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第7章 野盗集団レイゼジル討伐
7―3 夜襲
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陽が沈み、夜の帳が降りきった草原は、虫の声と焚き火が爆ぜる音と、時折吹く風の音のみの世界となった。
「ほらよ」
ザラギスが水筒をエルフェリオンに投げ渡す。
(酒か)
受け取り栓を開けたエルフェリオンの鼻腔をアルコールの臭いが刺激する。
「討伐依頼の途中なのに酒なんかすすめていいのかよ?」
訝しげな表情で言うエルフェリオンにザラギスは「ガハハ」と笑う。
「だからこそだよ。二日酔いとかはさすがにマズいが、一口くらい飲んでおいたほうがよく眠れるってもんさ」
エルフェリオンは一瞬の躊躇いのあと、グイッと酒を一気に喉に流し込む。
「おっ、けっこういい飲みっぷりじゃないか。飲んだならさっさと寝るんだな。最初の見張りはオラがやる。時間がきたら起こしてやるから安心しろ」
「……わかった。よろしく頼む」
エルフェリオンはザラギスの好意を素直に受けることにして、ゴロンと横になって瞼を閉じた。
◎★☆◎
「起きろ、エルフェリオン」
「ん?……もう交代の時間か?」
揺り起こされてエルフェリオンは上体を起こす。その声は落ち着いているが表情は真剣である。
「交代には早いんだが、何者かがこっちに近付いてきてるみたいだぜ」
「レイゼジルの連中か?」
エルフェリオンが訊く。だが、ザラギスは首を横に振った。
「そいつは現段階ではなんとも言えない。だが、その可能性が高いのは確かだろう」
エルフェリオンは左手を広げて邪龍剣を召喚する。
『ククククク……ようやく人間の魂にありつけそうじゃのぉ』
エルフェリオンの内でレヴィジアルが喜びの声をあげた。
「レイゼジルの連中だとして、何人いるかわからないからな。くれぐれも油断するなよ」
大戦鎚を構えたザラギスの忠告に、エルフェリオンは無言で頷く。
◎★☆◎
「あぁん? 見回り中に焚き火の明かりが見えたから来てみれば、たったの二人かぁ?」
髭面のイカツイ中年男が手斧を手に現れる。
「けっ! 女でもいりゃ遊べたのによ」
頭にバンダナを巻いた若い男がつまらなそうに愚痴り、背負った鞘から大剣を抜く。
「ブヘヘヘヘ……いいじゃねぇのよ。こいつら、きっと僕ちゃんたちを倒しに来た冒険者じゃね? 返り討ちにされるためにわざわざ来たんだし、せいぜい楽しませてもらおうじゃねぇのよ」
最後に小太りの男が杖を構えた。
「あんたらは野盗集団レイゼジルだな?」
ザラギスがだれにとはなく確認する。
「ピンポーン! やっぱり、僕ちゃんたちを倒しにきた身の程知らずだったんだ。ということは、返り討ちにされても文句は言えないんじゃねぇのよ?」
小太りの男はエルフェリオンとザラギスを小バカにしたように薄ら笑いを浮かべる。
「はん! 文句言うつもりも必要もない。あんたらじゃオラたちを殺ることなんてできやしないさ」
ザラギスは三人の男たちを睥睨しながら言い返す。
「なぁ? こいつらは殺してもいいんだよな?」
邪龍剣レヴィジアルを構えたエルフェリオンがザラギスに訊く。
「ん? あぁ、そうだな」
「オッケー。それなら心置きなく邪龍に喰わせてやれるぜ」
エルフェリオンの言葉に邪龍剣の青い目がギラリと光る。
「なめたことぬかしてんじゃねぇ! ぶっ殺してやる!」
激昂したバンダナ男を先頭に、レイゼジルの三人は、エルフェリオンとザラギスに一斉に襲いかかった。
「ほらよ」
ザラギスが水筒をエルフェリオンに投げ渡す。
(酒か)
受け取り栓を開けたエルフェリオンの鼻腔をアルコールの臭いが刺激する。
「討伐依頼の途中なのに酒なんかすすめていいのかよ?」
訝しげな表情で言うエルフェリオンにザラギスは「ガハハ」と笑う。
「だからこそだよ。二日酔いとかはさすがにマズいが、一口くらい飲んでおいたほうがよく眠れるってもんさ」
エルフェリオンは一瞬の躊躇いのあと、グイッと酒を一気に喉に流し込む。
「おっ、けっこういい飲みっぷりじゃないか。飲んだならさっさと寝るんだな。最初の見張りはオラがやる。時間がきたら起こしてやるから安心しろ」
「……わかった。よろしく頼む」
エルフェリオンはザラギスの好意を素直に受けることにして、ゴロンと横になって瞼を閉じた。
◎★☆◎
「起きろ、エルフェリオン」
「ん?……もう交代の時間か?」
揺り起こされてエルフェリオンは上体を起こす。その声は落ち着いているが表情は真剣である。
「交代には早いんだが、何者かがこっちに近付いてきてるみたいだぜ」
「レイゼジルの連中か?」
エルフェリオンが訊く。だが、ザラギスは首を横に振った。
「そいつは現段階ではなんとも言えない。だが、その可能性が高いのは確かだろう」
エルフェリオンは左手を広げて邪龍剣を召喚する。
『ククククク……ようやく人間の魂にありつけそうじゃのぉ』
エルフェリオンの内でレヴィジアルが喜びの声をあげた。
「レイゼジルの連中だとして、何人いるかわからないからな。くれぐれも油断するなよ」
大戦鎚を構えたザラギスの忠告に、エルフェリオンは無言で頷く。
◎★☆◎
「あぁん? 見回り中に焚き火の明かりが見えたから来てみれば、たったの二人かぁ?」
髭面のイカツイ中年男が手斧を手に現れる。
「けっ! 女でもいりゃ遊べたのによ」
頭にバンダナを巻いた若い男がつまらなそうに愚痴り、背負った鞘から大剣を抜く。
「ブヘヘヘヘ……いいじゃねぇのよ。こいつら、きっと僕ちゃんたちを倒しに来た冒険者じゃね? 返り討ちにされるためにわざわざ来たんだし、せいぜい楽しませてもらおうじゃねぇのよ」
最後に小太りの男が杖を構えた。
「あんたらは野盗集団レイゼジルだな?」
ザラギスがだれにとはなく確認する。
「ピンポーン! やっぱり、僕ちゃんたちを倒しにきた身の程知らずだったんだ。ということは、返り討ちにされても文句は言えないんじゃねぇのよ?」
小太りの男はエルフェリオンとザラギスを小バカにしたように薄ら笑いを浮かべる。
「はん! 文句言うつもりも必要もない。あんたらじゃオラたちを殺ることなんてできやしないさ」
ザラギスは三人の男たちを睥睨しながら言い返す。
「なぁ? こいつらは殺してもいいんだよな?」
邪龍剣レヴィジアルを構えたエルフェリオンがザラギスに訊く。
「ん? あぁ、そうだな」
「オッケー。それなら心置きなく邪龍に喰わせてやれるぜ」
エルフェリオンの言葉に邪龍剣の青い目がギラリと光る。
「なめたことぬかしてんじゃねぇ! ぶっ殺してやる!」
激昂したバンダナ男を先頭に、レイゼジルの三人は、エルフェリオンとザラギスに一斉に襲いかかった。
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