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第11章 レッドレオとブルータイガー
11―11 ルーニアンとラナリの過去②
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内容に反して軽いノリで話すルーニアンに苦笑するアルナ。
「そうして誕生したのがブルータイガーってわけか」
「そういうこと。でさ、ブルータイガーのボスになった僕は、テシアも既に生まれていたこともあって、改めてラナリとの関係を認めてもらうためにオグリスさんと話し合いの場を設けたわけなんだけどさ……」
そこでルーニアンの表情が曇る。
「交渉決裂だな?」
エルフェリオンの言葉をルーニアンは頷くことで肯定する。
「ラナリとの関係を認めるための条件を出されちゃったんだよね。それは、ブルータイガーがレッドレオの傘下に入ることだったのさ。僕としても、さすがにその条件をのむことはできなかった。そんなことになれば、ますます力を付けたレッドレオは、裏社会のみならずティク全体を暴力で征服する存在になってしまうからね」
鎮痛な面持ちで答えるルーニアンに、エルフェリオンは「だろうな」と返す。
「その後もルーニアンは父を説得するため、何度も交渉の場を設けてくれました。ですが、父はあくまでもブルータイガーを吸収するという態度を変えません。その間にもレッドレオとブルータイガーの組織としての対立が激化してしまったんです」
ルーニアンから説明を引き継いだラナリが言う。そこで少し間をおいて、ラナリは続ける。
「このままだとレッドレオとブルータイガーの抗争がティクそのものの治安を悪化させると思ったわたしは、ブルータイガーがレッドレオに潜り込ませていたスパイを介してルーニアンと連絡をとり、どうにかレッドレオのアジトから脱出したんです」
「でも、お父さんは黙ってないんじゃないですか?」
アルナが抱く当然の疑問にラナリは頷く。
「僕たちとしても、できるなら親子揃っての生活をしたかったんだけどね。オグリスさんのことがあるからできなかった。それこそ、レッドレオとブルータイガーの全面戦争になって収拾がつかなくなるからさ。そこで、ラナリとテシアには普通の親子として暮らしてもらい、ある程度の距離感を保ちながら、ブルータイガーが可能な限り護衛につく形で様子を見守ることにしたんだ」
ルーニアンは寂しそうに言い、ため息をつく。
「エルフェリオンさんに護衛依頼を出したのは、ブルータイガーが別の裏組織との抗争中の時だったんです。あの時はルーニアンも身動きが取れない状況で……本当に助かりました」
ラナリは改めて礼を述べる。
「いいさ。こっちも仕事で護衛したまでだからな。それよりもだ、どうしてまた今になってレッドレオが動き出したんだ?」
エルフェリオンから投げかけられた質問に、ラナリは黙り込み、ルーニアンは首を横に振って返す。
「それに関しては、僕たちもわからないんだ。ブルータイガーとの全面戦争のリスクを背負ってまで動いた理由が……」
その時だった。テシアとラクターがいる部屋の扉が乱暴に開け放たれた。
「そうして誕生したのがブルータイガーってわけか」
「そういうこと。でさ、ブルータイガーのボスになった僕は、テシアも既に生まれていたこともあって、改めてラナリとの関係を認めてもらうためにオグリスさんと話し合いの場を設けたわけなんだけどさ……」
そこでルーニアンの表情が曇る。
「交渉決裂だな?」
エルフェリオンの言葉をルーニアンは頷くことで肯定する。
「ラナリとの関係を認めるための条件を出されちゃったんだよね。それは、ブルータイガーがレッドレオの傘下に入ることだったのさ。僕としても、さすがにその条件をのむことはできなかった。そんなことになれば、ますます力を付けたレッドレオは、裏社会のみならずティク全体を暴力で征服する存在になってしまうからね」
鎮痛な面持ちで答えるルーニアンに、エルフェリオンは「だろうな」と返す。
「その後もルーニアンは父を説得するため、何度も交渉の場を設けてくれました。ですが、父はあくまでもブルータイガーを吸収するという態度を変えません。その間にもレッドレオとブルータイガーの組織としての対立が激化してしまったんです」
ルーニアンから説明を引き継いだラナリが言う。そこで少し間をおいて、ラナリは続ける。
「このままだとレッドレオとブルータイガーの抗争がティクそのものの治安を悪化させると思ったわたしは、ブルータイガーがレッドレオに潜り込ませていたスパイを介してルーニアンと連絡をとり、どうにかレッドレオのアジトから脱出したんです」
「でも、お父さんは黙ってないんじゃないですか?」
アルナが抱く当然の疑問にラナリは頷く。
「僕たちとしても、できるなら親子揃っての生活をしたかったんだけどね。オグリスさんのことがあるからできなかった。それこそ、レッドレオとブルータイガーの全面戦争になって収拾がつかなくなるからさ。そこで、ラナリとテシアには普通の親子として暮らしてもらい、ある程度の距離感を保ちながら、ブルータイガーが可能な限り護衛につく形で様子を見守ることにしたんだ」
ルーニアンは寂しそうに言い、ため息をつく。
「エルフェリオンさんに護衛依頼を出したのは、ブルータイガーが別の裏組織との抗争中の時だったんです。あの時はルーニアンも身動きが取れない状況で……本当に助かりました」
ラナリは改めて礼を述べる。
「いいさ。こっちも仕事で護衛したまでだからな。それよりもだ、どうしてまた今になってレッドレオが動き出したんだ?」
エルフェリオンから投げかけられた質問に、ラナリは黙り込み、ルーニアンは首を横に振って返す。
「それに関しては、僕たちもわからないんだ。ブルータイガーとの全面戦争のリスクを背負ってまで動いた理由が……」
その時だった。テシアとラクターがいる部屋の扉が乱暴に開け放たれた。
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