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第6章 新米冒険者の日々
6―14 ザラギスとの再戦①
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エルフェリオンは、近付いてくる男のほうへと視線を転じた。そこには黒い短髪とオレンジの瞳の巨漢が親しげに笑顔を見せて片手を上げていた。それはエルフェリオンにとって見知った顔である。
「あんたは、ザラギスじゃないか。戻ってきたのか」
「おぉよ! ついさっきな。おまえもちゃんと精進してるんだろうな?」
いたずらっぽい笑みを浮かべたザラギスがエルフェリオンの肩に手を回す。だが、当のエルフェリオンはすこぶる迷惑そうに顔をしかめる。
「えぇ、エルフェリオン君はよく頑張ってくれてますよ。ザラギスさんもいつもながら仕事が早いですね。あなたの腕を見込んでお願いしたのは正解でしたね。お疲れ様でした」
ルアークは柔和な笑顔でザラギスの労をねぎらう。
「ギルドマスターにそう言ってもらえるとは嬉しいぜ。まっ、狼の群れを討伐するなんざ訳ねぇがな」
ザラギスは、ガハハと豪快な笑い声をあげる。
「ちょうどいい機会だ。リベンジしたいなら受けて立つぞ?」
挑発的な視線を向けつつザラギスがエルフェリオンに手合わせを持ちかける。
「へぇ、いいのかよ? 敗けても言い訳は聞かねぇからな?」
エルフェリオンは手にしていた木剣の先端をザラギスに向ける。
「生意気なのは相変わらずか。だが、おまえはそれくらいでいい。口だけ達者なんて事はないだろうな?」
「試してみればいいさ」
「いいだろう。オラをがっかりさせるなよ」
エルフェリオンとザラギスは互いの視線をぶつけ合い、火花を散らす。
◎★☆◎
エルフェリオンは、木製の大槌を肩に乗せたザラギスと対峙する。
「いくぞ!」
先手を取ったのはエルフェリオンだ。大きく前に踏み出したエルフェリオンは木剣を水平を払う。が、ザラギスは後方へと軽く跳躍して躱す。
「らぁ!」
ドンッ!!
大きく振り上げた大槌を豪快に振り下ろしたザラギスの反撃を、エルフェリオンは横っ跳びに回避する。
「あまい!」
大槌の柄を握る両腕に力を込めたザラギスが、大槌を真横に振り払う。
ブォンッ
大槌が屈んだエルフェリオンの頭上を横切る。
「あまいのそっちだろ!」
屈んだエルフェリオンは右手で地面の土を掴み、ザラギスの顔面に投げかける。
「ぶっ!……この!」
ザラギスが顔を背けた一瞬の隙をつき、黒い魔力を身にまとったエルフェリオンが木剣による打撃を連続で叩き込む。
(こいつ、数日前とは違いすぎるだろうが!)
