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第5章 老翁との出会い
5―8 ゴブリン巣窟の攻略⑤
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「……ふぅ……」
ブラッドウルフを全滅させたアルナは気が抜けたのか、その場に座り込む。
「おっ、そっちも終わったのかよ。くくく……随分とボロボロじゃねぇか?」
邪龍槍を肩に担いだエルフェリオンが、コマンダー級ゴブリンとの戦闘を終えてアルナの元へと歩み寄る。
「うっさいわね。それより、あんたの邪龍武器、剣だけじゃなかったのね?」
「みてぇだな」
答えつつエルフェリオンはレヴィジアルをしまう。
『クハハハハハハ! 当然だ。邪龍武器をそのへんの武具と一緒に……』
「不気味なのは相変わらずだけど」
『……おのれ! この小娘、まだワシを愚弄するか!?』
エルフェリオンは、レヴィジアルの怒りをヒシヒシと感じ取りながらも気にする素振りなどない。
「ともあれ、ここで少し回復しておくべきじゃぞい。特にアルナ嬢ちゃんはブラッドウルフとの戦闘でかなりダメージを受けたようじゃからな」
ハオウは懐から生命力回復薬をアルナに手渡す。
「ありがとう、ハオウさん。だけど、ヒールを修得しているから気持ちだけで……」
「いやいや。ヒールは温存しておきなされ。このあとの戦いでは必要になるぞい」
「……わかりました。では、使わせてもらいますね」
アルナは、受け取った生命力回復薬を一気に飲み干す。全身が淡い黄緑色の光に包まれ、全身の傷口が跡形もなく消え去った。
「しっかし、この中にゃどれだけのゴブリンがいやがるんだ?」
エルフェリオンは地中へと続く穴を見る。
「ふぅむ。ここは街道からそれほど離れているわけではなく、穴自体もそこまで古い感じはせんぞい。ということはじゃ、冒険者ギルドや警備隊・騎士団といった組織が動き出す前の段階……つまり、ここを根城として間もないと考えられるぞい。そして、放浪性のゴブリンの群れというのは小規模と決まっておるぞい」
「だけど、気になるのはこの穴ね」
ハオウの話のあと、アルナが険しい表情で穴を注視する。穴は人ひとりが楽に入っていけるほどの高さと広さがあり、緩やかな傾斜をつけて地中へと伸びていた。
「この穴がどうかしたのかよ?」
「ゴブリンたちがここに来て間がないと仮定すると、これだけの巣穴を短期間で作ったということになるわ。ゴブリンたちだけでそんなことが可能だとは思えない」
エルフェリオンの質問にアルナが答える。
「たしかに。この巣穴の奥ではゴブリンなんぞよりも強力なモンスターが潜んでおる可能性は充分に考えられるぞい。警戒を怠らぬことじゃぞい」
「へっ! 望むところだぜ」
巣穴の奥で待ち受けているであろう強敵との戦いに、エルフェリオンは笑む。
「あんたってさ、面倒事に巻き込まれたくなかったわりには愉しそうよね?」
「あん? どうせ巻き込まれちまったなら愉しまねぇと損だろうがよ」
平然と返すエルフェリオンにアルナは苦笑するしかなかった。
ブラッドウルフを全滅させたアルナは気が抜けたのか、その場に座り込む。
「おっ、そっちも終わったのかよ。くくく……随分とボロボロじゃねぇか?」
邪龍槍を肩に担いだエルフェリオンが、コマンダー級ゴブリンとの戦闘を終えてアルナの元へと歩み寄る。
「うっさいわね。それより、あんたの邪龍武器、剣だけじゃなかったのね?」
「みてぇだな」
答えつつエルフェリオンはレヴィジアルをしまう。
『クハハハハハハ! 当然だ。邪龍武器をそのへんの武具と一緒に……』
「不気味なのは相変わらずだけど」
『……おのれ! この小娘、まだワシを愚弄するか!?』
エルフェリオンは、レヴィジアルの怒りをヒシヒシと感じ取りながらも気にする素振りなどない。
「ともあれ、ここで少し回復しておくべきじゃぞい。特にアルナ嬢ちゃんはブラッドウルフとの戦闘でかなりダメージを受けたようじゃからな」
ハオウは懐から生命力回復薬をアルナに手渡す。
「ありがとう、ハオウさん。だけど、ヒールを修得しているから気持ちだけで……」
「いやいや。ヒールは温存しておきなされ。このあとの戦いでは必要になるぞい」
「……わかりました。では、使わせてもらいますね」
アルナは、受け取った生命力回復薬を一気に飲み干す。全身が淡い黄緑色の光に包まれ、全身の傷口が跡形もなく消え去った。
「しっかし、この中にゃどれだけのゴブリンがいやがるんだ?」
エルフェリオンは地中へと続く穴を見る。
「ふぅむ。ここは街道からそれほど離れているわけではなく、穴自体もそこまで古い感じはせんぞい。ということはじゃ、冒険者ギルドや警備隊・騎士団といった組織が動き出す前の段階……つまり、ここを根城として間もないと考えられるぞい。そして、放浪性のゴブリンの群れというのは小規模と決まっておるぞい」
「だけど、気になるのはこの穴ね」
ハオウの話のあと、アルナが険しい表情で穴を注視する。穴は人ひとりが楽に入っていけるほどの高さと広さがあり、緩やかな傾斜をつけて地中へと伸びていた。
「この穴がどうかしたのかよ?」
「ゴブリンたちがここに来て間がないと仮定すると、これだけの巣穴を短期間で作ったということになるわ。ゴブリンたちだけでそんなことが可能だとは思えない」
エルフェリオンの質問にアルナが答える。
「たしかに。この巣穴の奥ではゴブリンなんぞよりも強力なモンスターが潜んでおる可能性は充分に考えられるぞい。警戒を怠らぬことじゃぞい」
「へっ! 望むところだぜ」
巣穴の奥で待ち受けているであろう強敵との戦いに、エルフェリオンは笑む。
「あんたってさ、面倒事に巻き込まれたくなかったわりには愉しそうよね?」
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