聖剣と魔剣の二刀流剣士物語【復讐編】

美山 鳥

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1章 運命が動く建国祭

3話 少年剣士 アルフォス

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 「それじゃ、俺も行くよ」

 ウォレンを見送ったあと、アルフォスは隣のラーナに告げる。

 「あら、あなたもどこかに出かけるの?」

 訊いてくるラーナにアルフォスは首肯する。

 「うん。ルットと約束してるんだ」

 ルットとは、アルフォスの幼馴染みで宮廷魔術師タハルジャの息子である。二人は幼き日のウォレンとタハルジャのように無二の親友として、よく行動を共にしていた。

 「そうだったのね。どこに出掛けるのかしら?」

 「最近、草原でリトルキラーの目撃情報が多いみたいだから退治にいくんだ」

 ラーナに訊かれ、アルフォスが答える。

 「まぁ! でも、リトルキラーだって弱いとはいってもモンスターなのよ。危険だわ」

 「俺だって毎日剣術の鍛練をしてるんだし大丈夫だよ。それに、ルットの魔術があれば平気だって!」

 心配するラーナにアルフォスは笑顔を見せる。実際、アルフォスの剣術もルットの魔術も同年代の者よりは数段上の実力ではあった。

 「だけどねぇ…。そういうことは警備隊に任せておいたほうがいいんじゃないかしら?」

 それでも不安を口にするラーナ。

 「アハハハ…。母さんは心配性だなぁ。もしも危なくなったとしてもすぐに引き返してくるから問題ないって。それに、将来は父さんみたいな立派な騎士になりたいんだ。それなのに、リトルキラーなんか怖がっていられないじゃないか」

 あくまでも草原に行くつもりの我が子を前にラーナは深いため息をつく。

 「まったく…。その頑固さはだれに似たのかしら? でも、しかたないわね。その代わり、準備は万全にして、危なくなったら迷わず帰ってくるのよ!」

 「うん、わかってるって!」

 アルフォスはラーナに答えると自室へと戻り、レザーアーマーを着用し、レザーシールドを持って屋敷を飛び出していった。
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