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第8章 龍滅の戦神①
8―7 ルガーダ&レフィンVSギゼム④
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ギゼム邸の花園で、レフィンとギゼムは剣戟を繰り広げる。
「やはり、両手用戦斧は僕には合っていないようだね」
ギゼムは、レフィンの猛攻を躱しつつボヤく。
「ちっ! 闘気戦術・瞬閃!!」
闘気をまとったレフィンのバスタードソードが剣速を飛躍的に上げる。
「瞬閃、ねぇ。さすがはS級といったところかな。けどね、そんな小技で僕を倒せるわけがないのはわかってるだろ?」
難なく回避を成功させたギゼムが嘲笑し、両手用戦斧を振り下ろす。
ガキンッ
「あまい!」
大盾でギゼムの反撃を受け止めたレフィンがバスタードソードを斜めに斬り上げる。
ギゼムの衣服の襟をバスタードソードの刃先がかすめたため、ほんの少しだけ切れる。瞬間、ギゼムの瞳に怒りがにじむ。
「僕の服を切るとは驚いた。だけど、実力差もわからない愚者には教育が必要だね。闘気戦術・連舞」
闘気をまとった両手用戦斧は軽量化され、幾度も空中に軌跡を描き、レフィンの軽鎧の隙間を縫うように斬りてけていく。それは重量級の武器とは思えないほどの速さである。
「ぐぁ!……ぁぁぁっ」
斬られた傷口から血を噴き出し、地面に膝を折るレフィン。
(こいつ……本当に人間なのか!?)
レフィンは圧倒的な強さを示すギゼムに奥歯を噛み締める。
「くくく……おっと、いけない。僕としたことがザコ相手に闘気戦術まで使ってしまうとは少々大人気なかったよ。悪く思わないでくれたまえ」
弱者をいたぶることに愉悦したギゼムが口角を吊り上げる。
「ギゼムゥゥゥゥ!」
レフィンが注意を引きつけている間に立ち上がったルガーダが、ギゼムに飛びかかる。
「ふんっ。よくもまぁ、立ち上がれたものだね。だけど、そんな片足だけで無理に立ち上がって……なんて無様だろうか。せめて、すぐに人生に終止符を打ってあげるよ」
ギゼムが両手用戦斧をルガーダの首へと滑らせる。
ガキッ
「君もまだやるつもりなのか? 身の程知らずな連中だね」
ギゼムのブラウンの瞳が大盾で両手用戦斧を受け止めたレフィンを映す。
「目障りだ、消えたまえ!」
ギゼムは、両手用戦斧を強引に振り抜いてレフィンを弾き飛ばす。直後、今度はルガーダがギゼムの身体にすがりつく。
「離れろ! 鬱陶しい!!」
想定以上の抵抗に苛立ちを募らせたギゼムが声を荒げて振り払おうとする。だが、青い魔力を全身から迸らせたルガーダをなかなか引き離すことができない。
「レフィン君! 撤退しろ!!」
「なにを……」
ギゼムに激しく殴打されながらもルガーダはレフィンの言葉を遮って続ける。
「無念だが、今の我々ではこの男を倒すことは不可能だ! 君は撤退して仲間を集め、いつかこの悪魔に天誅を下すのだ! それが君でも、君の仲間でもいい!! 必ず! 必ずこの悪魔に成敗する英雄が現れるはずだ!!!」
ルガーダの茶色の瞳には揺るぎない確信と信頼が宿っていた。その想いを受け取ったレフィンには、漢の最後の望みを拒否することはできなかった。
「ルガーダさん!……すみません!!」
ルガーダとギゼムに背を向けたレフィンは振り返ることなく、花園の唯一の出入り口に向けて駆け出した。こうなってしまっては、一刻も早くミリーナの元に戻り、彼女とともに安全な場所に身を隠すことが最優先である。
「くそ! 離せ、この死に損ないが!!」
走り去るレフィンを追おうとするギゼムだが、ルガーダがそれを阻止するので思うように進むことができない。
(こいつ! いったいどこにこれほどの力が残っている!?)
