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戦いの準備①
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俺はやおら起き上がる。
戦いの準備を始めなければならない。
相手の振り下ろす刀は意外と早かった。何とか食い止めねばならない。
一面に並べられたカプセルを眺める。ここに眠る誰かと夢の中で戦っているのだ。
だれだ?
隣のカプセルで寝ている奴か?
もし、それが分かれば、寝ているその者を殺してしまえば、俺は苦もなく相手に勝てる。ただ、どのカプセルかはわからない。
一階部分に千個のカプセル。それが、五階まであるので、合計五千個。さらに、夢見ビルが二棟建っているので、合計一万個である。
日本で生き残った者たちと、ほぼ同数の人間の数のカプセルが設置されている。
誰でも望めば、このカプセルで夢の中で生きることができる。
ただ、何人かは、このカプセルに入ることを拒否する者がいた。
核水爆が炸裂した後の暗黒の世界と言えども、夢の世界を現実の世界とみなすことを認めない人たちだ。
その人たちは、何をしているかというと、このカプセルを管理する側として働いている。
この東京ドームの敷地を出ようにも、残留放射能と、がれきの山で生きていけそうもない。
カプセルに入らずに生き残るためには、ここにとどまって、このビルの管理する側になるしかないのだ。
突然、一階の中央部に置かれたカプセルの赤色灯が回転をし始めて、ビービーと音を鳴らし始めた。
カプセルの中で異常が起こったのだ。
向こう側から、管理員二人が走ってくるのが見えた。
俺も警告音を鳴らしているカプセルに近づいた。
管理員が自動でドアが開いた、カプセルの中をのぞき込む。
「女だ。かわいそうに。首が切れている」
カプセルの側に寄ると、女が頸動脈を焼き切られて、死んでいた。血液がカプセルの中に飛び散っている。
俺と年齢は大体同じくらい、二十歳に見えた。
管理員は、つぶやくように言う。
「自殺だね。夢の中で、自分の命を絶った。何も、夢の中で死ぬことはないのに」
システムは、夢見る人が他人に傷つけられたり、殺されたりする場合のほかに、自殺をする場合も、忠実に夢の通りに実行した。
このシステムの忠実な実行が、夢がより現実味を帯びて感じられるのだ。
また、単に傷つけられたり、殺される場合だけでない。夢の中で結婚、妊娠した場合も同様にシステムは忠実に実行する。
夢の中で意気投合をした男女の脳波は、システムに送られ、システムがそれを感知すると、男女に性的な信号を頭に流す。
それにより男性は射精をする。
その後、それがビーカーで運ばれて、女性の子宮に入れられる。
この作業を行うのは、管理員たちだ。当然、女性は寝たまま、裸にされ、スポイトで精子を注入させられる。
夢の中で流産や、中絶を行った場合は、その通りになる。
「この女、妊娠をしている。たぶん、男との別れ話かもしれない」
管理員の一人がそのように言う。
夢の中で男性と巡り会い、幸せな日々を送り、妊娠の末の別れ話のための自殺。
俺は再び、カプセルを見わたす。この中か、どこかの階のカプセルに相手の男がいるのだ。
管理員は、死体用の袋に女性を入れて、運ぼうとする時に、俺のほうを振り返る。
「あなたも、現実の世界が厳しいからといって、夢の世界に逃げ込もうとしないほうがいい。この女のようになる」
女に哀れみの言葉一つも投げかけない。もともと、夢の世界を否定している人なのだから仕方がない。
もう一人の管理官が、カプセルの血を拭い、消毒をしているのを見ながら、俺は再び夢に入った時に、俺の腕を切った、男の攻撃を防がなければと、思う。
夢の中に舞い戻ったら、再び、戦いが始まるかも知れぬ。
とりあえず、ビルの五階にある医院に行って、傷の手当てをしてから、対策を練ることにした。
戦いの準備を始めなければならない。
相手の振り下ろす刀は意外と早かった。何とか食い止めねばならない。
一面に並べられたカプセルを眺める。ここに眠る誰かと夢の中で戦っているのだ。
だれだ?
隣のカプセルで寝ている奴か?
もし、それが分かれば、寝ているその者を殺してしまえば、俺は苦もなく相手に勝てる。ただ、どのカプセルかはわからない。
一階部分に千個のカプセル。それが、五階まであるので、合計五千個。さらに、夢見ビルが二棟建っているので、合計一万個である。
日本で生き残った者たちと、ほぼ同数の人間の数のカプセルが設置されている。
誰でも望めば、このカプセルで夢の中で生きることができる。
ただ、何人かは、このカプセルに入ることを拒否する者がいた。
核水爆が炸裂した後の暗黒の世界と言えども、夢の世界を現実の世界とみなすことを認めない人たちだ。
その人たちは、何をしているかというと、このカプセルを管理する側として働いている。
この東京ドームの敷地を出ようにも、残留放射能と、がれきの山で生きていけそうもない。
カプセルに入らずに生き残るためには、ここにとどまって、このビルの管理する側になるしかないのだ。
突然、一階の中央部に置かれたカプセルの赤色灯が回転をし始めて、ビービーと音を鳴らし始めた。
カプセルの中で異常が起こったのだ。
向こう側から、管理員二人が走ってくるのが見えた。
俺も警告音を鳴らしているカプセルに近づいた。
管理員が自動でドアが開いた、カプセルの中をのぞき込む。
「女だ。かわいそうに。首が切れている」
カプセルの側に寄ると、女が頸動脈を焼き切られて、死んでいた。血液がカプセルの中に飛び散っている。
俺と年齢は大体同じくらい、二十歳に見えた。
管理員は、つぶやくように言う。
「自殺だね。夢の中で、自分の命を絶った。何も、夢の中で死ぬことはないのに」
システムは、夢見る人が他人に傷つけられたり、殺されたりする場合のほかに、自殺をする場合も、忠実に夢の通りに実行した。
このシステムの忠実な実行が、夢がより現実味を帯びて感じられるのだ。
また、単に傷つけられたり、殺される場合だけでない。夢の中で結婚、妊娠した場合も同様にシステムは忠実に実行する。
夢の中で意気投合をした男女の脳波は、システムに送られ、システムがそれを感知すると、男女に性的な信号を頭に流す。
それにより男性は射精をする。
その後、それがビーカーで運ばれて、女性の子宮に入れられる。
この作業を行うのは、管理員たちだ。当然、女性は寝たまま、裸にされ、スポイトで精子を注入させられる。
夢の中で流産や、中絶を行った場合は、その通りになる。
「この女、妊娠をしている。たぶん、男との別れ話かもしれない」
管理員の一人がそのように言う。
夢の中で男性と巡り会い、幸せな日々を送り、妊娠の末の別れ話のための自殺。
俺は再び、カプセルを見わたす。この中か、どこかの階のカプセルに相手の男がいるのだ。
管理員は、死体用の袋に女性を入れて、運ぼうとする時に、俺のほうを振り返る。
「あなたも、現実の世界が厳しいからといって、夢の世界に逃げ込もうとしないほうがいい。この女のようになる」
女に哀れみの言葉一つも投げかけない。もともと、夢の世界を否定している人なのだから仕方がない。
もう一人の管理官が、カプセルの血を拭い、消毒をしているのを見ながら、俺は再び夢に入った時に、俺の腕を切った、男の攻撃を防がなければと、思う。
夢の中に舞い戻ったら、再び、戦いが始まるかも知れぬ。
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