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第11章 レッドレオとブルータイガー
11―5 VSレッドレオ③
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「クソ!」
メイスによる打撃を躱し、隙をついて反撃を入れるエルフェリオンにアズは苛立つ。身体の数カ所からは流血し、着実にダメージは蓄積されていた。
一方、オグリスもアルナとの魔術戦において劣勢を強いられている。
「どうしたのよ? レッドレオのボスってこの程度なわけ?」
アルナが聖杖の先端部を片膝をついて荒い息遣いをしているオグリスに向ける。
「こ、小娘がぁ……」
忌々しげにアルナを睨めつけるオグリスの前にラナリが立つ。
「お父さん、わたしはテシアと静かに暮らしたいだけなの! それなのに、どうして放っといてくれないのよ!?」
ラナリは涙ぐみながらも懸命に訴えかけるが、オグリスは全く聞く耳を持たない。
「黙れ、この親不孝者めが! 今まで散々世話してやったというのに恩も返さず、勝手なことばかりしおって!! おまえはわしの言うとおりにしておればそれでいいんじゃ! 余計なことは考えるな!!」
ゴッ!
「げふっ!」
ラナリが反論するよりも早く、アルナが聖杖でオグリスの頭を殴りつける。
「あんた、信じらんないくらい身勝手な考え方をしてるのね? 親だからって子供の人生を好きにできるわけないじゃないの。そんなこともわからないわけ?」
アルナの青く澄んだ瞳が侮蔑の色を溶かし込んでいる。
「黙れ、小娘が! きさまのような男も知らんような、小便臭い子供が……ごわっ!」
オグリスが言い終わる前に、再びアルナが聖杖でオグリスの頭部を殴る。
「堂々とセクハラまがいなことを言ってんじゃないわよ、エロオヤジ」
反撃しようにも魔術戦では勝ち目がなく、かといって体力的にもアルナと戦うには分が悪い。オグリスは悔しさに唇を噛む。
「アズ! なにをやって……」
最期の頼みの綱である配下へと視線を流したオグリスは絶句する。
「へっ、かなりまいってきてるじゃねぇかよ?」
邪龍剣から変形させた邪龍槍を肩に担いだエルフェリオンが地面に両膝をついて荒い呼吸をしているアズを見下ろしていた。
(……そんな、バカな!……)
オグリスはレッドレオがたった二人の若者によって壊滅させられそうな事実に呆然とする。
「く、クソガキャァ!!」
自棄を起こしたアズがメイスをエルフェリオンの頭めがけて振りかざす。が、エルフェリオンはあっさりと躱し、邪龍槍をアズの胸へと突き刺す。
「ごふっ……ち……きしょ……う……」
アズは無念の表情でエルフェリオンを睨むが、絶命と同時にレヴィジアルによって喰われ、肉片ひとつ残らず消滅した。
「ちょ!……エルフェリオン、あんたはまた!!」
アルナが文句を言おうとした。が、見つめ返してくるエルフェリオンのエメラルドグリーンの瞳は、それを一切受け付けないことを主張している。アルナはそれ以上の言葉をグッと飲み込んで黙り込む。
オグリスは、目の前でアズが消滅するという信じ難い光景に絶句し、ただ両目を見開いて固まっている。
ラナリも顔面蒼白となってエルフェリオンを見つめるしかできないでいた。
そんななか、エルフェリオンはゆっくりとオグリスの傍まで歩み寄る。
「今ので充分に理解できたはずだ。これ以上ゴネるならあんたもあのオッサンと同じ運命をたどることになるぜ? 俺はそこらの偽善者みてぇにあまくねぇぞ」
目の前に立つ青年は、人を殺めることに躊躇しない。それを理解したオグリスは観念したように項垂れるのだった。
メイスによる打撃を躱し、隙をついて反撃を入れるエルフェリオンにアズは苛立つ。身体の数カ所からは流血し、着実にダメージは蓄積されていた。
一方、オグリスもアルナとの魔術戦において劣勢を強いられている。
「どうしたのよ? レッドレオのボスってこの程度なわけ?」
アルナが聖杖の先端部を片膝をついて荒い息遣いをしているオグリスに向ける。
「こ、小娘がぁ……」
忌々しげにアルナを睨めつけるオグリスの前にラナリが立つ。
「お父さん、わたしはテシアと静かに暮らしたいだけなの! それなのに、どうして放っといてくれないのよ!?」
ラナリは涙ぐみながらも懸命に訴えかけるが、オグリスは全く聞く耳を持たない。
「黙れ、この親不孝者めが! 今まで散々世話してやったというのに恩も返さず、勝手なことばかりしおって!! おまえはわしの言うとおりにしておればそれでいいんじゃ! 余計なことは考えるな!!」
ゴッ!
「げふっ!」
ラナリが反論するよりも早く、アルナが聖杖でオグリスの頭を殴りつける。
「あんた、信じらんないくらい身勝手な考え方をしてるのね? 親だからって子供の人生を好きにできるわけないじゃないの。そんなこともわからないわけ?」
アルナの青く澄んだ瞳が侮蔑の色を溶かし込んでいる。
「黙れ、小娘が! きさまのような男も知らんような、小便臭い子供が……ごわっ!」
オグリスが言い終わる前に、再びアルナが聖杖でオグリスの頭部を殴る。
「堂々とセクハラまがいなことを言ってんじゃないわよ、エロオヤジ」
反撃しようにも魔術戦では勝ち目がなく、かといって体力的にもアルナと戦うには分が悪い。オグリスは悔しさに唇を噛む。
「アズ! なにをやって……」
最期の頼みの綱である配下へと視線を流したオグリスは絶句する。
「へっ、かなりまいってきてるじゃねぇかよ?」
邪龍剣から変形させた邪龍槍を肩に担いだエルフェリオンが地面に両膝をついて荒い呼吸をしているアズを見下ろしていた。
(……そんな、バカな!……)
オグリスはレッドレオがたった二人の若者によって壊滅させられそうな事実に呆然とする。
「く、クソガキャァ!!」
自棄を起こしたアズがメイスをエルフェリオンの頭めがけて振りかざす。が、エルフェリオンはあっさりと躱し、邪龍槍をアズの胸へと突き刺す。
「ごふっ……ち……きしょ……う……」
アズは無念の表情でエルフェリオンを睨むが、絶命と同時にレヴィジアルによって喰われ、肉片ひとつ残らず消滅した。
「ちょ!……エルフェリオン、あんたはまた!!」
アルナが文句を言おうとした。が、見つめ返してくるエルフェリオンのエメラルドグリーンの瞳は、それを一切受け付けないことを主張している。アルナはそれ以上の言葉をグッと飲み込んで黙り込む。
オグリスは、目の前でアズが消滅するという信じ難い光景に絶句し、ただ両目を見開いて固まっている。
ラナリも顔面蒼白となってエルフェリオンを見つめるしかできないでいた。
そんななか、エルフェリオンはゆっくりとオグリスの傍まで歩み寄る。
「今ので充分に理解できたはずだ。これ以上ゴネるならあんたもあのオッサンと同じ運命をたどることになるぜ? 俺はそこらの偽善者みてぇにあまくねぇぞ」
目の前に立つ青年は、人を殺めることに躊躇しない。それを理解したオグリスは観念したように項垂れるのだった。
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