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第5章 老翁との出会い
5―7 ゴブリン巣窟の攻略④
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「ライトニング・ウィップ!」
アルナは、アイシクル・ガトリングを躱して迫ってきたブラッドウルフたちを雷の鞭で薙ぎ払った。
「グルルルルル!」
それでも斃しきれなかったブラッドウルフたちは、牙をむき出しにして威嚇し、左右から迂回するようにアルナに接近する。
「む!」
主に後方支援を担当することが多い魔術師にとって、敵に接近されるのは危険だ。ハオウは、万が一の事態に備えて短剣を握りしめ、助太刀する体勢をとる。
「ほぉ……」
ハオウは自身の心配が杞憂であったことを悟り、感嘆の声をこぼす。
白い魔力をまとって自身の身体能力を強化していたアルナは、軽やかに宙に舞い上がってブラッドウルフたちの攻撃を躱す。
「エア・ガトリング!!」
着地するよりも早く、空中で身を翻したアルナは、聖杖の先端部を足下のブラッドウルフたちに差し向けて攻撃魔術を放つ。
ドドドドドドドッ!
圧縮された空気弾が雨の如く地上のブラッドウルフの群れに降り注ぐ。
(倒しきれなかった!?)
アルナの計算ではここでブラッドウルフは全滅の予定だった。しかし、6体のブラッドウルフが前傾姿勢をとってアルナが着地する瞬間を狙っている。
「くっ!」
アルナは再び魔力を練り上げていく。だが、間に合わない。攻撃魔術を警戒して左右に展開したブラッドウルフがアルナの着地に合わせて動く。
「こりゃ、いかんぞい!……ぬ?」
少女の危機に片足を踏み込んだハオウだったが、一瞬、アルナと視線が合う。その目は助太刀など微塵も望んでいない。ハオウは飛び出す準備をするだけにとどめ、事態を静観することにした。
バキッ
アルナは、飛びかかってきたブラッドウルフを聖杖で殴り飛ばす。だが、魔力によって膂力を強化していてもブラッドウルフを一撃で倒すことはできなかった。空中で体勢を立て直したブラッドウルフは着地と同時に反撃にでる。
「あぅっ!」
多方向から同時に噛みつかれたアルナは苦痛の表情で地面に膝をつく。肩や腕・足に噛みつかれながらもアルナは練り上げた魔力を集めた左手を、右肩に牙を立てているブラッドウルフにピタリと接触させる。
「エア・ショット!」
「ギャウンッ」
圧縮されて空気弾をゼロ距離からくらったブラッドウルフは、勢いよく吹き飛ばされて絶命する。
(なんと! 魔力をまとっているとはいえ、ブラッドウルフにあれだけ噛みつかれれば相当な痛みがあるはずじゃぞい。なのに、噛みついてきたブラッドウルフを1体ずつ確実にしとめていくとは……むむ?)
「あっ、くぅ!」
アルナに噛みついたまま体をひねり、牙をくい込ませて肉をねじ切ろうとするブラッドウルフ。苦痛に声を漏らしながらも、アルナはエア・ショットで2体目を、さらに続けて3体目を斃す。
「グルル……」
すぐに距離をとらなければ全滅すると感じたブラッドウルフたちがアルナから一斉に離れる。
「バーニング・ウィップ!」
アルナは痛みに耐え、練り上げた魔力を火炎の鞭と化して揮う。
「「ギャウゥンッ」」
さらに2体のブラッドウルフが斃されて、とうとう最後の1体となる。
「ガルルルル!」
激しく威嚇しながらアルナの隙を伺うブラッドウルフ。
「やっ!」
今度はアルナから攻撃を仕掛ける。右手に握った聖杖を振りかざす。が、ブラッドウルフは姿勢を低くして躱す。
「ガウッ!」
ブラッドウルフが反撃にでる。アルナの喉元に噛みつこうと飛びかかる。だが、アルナは魔力を溜めた左手をかざす。
「バーニング・ショット!」
アルナの左手から放たれた火炎弾はブラッドウルフの口内を直撃した。
「ガァァァァッ!!」
体内から焼かれたブラッドウルフは絶命し、霧となって消え去った。
アルナは、アイシクル・ガトリングを躱して迫ってきたブラッドウルフたちを雷の鞭で薙ぎ払った。
「グルルルルル!」
それでも斃しきれなかったブラッドウルフたちは、牙をむき出しにして威嚇し、左右から迂回するようにアルナに接近する。
「む!」
主に後方支援を担当することが多い魔術師にとって、敵に接近されるのは危険だ。ハオウは、万が一の事態に備えて短剣を握りしめ、助太刀する体勢をとる。
「ほぉ……」
ハオウは自身の心配が杞憂であったことを悟り、感嘆の声をこぼす。
白い魔力をまとって自身の身体能力を強化していたアルナは、軽やかに宙に舞い上がってブラッドウルフたちの攻撃を躱す。
「エア・ガトリング!!」
着地するよりも早く、空中で身を翻したアルナは、聖杖の先端部を足下のブラッドウルフたちに差し向けて攻撃魔術を放つ。
ドドドドドドドッ!