ザラギスの顔に僅かな焦りが滲む。
「少しはやるようになったじゃないか、ヒヨッコ!」
ザラギスは地面を強く蹴って間合いをとろうとする。が、一瞬早くエルフェリオンがザラギスの足を踏みつけて阻止した。
「ちぃ!」
舌打ちしたザラギスは右拳を固めてエルフェリオンに殴りかかる。が、魔力をまとうことで身体能力が強化されたエルフェリオンの動きは機敏だ。ザラギスの拳をサッと躱し、反撃にボディブローを入れ、その背後へと回り込んで腰をおもいきり蹴り飛ばす。
「ぐっ……こいつ!……」
前方にふっ飛ばされたザラギスは素早く身体を半回転させて体勢を立て直す。だが、追いかけてきていたエルフェリオンが跳び蹴りをくり出す。
ガッ
顔面を狙った跳び蹴りを、黄土色の魔力をまとったザラギスが片手で受け止めて弾き返した。
「……男子三日会わざれば刮目して見よとは言うが、正直なところ舐めすぎてたぜ。悪かった。詫びと言っちゃなんだが、ここからはオラも本気を出していくぜ!」
大槌を構え直したザラギスのオレンジ色の眼には闘志が滾っていた。
「あんたは、ザラギスじゃないか。戻ってきたのか」
「おぉよ! ついさっきな。おまえもちゃんと精進してるんだろうな?」
いたずらっぽい笑みを浮かべたザラギスがエルフェリオンの肩に手を回す。だが、当のエルフェリオンはすこぶる迷惑そうに顔をしかめる。
「えぇ、エルフェリオン君はよく頑張ってくれてますよ。ザラギスさんもいつもながら仕事が早いですね。あなたの腕を見込んでお願いしたのは正解でしたね。お疲れ様でした」
ルアークは柔和な笑顔でザラギスの労をねぎらう。
「ギルドマスターにそう言ってもらえるとは嬉しいぜ。まっ、狼の群れを討伐するなんざ訳ねぇがな」
ザラギスは、ガハハと豪快な笑い声をあげる。
「ちょうどいい機会だ。リベンジしたいなら受けて立つぞ?」
挑発的な視線を向けつつザラギスがエルフェリオンに手合わせを持ちかける。
「へぇ、いいのかよ? 敗けても言い訳は聞かねぇからな?」
エルフェリオンは手にしていた木剣の先端をザラギスに向ける。
「生意気なのは相変わらずか。だが、おまえはそれくらいでいい。口だけ達者なんて事はないだろうな?」
「試してみればいいさ」
「いいだろう。オラをがっかりさせるなよ」
エルフェリオンとザラギスは互いの視線をぶつけ合い、火花を散らす。
◎★☆◎
エルフェリオンは、木製の大槌を肩に乗せたザラギスと対峙する。
「いくぞ!」
先手を取ったのはエルフェリオンだ。大きく前に踏み出したエルフェリオンは木剣を水平を払う。が、ザラギスは後方へと軽く跳躍して躱す。
「らぁ!」
ドンッ!!
大きく振り上げた大槌を豪快に振り下ろしたザラギスの反撃を、エルフェリオンは横っ跳びに回避する。
「あまい!」
大槌の柄を握る両腕に力を込めたザラギスが、大槌を真横に振り払う。
ブォンッ
大槌が屈んだエルフェリオンの頭上を横切る。
「あまいのそっちだろ!」
屈んだエルフェリオンは右手で地面の土を掴み、ザラギスの顔面に投げかける。
「ぶっ!……この!」
ザラギスが顔を背けた一瞬の隙をつき、黒い魔力を身にまとったエルフェリオンが木剣による打撃を連続で叩き込む。
(こいつ、数日前とは違いすぎるだろうが!)
ザラギスの顔に僅かな焦りが滲む。
「少しはやるようになったじゃないか、ヒヨッコ!」
ザラギスは地面を強く蹴って間合いをとろうとする。が、一瞬早くエルフェリオンがザラギスの足を踏みつけて阻止した。
「ちぃ!」
舌打ちしたザラギスは右拳を固めてエルフェリオンに殴りかかる。が、魔力をまとうことで身体能力が強化されたエルフェリオンの動きは機敏だ。ザラギスの拳をサッと躱し、反撃にボディブローを入れ、その背後へと回り込んで腰をおもいきり蹴り飛ばす。
「ぐっ……こいつ!……」
前方にふっ飛ばされたザラギスは素早く身体を半回転させて体勢を立て直す。だが、追いかけてきていたエルフェリオンが跳び蹴りをくり出す。
ガッ
顔面を狙った跳び蹴りを、黄土色の魔力をまとったザラギスが片手で受け止めて弾き返した。
「……男子三日会わざれば刮目して見よとは言うが、正直なところ舐めすぎてたぜ。悪かった。詫びと言っちゃなんだが、ここからはオラも本気を出していくぜ!」
大槌を構え直したザラギスのオレンジ色の眼には闘志が滾っていた。
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