しぶりにお話しできて嬉しかったです」
「俺の方こそ…またよかったら付き合ってくれ」
「はい、喜んで」
「・・・ありがとう
行くか、寮まで送ろう」
そう言って差し出された手
先ほどは戸惑ったが、今度は迷いなくその手に自分の手を預ける
「ありがとうございます」
微笑んでお礼を言うと殿下も照れたように微笑んだ
「…」
膝をつき当時と同じ、正式な謝罪の礼の姿勢をとって頭を下げるセシリアをただ見つめる
しばらく唖然とした後、はっと我にかえった俺は慌てて立ち上がって声をかけた
「やめてくれ
お前が謝る必要なんてどこにもない」
肩に手をかけ、半ば強引に頭をあげさせる
「本当に、謝る必要も、感謝される筋合いも全くないんだ」
そう言うとセシリアは困ったような顔をして口を開いた
「そんなことは…」
「いや、本当にお前は悪くない
謝るのは俺の方なんだ」
「…?なぜ殿下が謝る必要があるのでしょう?」
心底不思議そうに首をかしげる彼女に説明するため、俺は言葉を続ける
「あの日、俺は感情のままにお前の…セシルの手を振り払い、怒鳴って、傷つけた」
「…?」
「年下のお前が、俺に出来ないことを簡単にこなすのを見てカッとなった
つまらない嫉妬だ」
「…」
懺悔するように言葉を紡ぐとセシリアの目が驚いたように見開かれる
「お前に『殿下』と呼びかけられるたびに後悔した
醜い感情をお前にぶつけた
自分でも愚かだったと思っている
そのせいで開いてしまったお前との距離を、ずっと寂しいと思っていたんだ」
「…」
「何度も謝らなければと思っていた。だが、勇気がなくて・・・
時間がたてばたつほど取り返しのつかないことになるとわかっていたのに、今の今まで謝ることが出来なかった…」
「…」
「悪いのはすべて俺で、セシルはなにも悪くない
それなのに、お前に二度も謝らせてしまった…」
黙って話を聞いているセシリアをみつめる
呆れられただろうか?
幻滅されただろうか?
そうなっても仕方のないことを俺はしたのだ
今の俺ができるのは誠実に謝ることだけ
「本当に、申し訳なかった」
深く頭を下げ謝罪を口にする
セシリアの表情はよめない
彼女はいったいどう思っただろう
俺の醜い感情を知ってもなお、俺を慕ってくれるのだろうか
あの一件を俺のいいように解釈してくれていた、自分に厳しく他人に甘い、真面目な彼女は…
私に向かって頭を下げる殿下
今度は私がその肩にそっと触れ、顔を覗き込んで口を開いた
「殿下、お話はわかりましたので頭をおあげください」
「許してくれるか…?」
「許すもなにも…私怒ってなどおりませんもの
謝罪なんて必要ありません
第一、皇太子殿下が簡単に頭を下げてはいけませんわ」
「だが…」
「昔のことですもの、もういいのです」
意識して優しげな笑みを浮かべて言葉を続ける
「それに、どういう気持ちから出た言葉であれ、私が自分の行動を見つめ直すきっかけになったのは事実です
その事実に対して、私が感謝していることは変わりません」
「セシル…」
「ありがとうございました」
もう一度お礼を告げると、殿下は困ったような、ほっとしたような、感情の入り交じった顔をした
安心させるようにもう一度微笑み、ふと目を窓の外に向ける
「あら、もうこんな時間ですのね」
ちょうど見える位置にある時計台に目をやり、少し大袈裟に声をあげた
それにつられて殿下が時間を確認する
「本当だな、そろそろ戻るか
…お前の話が出来なかったな」
「私の話はまた後日で構いません
大したことではありませんので」
「そうか。長時間すまなかったな」
「いえ、久しぶりにお話しできて嬉しかったです」
「俺の方こそ…またよかったら付き合ってくれ」
「はい、喜んで」
「・・・ありがとう
行くか、寮まで送ろう」
そう言って差し出された手
先ほどは戸惑ったが、今度は迷いなくその手に自分の手を預ける
「ありがとうございます」
微笑んでお礼を言うと殿下も照れたように微笑んだ
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