悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき

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恋愛編

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自分を連れ出したローズマリーは勝手に帰ってしまい、セシリアを連れ出していたレオナルドも執務をサボるなと怒るカインに連れていかれた
部屋まで送ると言う使用人の申し出を断り、残されたセシリアと二人で廊下を進む

自国の涼やかな色使いと空気になれた自分にとっては目に痛く感じるほどのキラキラとした華やかな空間を、特に会話もなくゆっくりと並んで歩いていく

…これくらいの年の女性はこういう華やかな空間を好むと聞くがセシルもそうなのだろうか?

反応を見ようとちらりと横目でセシリアを盗み見た
しかし彼女は華やかな装飾品にうっとりすることも、目移りする素振りもない

…そうだな
セシリアがこんなすぎるほどに華美なものを好むわけがない

いつも身に付けているものを考えればわかることだ
彼女の持ち物やドレスは全て、華やかというよりはシンプルな、だが品のいい雰囲気の洗練されたデザインのものが多い

そう思えば…趣味趣向までもがうちの国の皇后にふさわしい女性だな

感心しながらセシリアを見る
そんな俺の目にふと彼女の手が視界に入った

そう言えば、腕を組むくらい普通だとローズマリーが言っていたな…

それなら婚約者同士だと“普通”を通り越して“当たり前”なのでは?
ふとそんな言葉が頭に浮かぶ
それなら…

「…セシル」

足を止めずに呼び掛けると、前を見ていた藍色の瞳がこちらを向く

「はい、どうなさいました?」

小首をかしげてたずねられるが、言葉に詰まってしまった

…何て言えばいいんだ
直接的に、腕を組もう、か?
…今さらおかしくないか?
普通は歩き出すときに言うよな…?
何か他に自然な誘い方を…

「…」
「…?」

考えつつ、黙ったまま歩を進める
言葉を探しているうちにセシリアにあてがわれた客室の前までついてしまった
彼女は部屋に入らず、まだ俺の言葉を待っている

「…いや、何でもない
疲れただろう。晩餐までゆっくり休め」
「…?かしこまりました
では、失礼いたします」

パタリと閉まった扉をじっと見つめ、ため息をつく
俺は何故いつもいつも上手く言葉が紡げないのか…

___________________________

セシリアと別れ、自分も部屋に戻った俺は人払いをしてから勢いよくソファーに座り込み、ため息をついた

「はぁ・・・」

ため息の理由はただ一つ
セシリアとの距離感についてである

先程腕が組めなかった時から考えていたのだが、思い返せば自分とセシリアはエスコートやダンスの時などのどんな相手にでも触れられる場面以外、触れ合いが皆無なのだ

今までそこそこいた自分に好意を示してくる女性たちは、みな積極的に腕を絡ませてきたり体を寄せてきたりするイメージがあったのだが…

セシリアはそういう事をまったくしてこないよな……

彼女は婚約してからも、自分から俺との距離を詰めることは絶対しない

それを奥ゆかしいととるべきなのか、それとも近寄ろうと思わないくらい興味を持たれていないのか…
もしくは、実は触れたくないほど嫌われているのか…
3つ目ではないと思いたい

目をグッと閉じて嫌な想像を追い出そうとするが、失敗に終わる

そもそも、今さらだがセシリアは自分をどう思っているのだろうか

少しづつ距離を縮めていこうとは思っていたが…
もし嫌われているのであれば、このまま婚約を継続するのは彼女にとって苦痛なのかもしれない
だが、彼女への恋心を自覚した今、そう簡単に彼女を手放したくはない
やはり少しづつでも好いてもらえる努力をしなければ・・・
・・・だが、好いてもらえる努力とは何をすればいいのだろうか

「…わからないな…」

ため息と共に吐き出した言葉が誰もいない広い室内に虚しく響いた
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