元聖女様は好きな人と結婚したい

れぐまき

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(三年前)sideロナウド

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賢王と名高かった先代国王が崩御し、即位した新国王。
彼は60を超える高齢で即位したにも関わらず、随分と子どもじみた方だった。

式典の伝統衣装をいやだとごね、護衛の騎士が側に控えるのを嫌がる。

「いやじゃと言ったらいやじゃ!」

これの一点張りである。

……これは、どうなるんだ?
国民参賀はもうすぐだぞ…?

先ほどから王妃様と皇太子が諭したり嗜めたりしてくださっているが全く効果がない。
昔からよく知った仲である皇太子と目が合うと、彼は疲れたように肩をすくめて力無く首を降った。

息子である皇太子がお手上げならもう手が…
……少し殺気を放ってでも説得するか…?
いや、だが主君相手にそんなこと…

早まった思考をなんとか留める。
俺を含めた一同が困り果てていると、部屋の外に控えていた部下から合図があり、扉が開かれた。

こんな時に何だ…?

入って来たのは宰相と、一人の少女だった。

彼女が新しい聖女様だろう。
聖女の正装である純白のシンプルな衣装を身に纏ったその美しい少女は、驚いたような表情でこの惨状を見つめた後、宰相から何かを囁かれ、スッと表情を消して進み出てきた。


「…随分と…騒がしいですわね?」


欲にまみれた王のプライベートスペースに似つかわしくない、澄んだ声が響く。
彼女が入室してきたことに気がついていなかった王は大袈裟なほどにびくりと肩を揺らして、声の方に視線をやった。

「なんじゃ!?無礼な!入室の許可などしておらん!ここをどこだと思っておる!」

叫ぶ王に怯むこともなく、少女は王を見据える。

「許可?勤めも録に果たせない方の許可など必要ありませんでしょう?」
「な、なんだと!?余を誰だと……!」
「国王と呼ばれたいのであれば国王らしくなさればよいものを…。癇癪を起こして駄々をこねるだけならば、生まれたての赤子にでもできますわ」

挑発的な少女の言葉に、王は更に怒りだす。

「な、なんだと!無礼だ!騎士よ、何をしておる!はやくこの小娘を摘まみ出せ!!」

顔を真っ赤にして聖女様を指差し叫ぶ国王。その命令に騎士の仲間達の間で動揺が走った。

仮にも新国王の命令だ。無視をするわけにはいかない。だが、彼女は新聖女。国王と同等の権力を持つ相手だ。しかも、言葉は少々挑発的ではあるものの、正しい事を言っているのは彼女の方。それを摘まみ出すなど…
俺たちがどう動くべきか考えてまごついている間にも、状況は悪化する。

「無茶なことを言う方ですのね。
騎士様方が私を摘まみ出すなどするわけがないでしょう?」
「何を言うておるのじゃ!先程から無礼な小娘よ!騎士達、何をしておる!早よぉせい!!」
「先程から無礼無礼と…無礼なのはどちらかしら…」

ふぅ……と髪を弄りながらため息をついた聖女様。
その呆れ返ったと言う様子に、とうとう王が爆発した。

「ええい!!無礼じゃ無礼じゃ!!どこの小娘かは知らんがもう堪忍せんぞ!摘まみ出すだけでは足らん!!即刻打ち首じゃ!!!!」

その言葉に、今まで黙って様子を伺っていた王妃様や皇太子までもが息を飲み、室内に緊張が走った。


だが、俺は見逃さなかった。
たった今打ち首を宣告された少女が、怯えるどころか、わずかに口角を上げたのを。
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