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第12章 アークデーモンとの死闘、そして旅立ち
12―12 VSエルダー級アークデーモン⑧
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「おい、こんな時になに呆けてやがるんだ!?」
駆け寄ったエルフェリオンが語気を強く訊く。
「どうしよう……ネティエさんが息をしてないの!」
顔を上げたアルナが救いを求めるような視線をエルフェリオンに向ける。
(……遅かったか……)
既に命尽きているネティエの亡骸をエメラルドグリーンの瞳に映し、エルフェリオンはすぐに視線を動かす。
「死んじまったもんはしかたねぇだろ。今はバゾンをどうにかすることに集中しろよな」
「どうして、どうしてそんな酷い言い方ができるの!?」
キッと睨みながらエルフェリオンに抗議するアルナ。
「俺たちは今ここで何をしている? 殺し合いだぞ。だったら、こっちに死人がでることなんざ最初から覚悟できてたはずだよな? 冒険者なんてのはそんな世界で生きてる連中なんじゃないか? 俺たちはそこに足を踏み入れたんだ。それが堪えられないってんなら、冒険者も復讐もやめちまえ!」
それだけ言い残すと、エルフェリオンはバゾンの足止めをしているルアークたちに加勢するため移動する。
(なによ、あの冷血漢!!)
遠ざかる背中を睨みつけたアルナの青い瞳から涙がこぼれ落ちる。一滴また一滴とこぼれ落ちた水滴が、体温が失われていくネティエの頬を濡らす。完全なる死を迎えた者を回復させることは不可能だ。助けられなかったという罪悪感と無力感がアルナを精神的に追い詰める。
「がはぁぁっ!」
バゾンの強烈な右ストレートをまともにくらったザラギスが吹っ飛ばされ、アルナの近くまでバウンドして滑ってきた。
「ザラギスさん!?」
アルナは駆け寄ってヒーリングをかける。
「……なるほど。そういうことか?」
フラリと立ち上がったザラギスがネティエの遺体を見下ろし、状況を理解する。
「冷たいようだが、死んじまった者にいつまでもかまってる場合じゃないのはわかるよな? 今は、あの化け物を倒すために行動すべきだ。悲しむのはすべてが片付いてからにしな」
言い残して駆けていくザラギス。その向かう先ではルアークとエルフェリオンがバゾンと激しい攻防戦を展開している。
パンッ
アルナは自分の頬を平手打ちする。
(なに甘えたことを言ってんのよ、あたしは!)
気合いを入れ直したアルナは床に横たわるネティエを見下ろす。
「助けられなくて、ごめんなさい。だけど、あいつを絶対に倒してみせるから見てて!」
傍らに置いていた聖杖を手に力強く立ち上がったアルナの青い瞳には確かな闘志と決意が宿っていた。
駆け寄ったエルフェリオンが語気を強く訊く。
「どうしよう……ネティエさんが息をしてないの!」
顔を上げたアルナが救いを求めるような視線をエルフェリオンに向ける。
(……遅かったか……)
既に命尽きているネティエの亡骸をエメラルドグリーンの瞳に映し、エルフェリオンはすぐに視線を動かす。
「死んじまったもんはしかたねぇだろ。今はバゾンをどうにかすることに集中しろよな」
「どうして、どうしてそんな酷い言い方ができるの!?」
キッと睨みながらエルフェリオンに抗議するアルナ。
「俺たちは今ここで何をしている? 殺し合いだぞ。だったら、こっちに死人がでることなんざ最初から覚悟できてたはずだよな? 冒険者なんてのはそんな世界で生きてる連中なんじゃないか? 俺たちはそこに足を踏み入れたんだ。それが堪えられないってんなら、冒険者も復讐もやめちまえ!」
それだけ言い残すと、エルフェリオンはバゾンの足止めをしているルアークたちに加勢するため移動する。
(なによ、あの冷血漢!!)
遠ざかる背中を睨みつけたアルナの青い瞳から涙がこぼれ落ちる。一滴また一滴とこぼれ落ちた水滴が、体温が失われていくネティエの頬を濡らす。完全なる死を迎えた者を回復させることは不可能だ。助けられなかったという罪悪感と無力感がアルナを精神的に追い詰める。
「がはぁぁっ!」
バゾンの強烈な右ストレートをまともにくらったザラギスが吹っ飛ばされ、アルナの近くまでバウンドして滑ってきた。
「ザラギスさん!?」
アルナは駆け寄ってヒーリングをかける。
「……なるほど。そういうことか?」
フラリと立ち上がったザラギスがネティエの遺体を見下ろし、状況を理解する。
「冷たいようだが、死んじまった者にいつまでもかまってる場合じゃないのはわかるよな? 今は、あの化け物を倒すために行動すべきだ。悲しむのはすべてが片付いてからにしな」
言い残して駆けていくザラギス。その向かう先ではルアークとエルフェリオンがバゾンと激しい攻防戦を展開している。
パンッ
アルナは自分の頬を平手打ちする。
(なに甘えたことを言ってんのよ、あたしは!)
気合いを入れ直したアルナは床に横たわるネティエを見下ろす。
「助けられなくて、ごめんなさい。だけど、あいつを絶対に倒してみせるから見てて!」
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