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第3章 5年後のレバルフ
3―12 ドッズ
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路地から姿を見せた声の主は、小柄で無精ひげを伸ばした初老の男だった。年齢を感じさせないほど鍛えられた肉体をしており、頭には鉄兜、胴体には鉄鎧、右手にメイス、左手に盾といった重装備をしている。闘志を宿した瞳でしっかりとエルフェリオンとルートンを見ている。
「ドッズか」
エルフェリオンに名を呼ばれた男はニカッと笑う。
「エルフェリオン、やっぱり生きてやがったか。てめぇが簡単にくたばるとは思ってなかったがな」
「そりゃどうも。んで、なんの用だよ? そんな武装までして」
エルフェリオンの問いかけにドッズはメイスを振り回す。
「実は今朝早くにそこのルートンからおまえが戻ってきたと連絡を受けてな。さらにゲーブの手下を何人か殺ったらしいじゃないか。ならば、おまえのことだ、当然のごとくゲーブを放置しておくはずもない。違うか?」
ドッズは、「おまえの考えはお見通しだ」と言わんばかりのドヤ顔をする。
「ついてくるってのか? やめとけ。あんたもいい年だろうが」
「何を言うか! ワイはまだまだ若い者には負けんぞ!!……って、待たんか!!」
メイスと盾を振り上げて怒るドッズだったが、置き去りにしてスタスタと先を急ぐエルフェリオンとルートンの後を追いかける。
「ところで、エルフェリオンよ。おまえが邪龍の迷宮に向かう前にワイから買っていったロングソードとダガーはどうした?」
「壊れた」
追いついて訊くドッズにエルフェリオンが簡潔な答えを返す。
「なんだと! おまえが無茶苦茶な値切り方をして持っていったロングソードとダガーを壊したのか!?……あれでも品質は良かったはずだぞ?」
「壊れちまったもんはしかたねぇだろ」
悪びれる様子など微塵もなく答えるエルフェリオンを相手に反省を求めるのは無駄であると悟り、ドッズは沈黙する。
「それじゃあ、その貯蔵鞄もドッズから買ったのか?」
エルフェリオンが腰から提げている鞄に視線を落としたルートンが訊く。
「ああ、まぁな」
「……それだけでもけっこうな値打ちもんだぞ。せいぜい大事に使ってくれ。まったく! ワイが秘密のルートで仕入れた品物だったのに……」
ブツブツと文句を言うドッズだが、当のエルフェリオンは歯牙にもかけない。
「ところで、ゲーブって野郎の勢力はどれくらいなんだ?」
「おまえなぁ、そんな事も知らないで乗り込むつもりだったのかよ?」
質問を投げかけるエルフェリオンにルートンはため息まじりだ。
「しかたねぇだろ。俺はレバルフに戻ってきたばかりなんだぜ?」
エルフェリオンは、ふてくされて外方を向く。
「すまん、すまん。オレも正確に知ってるわけじゃないんだ。しかし、スラムの住人のほとんどかあいつらの仲間だと思ったほうがいいのは確かだ。実際、あいつらに逆らったり反抗的だったやつは殺されるか追放された」
ルートンは拳を固く握る。
「おまえらはよく残ってたんだな?」
「なるべく目立たんようにしてたからな」
「それに、エルフェリオンなら必ず戻ってくるって信じてたからな!」
エルフェリオンの質問にドッズが答え、ルートンが続く。
「しかし、敵勢の根城に喋りながら乗り込むとは緊張感に欠け……ん?」
ドッズが言葉を止める。3人の行く手に大勢の男たちが立ち塞がる。
「お待ちかねだったようだな。先に言っとくが、見知った顔もいるようだが容赦しねぇぞ?」
エルフェリオンは、スラムの住人たちを睥睨して警告した。
「ドッズか」
エルフェリオンに名を呼ばれた男はニカッと笑う。
「エルフェリオン、やっぱり生きてやがったか。てめぇが簡単にくたばるとは思ってなかったがな」
「そりゃどうも。んで、なんの用だよ? そんな武装までして」
エルフェリオンの問いかけにドッズはメイスを振り回す。
「実は今朝早くにそこのルートンからおまえが戻ってきたと連絡を受けてな。さらにゲーブの手下を何人か殺ったらしいじゃないか。ならば、おまえのことだ、当然のごとくゲーブを放置しておくはずもない。違うか?」
ドッズは、「おまえの考えはお見通しだ」と言わんばかりのドヤ顔をする。
「ついてくるってのか? やめとけ。あんたもいい年だろうが」
「何を言うか! ワイはまだまだ若い者には負けんぞ!!……って、待たんか!!」
メイスと盾を振り上げて怒るドッズだったが、置き去りにしてスタスタと先を急ぐエルフェリオンとルートンの後を追いかける。
「ところで、エルフェリオンよ。おまえが邪龍の迷宮に向かう前にワイから買っていったロングソードとダガーはどうした?」
「壊れた」
追いついて訊くドッズにエルフェリオンが簡潔な答えを返す。
「なんだと! おまえが無茶苦茶な値切り方をして持っていったロングソードとダガーを壊したのか!?……あれでも品質は良かったはずだぞ?」
「壊れちまったもんはしかたねぇだろ」
悪びれる様子など微塵もなく答えるエルフェリオンを相手に反省を求めるのは無駄であると悟り、ドッズは沈黙する。
「それじゃあ、その貯蔵鞄もドッズから買ったのか?」
エルフェリオンが腰から提げている鞄に視線を落としたルートンが訊く。
「ああ、まぁな」
「……それだけでもけっこうな値打ちもんだぞ。せいぜい大事に使ってくれ。まったく! ワイが秘密のルートで仕入れた品物だったのに……」
ブツブツと文句を言うドッズだが、当のエルフェリオンは歯牙にもかけない。
「ところで、ゲーブって野郎の勢力はどれくらいなんだ?」
「おまえなぁ、そんな事も知らないで乗り込むつもりだったのかよ?」
質問を投げかけるエルフェリオンにルートンはため息まじりだ。
「しかたねぇだろ。俺はレバルフに戻ってきたばかりなんだぜ?」
エルフェリオンは、ふてくされて外方を向く。
「すまん、すまん。オレも正確に知ってるわけじゃないんだ。しかし、スラムの住人のほとんどかあいつらの仲間だと思ったほうがいいのは確かだ。実際、あいつらに逆らったり反抗的だったやつは殺されるか追放された」
ルートンは拳を固く握る。
「おまえらはよく残ってたんだな?」
「なるべく目立たんようにしてたからな」
「それに、エルフェリオンなら必ず戻ってくるって信じてたからな!」
エルフェリオンの質問にドッズが答え、ルートンが続く。
「しかし、敵勢の根城に喋りながら乗り込むとは緊張感に欠け……ん?」
ドッズが言葉を止める。3人の行く手に大勢の男たちが立ち塞がる。
「お待ちかねだったようだな。先に言っとくが、見知った顔もいるようだが容赦しねぇぞ?」
エルフェリオンは、スラムの住人たちを睥睨して警告した。
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