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第1章 邪龍との邂逅
1―3 エルフェリオンのお仕事②
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「俺に何か用か?」
立ち止まったエルフェリオンは男たちを一瞥する。
「ふんっ! オイラたちは街の美化活動をしている善良な貴族様だ」
軽くウェーブのかかった金髪と黒い眼をしたポッチャリ体型の少年は、エルフェリオンを見下したように薄ら笑いを浮かべた。年齢は10代後半くらいだ。腰には剣を提げている。
「……へぇ、そうかい。そんじゃあ、あんたがオージムってやつか?」
内心ではターゲットがかかったことにガッツポーズをするエルフェリオン。しかし、それを表に出さずに確認をとる。
「アヒャヒャヒャヒャ! オイラも随分と有名になったもんだな! 地道に清掃活動を続けてきた甲斐があったぞ。まぁ、これも平民どもの上に立つ貴族の務めか」
(けっ、なぁにが清掃活動だ。やってることは通り魔だろうがよ)
エルフェリオンは、オージムの身勝手な言い分に呆れつつもまだ行動を起こさない。
「清掃活動、ねぇ。そのわりには掃除道具を持っていないようだな?」
エルフェリオンが訊くとオージムは鼻を鳴らす。
「あぁ、そうだ。オイラの清掃活動はおまえたちのようなゴミクズ人間を処分することだからなぁ! やれ!!」
嬉々としてほかの男たちに号令をだすオージム。
「てめぇらに俺をやれるのか?」
エルフェリオンは、振り返り様にまとっていたマントを脱ぎ捨て、後方から駆けてきていた男たちの視界を塞ぐ。
「うぉっ!?」
男たちは不意を突かれて一瞬だけ動きを止める。
「そらよ!」
エルフェリオンは所持していた木の棒を剣のように構えると近くの男の腹をおもいきり突く。
「ぐほぉっ!」
腹部に強烈な突きを受けた男は顔色を変えて悶絶する。それを見ていた隣の仲間は顔を強張らせて硬直した。
「おらぁ!」
エルフェリオンはその隙を見逃さない。横薙ぎに揮った棒が男の頬を打ち据える。
「な……な?……」
標的から離れた安全な場所で腰に手を当てて胸を反らせていたオージムは、予想外の展開に激しく動揺する。
一方、エルフェリオンは棒を中段に構え直す。
「なめやがって! おまえら、あいつをぶっ殺せ!!」
激昂したオージムが両隣の男たちに命令をだす。
「小僧が! 調子に乗るなよ!!」
「あの世で悔やんでろや!」
男たちは片手剣を鞘から抜き放ってエルフェリオンに斬りかかる。だが、エルフェリオンはあくまでも冷静だ。中段に構えた棒を素早く横に振り抜く。
「ごはっ!」
エルフェリオンが振り抜いた棒が左側の男の脇腹を殴打した。肋骨が折れる感触が伝わる。
「野郎!」
右側の男は既に剣を掲げていた。エルフェリオンは相手の懐に飛び込む。
「うぉっ!」
意表を突かれた男はエルフェリオンに体当たりされ、後ろによろめく。
「おらぁ!」
よろめいた男にエルフェリオンの回し蹴りが炸裂する。体勢を崩していた男は回避することができずに蹴り飛ばされ、地面でのびてしまう。
「さぁてと。あとはおまえだけだぜ?」
棒を肩の上に乗せて口角を上げたエルフェリオンにたじろぐオージム。
「やめろ! こっちに来るな!!」
恐怖に顔を引き攣らせたオージムは、提げていた剣をブンブンと闇雲に振り回す。
「覚悟はできてるだろうな? いや、できてなくても同じか」
棒を手に近付いてくる青髪の青年にオージムは腰を抜かす。
「待て待て待て! オイラは貴族の……」
「それがどうした? 俺にとっちゃ貴族だろうが王族だろうが関係ねぇよ」
エルフェリオンはオージムの言葉を遮り、ゆっくりとした動きで棒を構える。ギラッと光るエルフェリオンの双眸に睨めつけられ、オージムは遂に失禁して気を失う。
「んだよ、だらしねぇな」
呆れた表情で構えをといたエルフェリオンは、予め用意しておいた縄でオージムを縛り上げて目隠しをし、依頼主であるバキザの元へと連行するのだった。
◎★☆◎
「いやぁ、大儲けだな!……ん?」
満面の笑みでスラム街の自宅へと戻ってきたエルフェリオンは、自分の帰りを待っていたであろう二人組の男に気付く。ひとりは金色の髪とブラウンの瞳をした20代前半の若者で、赤紫色の軽鎧を装備し、青紫色のマントを羽織っている。手には槍と斧の特性を併せ持つハルバートを持っていた。もうひとりは赤い短髪と薄いブルーの瞳を持つ男で右目を眼帯で隠している。革製の胸当てと籠手を装備し、腰には片手剣を提げていた。年は20代後半くらいだろうか。
