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第4章 狙われた親子
4―14 口封じ
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「本当にわかっているのかね!?」
クラビーヌを捕らえたアルナの耳に、デルマの荒げた声が聞こえてきた。
「うっせぇな。あんたには関係ねぇだろうが。ほっとけよ」
鬱陶しそうに返すエルフェリオンの肩をつかむデルマ。
「君のあの力はなんなんだ!? 君が使っていた不気味な剣はどこにある!? バゼンドの遺体はなぜ消滅した!? そもそも、どこでどうやってあの不気味な剣を手に入れた!?」
『こやつ、このわしを不気味じゃと吐かしたの?』
矢継ぎ早に投げかけられる質問に、うんざりした表情のエルフェリオンの内で、邪龍レヴィジアルが静かな怒りの声を発する。
「それを、あんたに答える気はねぇよ」
エルフェリオンは肩をつかむデルマの手を払い除ける。
「また、人を殺したのね?」
アルナが冷ややか口調で話に加わる。
「ああ。言ったろ、降りかかる火の粉は払うってな。それとも、俺を捕まえるのか、体長さんよ?」
エルフェリオンは、挑発的な視線をデルマに向ける。
「……そうするにしても、遺体どころか血痕ひつとなく、凶器となったはずの剣もないのでは証拠がなさすぎる……」
デルマは無念さをにじませる。
「だったら、俺はもう行かせてもらうぜ」
踵を返して立ち去ろうとするエルフェリオンの前にアルナが立ち塞がる。
「なんだよ? そこの隊長のおっさんが言ってたろうが。俺を捕まえることはできねぇらしいぜ」
エルフェリオンは、何も言い返せずにいるアルナの横をすり抜ける。
「エルフェリオン君、きみはその力で何をするつもりなんだ?」
デルマはエルフェリオンの後ろ姿を見つめながら問う。
「……俺は……ん?」
エルフェリオンは、デルマとアルナに背を向けたまま答えかけて言葉を止める。教会の周囲の林の中から風を切って矢が飛び出してきた。
ドスッ
「がはっ!」
矢はデルマの近くにいたバゼンドの額に突き刺さる。当然、その一撃によりバゼンドは即死する。
「くっ! まずい!!」
デルマがアルナによって拘束されているクラビーヌの元へと駆ける。だが、それよりも早く放たれた次の矢が、事態をのみ込めずに狼狽しているクラビーヌの眉間を射抜く。
「くそ!」
クラビーヌたちにラッケル誘拐を依頼した黒幕のことを聞き出そうと考えていたデルマが怒りをあらわにする。
「やってくれるじゃねぇかよ!」
エルフェリオンは矢が飛んできた位置を見据えて林の中へと入っていく。
「待て! ひとりでは危険すぎる!!」
背後から制止するデルマの声を無視し、エルフェリオンの姿は林の中へと消えていった。
クラビーヌを捕らえたアルナの耳に、デルマの荒げた声が聞こえてきた。
「うっせぇな。あんたには関係ねぇだろうが。ほっとけよ」
鬱陶しそうに返すエルフェリオンの肩をつかむデルマ。
「君のあの力はなんなんだ!? 君が使っていた不気味な剣はどこにある!? バゼンドの遺体はなぜ消滅した!? そもそも、どこでどうやってあの不気味な剣を手に入れた!?」
『こやつ、このわしを不気味じゃと吐かしたの?』
矢継ぎ早に投げかけられる質問に、うんざりした表情のエルフェリオンの内で、邪龍レヴィジアルが静かな怒りの声を発する。
「それを、あんたに答える気はねぇよ」
エルフェリオンは肩をつかむデルマの手を払い除ける。
「また、人を殺したのね?」
アルナが冷ややか口調で話に加わる。
「ああ。言ったろ、降りかかる火の粉は払うってな。それとも、俺を捕まえるのか、体長さんよ?」
エルフェリオンは、挑発的な視線をデルマに向ける。
「……そうするにしても、遺体どころか血痕ひつとなく、凶器となったはずの剣もないのでは証拠がなさすぎる……」
デルマは無念さをにじませる。
「だったら、俺はもう行かせてもらうぜ」
踵を返して立ち去ろうとするエルフェリオンの前にアルナが立ち塞がる。
「なんだよ? そこの隊長のおっさんが言ってたろうが。俺を捕まえることはできねぇらしいぜ」
エルフェリオンは、何も言い返せずにいるアルナの横をすり抜ける。
「エルフェリオン君、きみはその力で何をするつもりなんだ?」
デルマはエルフェリオンの後ろ姿を見つめながら問う。
「……俺は……ん?」
エルフェリオンは、デルマとアルナに背を向けたまま答えかけて言葉を止める。教会の周囲の林の中から風を切って矢が飛び出してきた。
ドスッ
「がはっ!」
矢はデルマの近くにいたバゼンドの額に突き刺さる。当然、その一撃によりバゼンドは即死する。
「くっ! まずい!!」
デルマがアルナによって拘束されているクラビーヌの元へと駆ける。だが、それよりも早く放たれた次の矢が、事態をのみ込めずに狼狽しているクラビーヌの眉間を射抜く。
「くそ!」
クラビーヌたちにラッケル誘拐を依頼した黒幕のことを聞き出そうと考えていたデルマが怒りをあらわにする。
「やってくれるじゃねぇかよ!」
エルフェリオンは矢が飛んできた位置を見据えて林の中へと入っていく。
「待て! ひとりでは危険すぎる!!」
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