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第4章 狙われた親子
4―6 ホテルにて
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「ったく、なんでホテルなんだよ? どうせなら詰所でいたほうが安全だろうが」
アルナが宿泊しているホテルの客室。ソファに体を投げ出していたエルフェリオンが愚痴る。
「文句言わないでよ、まったく! 詰所よりもホテルのほうがバスルームとかベッドとか設備がいいし、なによりもせっかく宿泊代を払ってるんだからもったいないでしょ?」
湯上がりのアルナがバスタオルで髪を乾かしつつ反論する。
「おまえなぁ、自分の身の安全と宿泊代のどっちが大事なんだよ?」
「あら、そのためにあなたを雇ったんじゃないの。これでもあんたの戦闘能力だけは認めてあげてるのよ?」
呆れたように言うエルフェリオンにアルナが返す。
「俺は雇われた覚えはないんだがな? そもそも契約書も作ってなければ、依頼料も受け取ってないぞ?」
エルフェリオンは正論を投げ返す。
「あらあら、あんたにしてはまともな事を言うじゃない。だったら、ボランティアとして護衛をお願いね」
アルナはパチリとウィンクしてみせる。
「だれがボランティアでおまえなんぞを護衛するんだよ?」
「えぇっ! ということは、あたしの体で払えって言うの!? うわぁ~、最低な考え……」
アルナが自分の体を抱きしめてドン引きする。
「バカ言え。……おまえがゼイナスの妹というのがわかるぜ」
「どういう意味よ、それ?」
ため息混じりに漏らすエルフェリオンにアルナが訊く。
「まんまさ。その一方的に話を進めていくところとかだ。それに、俺にだって選択権はある。どうせなら、子供っぽい女じゃなく、もっと落ち着きのある美人をだな……わぷっ」
アルナにバスタオルを投げつけられたエルフェリオンが言葉を止める。
「子供っぽくて悪かったわね! さっさとバスルームに行きなさいよ、バァカ!!」
乱暴に言い捨ててベッドに潜り込むアルナにエルフェリオンは肩をすくめる。
「へいへい……」
不貞腐れてしまった少女を捨て置き、エルフェリオンは投げつけられたバスタオルをソファの背もたれにかけ、ひとりバスルームへと向かうのだった。
アルナが宿泊しているホテルの客室。ソファに体を投げ出していたエルフェリオンが愚痴る。
「文句言わないでよ、まったく! 詰所よりもホテルのほうがバスルームとかベッドとか設備がいいし、なによりもせっかく宿泊代を払ってるんだからもったいないでしょ?」
湯上がりのアルナがバスタオルで髪を乾かしつつ反論する。
「おまえなぁ、自分の身の安全と宿泊代のどっちが大事なんだよ?」
「あら、そのためにあなたを雇ったんじゃないの。これでもあんたの戦闘能力だけは認めてあげてるのよ?」
呆れたように言うエルフェリオンにアルナが返す。
「俺は雇われた覚えはないんだがな? そもそも契約書も作ってなければ、依頼料も受け取ってないぞ?」
エルフェリオンは正論を投げ返す。
「あらあら、あんたにしてはまともな事を言うじゃない。だったら、ボランティアとして護衛をお願いね」
アルナはパチリとウィンクしてみせる。
「だれがボランティアでおまえなんぞを護衛するんだよ?」
「えぇっ! ということは、あたしの体で払えって言うの!? うわぁ~、最低な考え……」
アルナが自分の体を抱きしめてドン引きする。
「バカ言え。……おまえがゼイナスの妹というのがわかるぜ」
「どういう意味よ、それ?」
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「まんまさ。その一方的に話を進めていくところとかだ。それに、俺にだって選択権はある。どうせなら、子供っぽい女じゃなく、もっと落ち着きのある美人をだな……わぷっ」
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「子供っぽくて悪かったわね! さっさとバスルームに行きなさいよ、バァカ!!」
乱暴に言い捨ててベッドに潜り込むアルナにエルフェリオンは肩をすくめる。
「へいへい……」
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