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第1章 邪龍との邂逅
1ー6 邪龍の迷宮①
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エルフェリオンとゼイナスを新たな仲間に加えた冒険パーティ華麗なる英雄は、世界各地に存在する迷宮のひとつ邪龍の迷宮へとやってきた。
「中に入る前に確認しておきたいんだけど、いいかい?」
ギゼムがエルフェリオンとゼイナスを交互に見る。
「なんだ?」
エルフェリオンが先を促す。
「二人はモンスターとの戦闘経験はあるのかな?」
投げかけられた質問にエルフェリオンとゼイナスは首を横に振る。
「けっ、素人かよ……」
ルドアはやれやれといった風に肩をすくめるが、ギゼムがすかさず注意する。
「ルドア、そんなこと言っちゃいけないよ。だれだって最初は素人だ。それよりも見栄をはらず正直に答えてくれたことを評価しよう」
「ちっ、ギゼムは甘ぇんだよ」
ルドアは不機嫌そうに顔を顰めてそっぽを向く。だが、これはいつものことなのだろう、ギゼムはフォローをいれることなくエルフェリオンたちに視線を戻す。
「それじゃ、まずは低級モンスターを相手に実戦経験を積んでいこう」
「んなことより、強ぇモンスターとバンバンやり合おうぜ!」
「ゼイナス君。やる気を出してくれるのは嬉しいけど、モンスターとの戦闘は君たちが思っている以上に危険なんだ。僕たちの目的地は邪龍の迷宮の奥深く。そこにたどり着けるようになるまで強くなってもらわなきゃね。それに、どうせ低級モンスターのいるエリアを通る必要があるから腕試しも兼ねていると考えてもらっていいよ。……で、君たちの用意した装備だけど?」
ギゼムはエルフェリオンとゼイナスの装備品に目を配る。
「エルフェリオン君はロングソードにダガー、レザーアーマー……それに、まさか貯蔵鞄とはさすがに驚かされたよ。10万コルバでよくこれだけ揃えられたものだね」
貯蔵鞄とは、独自の魔空間に道具類を保管して持ち歩くための冒険者用の鞄である。通常なら安い物であっても100万コルバはする高級品だ。
「まぁな。武器屋の特売商品用の樽に入ってたロングソードとダガーをセットで買うことを条件にして、木箱の中にあった中古のレザーアーマーも付けてもらったからな。貯蔵鞄は以前にゴミ拾いの依頼を受けたときに見つけたものだ。修復するにも金がなかったから今までできなかったのさ」
感心する金髪の青年にエルフェリオンは答える。それを聞いたギゼムが大きく頷く。
「なるほど。エルフェリオン君はなかなかの買い物上手だね。交渉が上手いというのは冒険者としてはプラス要素といえるよ。それに強運にも恵まれているみたいだね。貯蔵鞄ほどの高級品がなぜゴミとして捨てられていたのかは気になるところだけど……それで、ゼイナス君のほうは……」
ギゼムが視線を流すとゼイナスは得意げに大戦斧を見せつける。
「こっちはこっちで随分と大きな得物を持ってきたね……」
「ふん! そんな物を持ってきて扱えるんだろうな?」
ギゼムは驚き、ルドアは疑問を口にする。それに対してゼイナスは自信たっぷりに笑みをこぼす。
「決まってんだろ。このゼイナス様の鍛え抜かれた肉体に扱えない武器はねぇぜ」
「……だといいんだがな?」
信用できないといった口振りのルドアに不快感を顔面に張り付かせるゼイナス。
「そこまで! 僕たちはこれから生死を分かち合う仲間になるんだ。こんなことで、いがみ合っていたら生き残れないぞ」
一触即発の雰囲気が漂う中、ギゼムはルドアとゼイナスを抑える。
「さて。とにかくこれで準備は整った。さぁ、行こう!」
冒険パーティ華麗なる英雄は、リーダーであるギゼムを先頭に邪龍の迷宮へと潜っていった。
「中に入る前に確認しておきたいんだけど、いいかい?」
ギゼムがエルフェリオンとゼイナスを交互に見る。
「なんだ?」
エルフェリオンが先を促す。
「二人はモンスターとの戦闘経験はあるのかな?」
投げかけられた質問にエルフェリオンとゼイナスは首を横に振る。
「けっ、素人かよ……」
ルドアはやれやれといった風に肩をすくめるが、ギゼムがすかさず注意する。
「ルドア、そんなこと言っちゃいけないよ。だれだって最初は素人だ。それよりも見栄をはらず正直に答えてくれたことを評価しよう」
「ちっ、ギゼムは甘ぇんだよ」
ルドアは不機嫌そうに顔を顰めてそっぽを向く。だが、これはいつものことなのだろう、ギゼムはフォローをいれることなくエルフェリオンたちに視線を戻す。
「それじゃ、まずは低級モンスターを相手に実戦経験を積んでいこう」
「んなことより、強ぇモンスターとバンバンやり合おうぜ!」
「ゼイナス君。やる気を出してくれるのは嬉しいけど、モンスターとの戦闘は君たちが思っている以上に危険なんだ。僕たちの目的地は邪龍の迷宮の奥深く。そこにたどり着けるようになるまで強くなってもらわなきゃね。それに、どうせ低級モンスターのいるエリアを通る必要があるから腕試しも兼ねていると考えてもらっていいよ。……で、君たちの用意した装備だけど?」
ギゼムはエルフェリオンとゼイナスの装備品に目を配る。
「エルフェリオン君はロングソードにダガー、レザーアーマー……それに、まさか貯蔵鞄とはさすがに驚かされたよ。10万コルバでよくこれだけ揃えられたものだね」
貯蔵鞄とは、独自の魔空間に道具類を保管して持ち歩くための冒険者用の鞄である。通常なら安い物であっても100万コルバはする高級品だ。
「まぁな。武器屋の特売商品用の樽に入ってたロングソードとダガーをセットで買うことを条件にして、木箱の中にあった中古のレザーアーマーも付けてもらったからな。貯蔵鞄は以前にゴミ拾いの依頼を受けたときに見つけたものだ。修復するにも金がなかったから今までできなかったのさ」
感心する金髪の青年にエルフェリオンは答える。それを聞いたギゼムが大きく頷く。
「なるほど。エルフェリオン君はなかなかの買い物上手だね。交渉が上手いというのは冒険者としてはプラス要素といえるよ。それに強運にも恵まれているみたいだね。貯蔵鞄ほどの高級品がなぜゴミとして捨てられていたのかは気になるところだけど……それで、ゼイナス君のほうは……」
ギゼムが視線を流すとゼイナスは得意げに大戦斧を見せつける。
「こっちはこっちで随分と大きな得物を持ってきたね……」
「ふん! そんな物を持ってきて扱えるんだろうな?」
ギゼムは驚き、ルドアは疑問を口にする。それに対してゼイナスは自信たっぷりに笑みをこぼす。
「決まってんだろ。このゼイナス様の鍛え抜かれた肉体に扱えない武器はねぇぜ」
「……だといいんだがな?」
信用できないといった口振りのルドアに不快感を顔面に張り付かせるゼイナス。
「そこまで! 僕たちはこれから生死を分かち合う仲間になるんだ。こんなことで、いがみ合っていたら生き残れないぞ」
一触即発の雰囲気が漂う中、ギゼムはルドアとゼイナスを抑える。
「さて。とにかくこれで準備は整った。さぁ、行こう!」
冒険パーティ華麗なる英雄は、リーダーであるギゼムを先頭に邪龍の迷宮へと潜っていった。
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