「やぁ。君がエルフェリオン君で間違いないのかな?」
金髪の男はエルフェリオンを見て微笑んだ。
立ち止まったエルフェリオンは男たちを一瞥する。
「ふんっ! オイラたちは街の美化活動をしている善良な貴族様だ」
軽くウェーブのかかった金髪と黒い眼をしたポッチャリ体型の少年は、エルフェリオンを見下したように薄ら笑いを浮かべた。年齢は10代後半くらいだ。腰には剣を提げている。
「……へぇ、そうかい。そんじゃあ、あんたがオージムってやつか?」
内心ではターゲットがかかったことにガッツポーズをするエルフェリオン。しかし、それを表に出さずに確認をとる。
「アヒャヒャヒャヒャ! オイラも随分と有名になったもんだな! 地道に清掃活動を続けてきた甲斐があったぞ。まぁ、これも平民どもの上に立つ貴族の務めか」
(けっ、なぁにが清掃活動だ。やってることは通り魔だろうがよ)
エルフェリオンは、オージムの身勝手な言い分に呆れつつもまだ行動を起こさない。
「清掃活動、ねぇ。そのわりには掃除道具を持っていないようだな?」
エルフェリオンが訊くとオージムは鼻を鳴らす。
「あぁ、そうだ。オイラの清掃活動はおまえたちのようなゴミクズ人間を処分することだからなぁ! やれ!!」
嬉々としてほかの男たちに号令をだすオージム。
「てめぇらに俺をやれるのか?」
エルフェリオンは、振り返り様にまとっていたマントを脱ぎ捨て、後方から駆けてきていた男たちの視界を塞ぐ。
「うぉっ!?」
男たちは不意を突かれて一瞬だけ動きを止める。
「そらよ!」
エルフェリオンは所持していた木の棒を剣のように構えると近くの男の腹をおもいきり突く。
「ぐほぉっ!」
腹部に強烈な突きを受けた男は顔色を変えて悶絶する。それを見ていた隣の仲間は顔を強張らせて硬直した。
「おらぁ!」
エルフェリオンはその隙を見逃さない。横薙ぎに揮った棒が男の頬を打ち据える。
「な……な?……」
標的から離れた安全な場所で腰に手を当てて胸を反らせていたオージムは、予想外の展開に激しく動揺する。
一方、エルフェリオンは棒を中段に構え直す。
「なめやがって! おまえら、あいつをぶっ殺せ!!」
激昂したオージムが両隣の男たちに命令をだす。
「小僧が! 調子に乗るなよ!!」
「あの世で悔やんでろや!」
男たちは片手剣を鞘から抜き放ってエルフェリオンに斬りかかる。だが、エルフェリオンはあくまでも冷静だ。中段に構えた棒を素早く横に振り抜く。
「ごはっ!」
エルフェリオンが振り抜いた棒が左側の男の脇腹を殴打した。肋骨が折れる感触が伝わる。
「野郎!」
右側の男は既に剣を掲げていた。エルフェリオンは相手の懐に飛び込む。
「うぉっ!」
意表を突かれた男はエルフェリオンに体当たりされ、後ろによろめく。
「おらぁ!」
よろめいた男にエルフェリオンの回し蹴りが炸裂する。体勢を崩していた男は回避することができずに蹴り飛ばされ、地面でのびてしまう。
「さぁてと。あとはおまえだけだぜ?」
棒を肩の上に乗せて口角を上げたエルフェリオンにたじろぐオージム。
「やめろ! こっちに来るな!!」
恐怖に顔を引き攣らせたオージムは、提げていた剣をブンブンと闇雲に振り回す。
「覚悟はできてるだろうな? いや、できてなくても同じか」
棒を手に近付いてくる青髪の青年にオージムは腰を抜かす。
「待て待て待て! オイラは貴族の……」
「それがどうした? 俺にとっちゃ貴族だろうが王族だろうが関係ねぇよ」
エルフェリオンはオージムの言葉を遮り、ゆっくりとした動きで棒を構える。ギラッと光るエルフェリオンの双眸に睨めつけられ、オージムは遂に失禁して気を失う。
「んだよ、だらしねぇな」
呆れた表情で構えをといたエルフェリオンは、予め用意しておいた縄でオージムを縛り上げて目隠しをし、依頼主であるバキザの元へと連行するのだった。
◎★☆◎
「いやぁ、大儲けだな!……ん?」
満面の笑みでスラム街の自宅へと戻ってきたエルフェリオンは、自分の帰りを待っていたであろう二人組の男に気付く。ひとりは金色の髪とブラウンの瞳をした20代前半の若者で、赤紫色の軽鎧を装備し、青紫色のマントを羽織っている。手には槍と斧の特性を併せ持つハルバートを持っていた。もうひとりは赤い短髪と薄いブルーの瞳を持つ男で右目を眼帯で隠している。革製の胸当てと籠手を装備し、腰には片手剣を提げていた。年は20代後半くらいだろうか。
「やぁ。君がエルフェリオン君で間違いないのかな?」
金髪の男はエルフェリオンを見て微笑んだ。
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