圧縮された空気弾が雨の如く地上のブラッドウルフの群れに降り注ぐ。
(倒しきれなかった!?)
アルナの計算ではここでブラッドウルフは全滅の予定だった。しかし、6体のブラッドウルフが前傾姿勢をとってアルナが着地する瞬間を狙っている。
「くっ!」
アルナは再び魔力を練り上げていく。だが、間に合わない。攻撃魔術を警戒して左右に展開したブラッドウルフがアルナの着地に合わせて動く。
「こりゃ、いかんぞい!……ぬ?」
少女の危機に片足を踏み込んだハオウだったが、一瞬、アルナと視線が合う。その目は助太刀など微塵も望んでいない。ハオウは飛び出す準備をするだけにとどめ、事態を静観することにした。
バキッ
アルナは、飛びかかってきたブラッドウルフを聖杖で殴り飛ばす。だが、魔力によって膂力を強化していてもブラッドウルフを一撃で倒すことはできなかった。空中で体勢を立て直したブラッドウルフは着地と同時に反撃にでる。
「あぅっ!」
多方向から同時に噛みつかれたアルナは苦痛の表情で地面に膝をつく。肩や腕・足に噛みつかれながらもアルナは練り上げた魔力を集めた左手を、右肩に牙を立てているブラッドウルフにピタリと接触させる。
「エア・ショット!」
「ギャウンッ」
圧縮されて空気弾をゼロ距離からくらったブラッドウルフは、勢いよく吹き飛ばされて絶命する。
(なんと! 魔力をまとっているとはいえ、ブラッドウルフにあれだけ噛みつかれれば相当な痛みがあるはずじゃぞい。なのに、噛みついてきたブラッドウルフを1体ずつ確実にしとめていくとは……むむ?)
「あっ、くぅ!」
アルナに噛みついたまま体をひねり、牙をくい込ませて肉をねじ切ろうとするブラッドウルフ。苦痛に声を漏らしながらも、アルナはエア・ショットで2体目を、さらに続けて3体目を斃す。
「グルル……」
すぐに距離をとらなければ全滅すると感じたブラッドウルフたちがアルナから一斉に離れる。
「バーニング・ウィップ!」
アルナは痛みに耐え、練り上げた魔力を火炎の鞭と化して揮う。
「「ギャウゥンッ」」
さらに2体のブラッドウルフが斃されて、とうとう最後の1体となる。
「ガルルルル!」
激しく威嚇しながらアルナの隙を伺うブラッドウルフ。
「やっ!」
今度はアルナから攻撃を仕掛ける。右手に握った聖杖を振りかざす。が、ブラッドウルフは姿勢を低くして躱す。
「ガウッ!」
ブラッドウルフが反撃にでる。アルナの喉元に噛みつこうと飛びかかる。だが、アルナは魔力を溜めた左手をかざす。
「バーニング・ショット!」
アルナの左手から放たれた火炎弾はブラッドウルフの口内を直撃した。
「ガァァァァッ!!」
体内から焼かれたブラッドウルフは絶命し、霧となって消え去った。
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