ルガーダの死に物狂いの抵抗に驚かされたギゼムだったが、すぐに余裕の態度を取り戻す。
「まぁ、いいさ。どうせこの屋敷からは生きて出ることはできないだろう。僕はあんたを嬲り殺しにでもするとしよう」
ギゼムはその残虐非道な本性を曝け出し、狂気の表情でルガーダを見据えた。
「やはり、両手用戦斧は僕には合っていないようだね」
ギゼムは、レフィンの猛攻を躱しつつボヤく。
「ちっ! 闘気戦術・瞬閃!!」
闘気をまとったレフィンのバスタードソードが剣速を飛躍的に上げる。
「瞬閃、ねぇ。さすがはS級といったところかな。けどね、そんな小技で僕を倒せるわけがないのはわかってるだろ?」
難なく回避を成功させたギゼムが嘲笑し、両手用戦斧を振り下ろす。
ガキンッ
「あまい!」
大盾でギゼムの反撃を受け止めたレフィンがバスタードソードを斜めに斬り上げる。
ギゼムの衣服の襟をバスタードソードの刃先がかすめたため、ほんの少しだけ切れる。瞬間、ギゼムの瞳に怒りがにじむ。
「僕の服を切るとは驚いた。だけど、実力差もわからない愚者には教育が必要だね。闘気戦術・連舞」
闘気をまとった両手用戦斧は軽量化され、幾度も空中に軌跡を描き、レフィンの軽鎧の隙間を縫うように斬りてけていく。それは重量級の武器とは思えないほどの速さである。
「ぐぁ!……ぁぁぁっ」
斬られた傷口から血を噴き出し、地面に膝を折るレフィン。
(こいつ……本当に人間なのか!?)
レフィンは圧倒的な強さを示すギゼムに奥歯を噛み締める。
「くくく……おっと、いけない。僕としたことがザコ相手に闘気戦術まで使ってしまうとは少々大人気なかったよ。悪く思わないでくれたまえ」
弱者をいたぶることに愉悦したギゼムが口角を吊り上げる。
「ギゼムゥゥゥゥ!」
レフィンが注意を引きつけている間に立ち上がったルガーダが、ギゼムに飛びかかる。
「ふんっ。よくもまぁ、立ち上がれたものだね。だけど、そんな片足だけで無理に立ち上がって……なんて無様だろうか。せめて、すぐに人生に終止符を打ってあげるよ」
ギゼムが両手用戦斧をルガーダの首へと滑らせる。
ガキッ
「君もまだやるつもりなのか? 身の程知らずな連中だね」
ギゼムのブラウンの瞳が大盾で両手用戦斧を受け止めたレフィンを映す。
「目障りだ、消えたまえ!」
ギゼムは、両手用戦斧を強引に振り抜いてレフィンを弾き飛ばす。直後、今度はルガーダがギゼムの身体にすがりつく。
「離れろ! 鬱陶しい!!」
想定以上の抵抗に苛立ちを募らせたギゼムが声を荒げて振り払おうとする。だが、青い魔力を全身から迸らせたルガーダをなかなか引き離すことができない。
「レフィン君! 撤退しろ!!」
「なにを……」
ギゼムに激しく殴打されながらもルガーダはレフィンの言葉を遮って続ける。
「無念だが、今の我々ではこの男を倒すことは不可能だ! 君は撤退して仲間を集め、いつかこの悪魔に天誅を下すのだ! それが君でも、君の仲間でもいい!! 必ず! 必ずこの悪魔に成敗する英雄が現れるはずだ!!!」
ルガーダの茶色の瞳には揺るぎない確信と信頼が宿っていた。その想いを受け取ったレフィンには、漢の最後の望みを拒否することはできなかった。
「ルガーダさん!……すみません!!」
ルガーダとギゼムに背を向けたレフィンは振り返ることなく、花園の唯一の出入り口に向けて駆け出した。こうなってしまっては、一刻も早くミリーナの元に戻り、彼女とともに安全な場所に身を隠すことが最優先である。
「くそ! 離せ、この死に損ないが!!」
走り去るレフィンを追おうとするギゼムだが、ルガーダがそれを阻止するので思うように進むことができない。
(こいつ! いったいどこにこれほどの力が残っている!?)
ルガーダの死に物狂いの抵抗に驚かされたギゼムだったが、すぐに余裕の態度を取り戻す。
「まぁ、いいさ。どうせこの屋敷からは生きて出ることはできないだろう。僕はあんたを嬲り殺しにでもするとしよう」
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