スラム育ちの英雄譚

美山 鳥

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第7章 野盗集団レイゼジル討伐

7―15 封印球

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 ダーズヴェルの遺体を見下ろし、エルフェリオンはため息を吐く。

 「なんとかなった、か。今回はおまえさんがいなかったら間違いなく殺られていた。助かったぜ」

 ザラギスが深謝の意を表して頭を下げる。

 「よしてくれ。俺は仕事を引き受けただけだ。別に人助けでやったわけじゃない」
 「ふっ、そうか。そうだったな。まっ、なんにしてもダーズヴェルこいつを持って帰らないと報酬はもらえないからな。早いとこ回収しちまおうぜ」
 「それなんだが、どうやって運ぶんだ?まさか、このまま背負っていくわけじゃないんだろ?」

 エルフェリオンの質問にザラギスはワハハと笑う。

 「当たり前だ。そうか。エルフェリオンは初めてだったか。この封印球シールスフィアを使うのさ」
 「封印球シールスフィア?」

 ザラギスが懐から取り出した透明な球状のアイテムに視線を移し、エルフェリオンは復唱する。

 「ああ。こいつはこう使うもんさ」

 ザラギスは、かざした封印球シールスフィアに魔力を流し込む。魔力を帯びたことで淡く発光した封印球シールスフィアからダーズヴェルの遺体へと光線がゆっくりと伸びていく。

 「……すごいな……」

 エルフェリオンが呟く。封印球シールスフィアからの光を受けたダーズヴェルの遺体は、封印球シールスフィアに吸収されていった。

 「便利なもんだろ? エルフェリオンもこれから冒険者としてやってくなら持っておいたほうがいいぞ。冒険者用の道具を扱ってる店で購入できるからな。ちなみに、封印球シールスフィアから取り出すときは同じように魔力を流し込めばいい」

 簡単な説明を終えたザラギスの手の中の封印球シールスフィアには、封印されたダーズヴェルの姿が映し出されていた。

 「さぁて、これで依頼達成だ。帰ろうぜ、エルフェリオン!」
 「あぁ、そうだな」

 ともに死線をくぐり抜けたエルフェリオンとザラギスは互いに握手を交わし、帰路につく。
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