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第11章 レッドレオとブルータイガー
11―2 オグリス
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レッドレオのアジトはティクの貧民街の奥にあった。ここを支配しているレッドレオのボスの一人娘ラナリを連れていたため、エルフェリオンたちは何事もなくオグリスと面会することができた。
「これはまた意外だな。ティクの町を裏から牛耳っている二大勢力のひとつレッドレオのボスというくらいだから、もっと厳ついオッサンを想像してたんだがな。棺桶に片足突っ込んでるようなジイサンじゃないか」
エルフェリオンは目の前の痩せ細った白髪の老人を見て無遠慮に言う。
「ヌヒャヒャヒャヒャ! はっきりと言うじゃないか。このワシをレッドレオのボスと知った上でのその態度、おもしろい若造じゃ」
オグリスはなぜか愉しげに笑う。
「お父さん! お願いだからテシアを返して!!」
ラナリが父に詰め寄るが、オグリスは頑なまでに首を縦には振らない。
「いかにラナリの頼みでもそれはできんな。それに、テシアを連れてくればおまえは自ら戻ってきた。すべてはワシの狙いどおりじゃ。唯一、冒険者を連れてきたのは計算外じゃったがな」
言って、オグリスは懐から取り出した札束をエルフェリオンに投げ渡す。
「100万コルバある。ラナリをここまで連れてきた報酬として受け取れぃ。そして、早々に帰ろ。でなければ……」
オグリスのグレーの瞳から放たれる眼光が鋭くなった。
「けっ、誘拐の次は脅しかよ。とことんギャングらしいやり方だな」
エルフェリオンはオグリスをキッと睨んだあと、視線を素早く周囲に転じた。目に付くだけでもそれなりの数がいるが、建物内や物陰に身を潜めている者も入れれば、かなりの人数の構成員に囲まれている。
「ふん、察しが良いな。なるべく手荒なことはしないでおこうと思ったんだが、おまえたちの出方次第ではそれなりの対応をさせてもらう」
ギロリと睨むオグリスに、エルフェリオンはフッと笑みをこぼす。
「そうやって、何でもかんでも力ずくで思いどおりにしようってのか? おもしれぇじゃねぇかよ。こい、レヴィジアル!」
エルフェリオンは闘志充分といった様子で邪龍鎚を召喚する。
(なに!? この小僧、どこから武器を!?)
不思議な光景を目の当たりにして、オグリスは驚いたような表情を見せるが、それもほんの一瞬のこと。
「ワシからの慈悲を無駄にしおって! バカなやつらじゃ。後悔しても遅いぞ。かかれ!!」
オグリスが片手をかざして叫んだのを合図に、武装したレッドレオの構成員たちがそこかしこから現れて、エルフェリオンたちに襲いかかってきた。
「これはまた意外だな。ティクの町を裏から牛耳っている二大勢力のひとつレッドレオのボスというくらいだから、もっと厳ついオッサンを想像してたんだがな。棺桶に片足突っ込んでるようなジイサンじゃないか」
エルフェリオンは目の前の痩せ細った白髪の老人を見て無遠慮に言う。
「ヌヒャヒャヒャヒャ! はっきりと言うじゃないか。このワシをレッドレオのボスと知った上でのその態度、おもしろい若造じゃ」
オグリスはなぜか愉しげに笑う。
「お父さん! お願いだからテシアを返して!!」
ラナリが父に詰め寄るが、オグリスは頑なまでに首を縦には振らない。
「いかにラナリの頼みでもそれはできんな。それに、テシアを連れてくればおまえは自ら戻ってきた。すべてはワシの狙いどおりじゃ。唯一、冒険者を連れてきたのは計算外じゃったがな」
言って、オグリスは懐から取り出した札束をエルフェリオンに投げ渡す。
「100万コルバある。ラナリをここまで連れてきた報酬として受け取れぃ。そして、早々に帰ろ。でなければ……」
オグリスのグレーの瞳から放たれる眼光が鋭くなった。
「けっ、誘拐の次は脅しかよ。とことんギャングらしいやり方だな」
エルフェリオンはオグリスをキッと睨んだあと、視線を素早く周囲に転じた。目に付くだけでもそれなりの数がいるが、建物内や物陰に身を潜めている者も入れれば、かなりの人数の構成員に囲まれている。
「ふん、察しが良いな。なるべく手荒なことはしないでおこうと思ったんだが、おまえたちの出方次第ではそれなりの対応をさせてもらう」
ギロリと睨むオグリスに、エルフェリオンはフッと笑みをこぼす。
「そうやって、何でもかんでも力ずくで思いどおりにしようってのか? おもしれぇじゃねぇかよ。こい、レヴィジアル!」
エルフェリオンは闘志充分といった様子で邪龍鎚を召喚する。
(なに!? この小僧、どこから武器を!?)
不思議な光景を目の当たりにして、オグリスは驚いたような表情を見せるが、それもほんの一瞬のこと。
「ワシからの慈悲を無駄にしおって! バカなやつらじゃ。後悔しても遅いぞ。かかれ!!」
オグリスが片手をかざして叫んだのを合図に、武装したレッドレオの構成員たちがそこかしこから現れて、エルフェリオンたちに襲いかかってきた。
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