【R18】胡散臭い宗教団体を潜入調査したら信者にバレて大ピンチ!

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「はぁ~……。なかなか伸びないわね……」

 私は瀬戸成美。二十三歳。
 新卒で入社したブラック企業をやっとのことでやめ、現在はフリーターとして働いている。貯金があるとはいえ、これから先のことを考えるとこのままでは大変だ。なので、脱却のためになんとか動画投稿で儲けられないものかと画策中である。

 某有名動画視聴サイトに、動画を投稿してから半年。顔出しなしで商品レビューをしたり、ゲーム実況をしたり、流行りに便乗したり……。少しずつチャンネル登録者も増えてきた。収益化まであと一歩というところだ。
 だけど最近は再生回数が思ったより伸びなくて困っている。

 今日もコメント欄を眺め、情報収集をし、動画に活かせないかと画策する。
 もっと話題性を出すためにもやや過激なことに挑戦した方が良いのだろうか……。虫の踊り食いとか……。

 そんなことを考えつつ、ネタ探しをすると、とあるネットニュースに目が止まった。

「なになに……某有名宗教団体の教祖のヤバい実態を暴く……。……これだ!」

 私は早速その記事を読み始める。そして、その日は一日情報収集と作戦計画に費やしたのだった。

 その翌日。思い立ったら即行動。
 私はさっそく準備を整えて出掛けた。

 電車に乗り、目的地へ向かう。
 目的の駅に着いた私はスマホを確認しながら辺りを見渡す。

 アウターの内ポケットには録音レコーダー。そして胸ポケットにはペン型のカメラが仕込まれていた。

「はい、どうも皆さんこんにちは~。なるなるちゃんねるのなるみんです……! 今回はちょっと特別な企画をやりたいということで……」

 駅の隅、私は小声で動画の導入のための挨拶をした。

 そう、私の目的は怪しそうな宗教団体に潜入調査することだ。そしてこれが新しい動画の企画となる。

 どうやらこの駅前はとある宗教団体の最寄駅で、勧誘が多いという情報を手に入れた。
 流石の私も直接宗教団体に突撃する蛮勇さはなく、第一そんなことをしたら逆に怪しまれてしまうだろう。あくまで自然な流れで引っかかったふりをする。それが私の作戦だ。
 だから今は勧誘待ちの状態である。

 三十分ぐらい経過した頃。
 寒いし誰もいないし、ネットの情報は当てにならないことが多い。そろそろ帰って体制を立て直そうかな~と思い始めた頃、背後より声が掛かった。

「すみません、少し良いですか?」

 勢い良く振り向くとスーツ姿の若い男性がいた。二十代半ばといったところだろうか? 背が高くて、髪は綺麗に整えられていて、全体的に清潔感がある。絵に描いたよう好青年だった。

「は、はい! 何でしょう!」

 思わぬイケメンの登場に緊張して思わず声がうわずってしまったが、私の気分は一気に高揚した。

 これは予想通り、勧誘に来たかもしれない!

「パンフレットを配っております。よろしければお一つ受け取ってください」

 そう言って彼は一冊の冊子を差し出してきた。
 私は喜んでそれを受け取る。

 『幸福の会』と表紙に書かれていて、「おっ」と私は反応する。案の定そこには宗教関連のことが記載されていた。興味本位でペラペラとページをめくっていると、そんな私の様子に男性が反応する。

「もしお時間よろしければ……僕が解説しましょうか?」 
「ぜひ!」

 内心では警戒しつつも、表面上は笑顔で応じた。

 よし、引っ掛かった!と、私は心の中でガッツポーズを決めた。いや、実際に引っ掛かったのは私だけど。

 その後、彼に案内され、近くにある喫茶店へと入る。
 席に着くなり男性は名刺を取り出し、手渡して来た。私は差し出された名刺を手に取り、それをまじまじと見つめる。
 『幸福の会広報部・東雲旭』と書かれている。どうやら本物のスカウトマンらしい。

 それから軽く自己紹介をして会話を始める。まずは当たり障りのない質問から。年齢、職業、家族構成などなど……。

 彼の人となりをなんとなく知ることができたと思う。
 ヤバい、という素振りは今のところ一切なく、むしろ話せば話すほどただの良い人という印象だ。

 東雲さんは話し上手で、語る話はどれも興味深く、反対に聞き上手でもあり、気持ち良く話すことができた。
 もちろん、相手が広報部である以上、人心掌握に長けているということは念頭に置いて、だ。
 企画のため、という口実がなければ何でも話してしまいそうになってしまい、私は密かに自制を効かせた。
 動画的にはつまらない場面だったが、普通に私自身が楽しんでしまった。

 しばらくすると幸福の会についての話になった。いかにもな名前だったが、聞いたことがない。

 彼によるとやはり幸福の会はこの近くで活動しているらしい。

 本当はすぐにでも行ってみたかったのだが、いくら宗教団体とはいえアポ無しは失礼だし、何よりこれ以上詮索しようとするのは不自然だ。

 今日はこれ以上探っても収穫はないと判断して私は切り上げることにした。
 帰り際、彼は連絡先を教えてくれた。また会えるといいですね、と笑顔で言われた時は思わずドキッとした。
 帰宅後、私は貰った名刺を眺めながら、ニヤけ顔で呟く。
 ―――よし、次の動画はこれで決まり!
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